絵を自分で描くのはまるっきりダメだけど、いわゆる鑑賞は元々、嫌いではない。しかしその描かれた作品を見るためだけで東京に何度も足を運んだのは近年では彼しかいない。
最初は平成19年に六本木にある国立新美術館、次は20年に上野の東京都美術館、同じく上野の国立西洋美術館に21年に行った。都合3回である。
その画家の名はヨハネス・フェルメール、「光の魔術師」、「静謐の画家」とさまざまに呼ばれる不思議な魅力で世界中から現在、熱い視線を浴びている人物だ。しかし黄金の世紀と謳われる17世紀ヨーロッパでレンブラント、ベラスケス、ルーベンスといった美術史に燦然と輝く素晴しい画家と共に同時代に活躍した後、彼は忘れられた画家になった。何故、そんな状況になってしまったのか確たる理由は今もわからない。
私が彼の名前を知り、注目したのは恥ずかしい話だが、この3年程前のことである。私が県に出向した当時から親しくしている方から旅先のオランダ・デルフトの絵はがきをいただいたのがきっかけだった。デルフトはフェルメールが生まれ、画家として活動した街である。それからはフェルメールの絵の展覧会があれば見に出かけるようになった。世界に30数点しか現存する作品がないとかまた贋作、盗難事件のスキャンダラスな話題で世にその存在を知らしめることになったことなどは後日、知ったことである。
私が今まで見た彼の作品では国立新美術館での「牛乳を注ぐ女」、国立西洋美術館の「レースを編む女」が特に印象に残っている。フェルメールブルーと名付けられている、その当時、高価なラピスラズリの石を用いた青の色はあまりに魅惑的である。彼の作品をご存知ない方は、この私の拙い文章ではその美の深さを伝えられないので是非、一度その作品をご覧いただきたい。きっとその魅力にはまると思う。私自身はこれからも、まだ見ていないフェルメールの作品を追っかけていくつもりだ。