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市政羅針盤

市政運営の方針を分かりやすく市民の皆様にお伝えするため、平成26年10月号の広報紙より「市政羅針盤」の掲載をはじめました。

令和6年度(令和6年4月17日更新)

令和5年度(令和6年3月25日更新)

令和4年度

令和3年度

令和2年度

令和元年度

平成30年度

平成29年度

平成28年度

平成27年度

平成26年度

掲載内容(令和6年4月18日更新)

なぜ少子化が進む そのリアルな背景(令和6年4月15日掲載)

■ 子育てに関する市の取り組み
 今月は、「2023年出生数過去最低」という厚生労働省の発表を踏まえ、少子化の背景について、ご一緒に考えてみたいと思います。
 手前味噌ですが、島田市は、県内有数の子育て支援に手厚いまちとして知られ、30歳代と10歳未満の転入人口は10年連続で増加しています。生まれてくる全ての子どもとその家族に担当保健師をつけ、健診や相談に応じながらお子さんの就学時までサポートしていく「島田市版ネウボラ」。市役所の各窓口に行かなくても、いつでもどこでもスマホやパソコンからアクセス可能で、お子さんの年齢にあった申請や相談ができるオンラインサービス「しまいく+(プラス)」。学校からのお知らせ(お便りや家庭訪問の日程調整など)も保護者のスマホへ自動的に届きます。この他にも、こども医療費の完全無償化や保育料の第二子半額・第三子以降無償、育児サポーター派遣事業や子育てコンシェルジュなど、本市独自の手厚い支援体制で子育て世帯を応援しています。また、結婚したい方々の出会いの場の創出など結婚支援についても、市内の支援団体や県と連携して取り組んでいます。

■ 少子化が進む現状と課題
 しかし、子育て支援や結婚支援に全力を尽くしても、一昨年、当市で生まれた赤ちゃんは544人、昨年は504人でした。2013年に生まれた新生児は776人でしたから、この10年間で35%も出生数が減ったことになります。コロナ禍を経て少子化は一段と顕著になりました。
 岸田文雄首相は昨年、「若者人口が急激に減る2030年代に入るまでが、少子化トレンドを反転させるラストチャンス」と訴え、約3兆6,000億円の財源をかけた新たな少子化対策「こども未来戦略」を策定。子育て環境を整え、子育てにお金がかからないよう、国も県も市町も懸命に「異次元の少子化対策」を講じていますが、出産可能な年齢層の女性数が減少しているうえ、「将来、子どもはほしくない」という若者が増えていることが大きな課題となっています。

■ 若者のリアルと社会の変化
 インターネット情報提供会社による昨年2月の調査では、18歳から25歳までのいわゆる「Z世代」で未婚で子どももいない人のうち、「将来結婚したくないし子どももほしくない」と考える人が36.1%に達しました。「将来結婚したいが子どもはほしくない」との回答も9.4%あり、合計45.5%が子どもを持たない将来を思い描いていることが判明。この結果に私は、これまで薄々感じていたことが、数字化されて目の前に突き付けられたようなショックを覚えました。
 これまで、日本の少子化の主な原因として、未婚化や晩婚化の進展、若者の結婚及び出産に関する意識が変化していること、育児に対する経済的負担が大きいこと、依然として男女別賃金格差が存在していること、育児や家事に対する女性の負担が大きいことなどが挙げられてきました。しかし、Z世代の意識調査では「お金の問題以外で子どもをほしいと思わない理由」について、「育てる自信がないから」(52.3%)、「子どもが好きではない、子どもが苦手だから」(45.9%)、「自由がなくなる(自分の時間を制約されたくない)から」(36%)、などの理由が上位を占めました。

■ 社会全体で考える子どもへの価値観
 現在、国や地方自治体が実施している少子化対策は、「仕事と子育ての両立」や「経済的負担の軽減」など、子どもを産み育てやすい環境を創ることであり、Z世代の「子どもをもつより自分の時間を大切にしたい」という意識と明らかにミスマッチが生じています。今後もこの傾向が続けば、少子化に歯止めはかけられず、社会保障制度や国家財政の維持が厳しさを増し、労働力不足やマーケットの縮小も避けられないでしょう。
 私見ですが、Z世代の価値観に大きな影響を与えているのは、現代社会の風潮や私たち大人の生きざまのように思えてなりません。近頃は、子どもを持つことの大変さばかり強調されて、子どもがいる生活の喜びや潤い、そして楽しさが、若い世代に伝わっていない気がします。個々人の選択は尊重されなければなりませんが、日本社会全体で子どものいる生活に価値を見出す潮流が広がることを、期待してやみません。

中学校の部活動と地域クラブ活動の今後のあり方について(令和6年3月15日掲載)

■ 部活動の変革と地域との連携
 「部活動の地域移行」という話題をテレビや新聞等で目にする機会が増えました。少子化や教員の働き方改革の影響を見据えて、部活動を学校の外、つまり地域での活動に変えようとする動きが国主導で進みつつあります。
具体的には、スポーツ庁と文化庁が2022年12月に策定したガイドラインに基づき、まずは「公立中学校」の「休日の部活動」を優先して、段階的に地域移行しようとしています。部活動の地域移行は、子どもたちや保護者にどのような影響をもたらすのでしょうか。今月はこのテーマについて深掘りしてみたいと思います。
 「部活動の地域移行」とは、これまで中学校の教員が担ってきた部活動による中学生の活動の機会や場を地域のクラブ・団体などに移行することをいいます。現在は、一部の自治体で先駆的に地域移行が行われており、自治体が地域の団体と連携したり、体育・スポーツ協会や文化協会等が主体となって運営したりするなど、いくつかのタイプがあります。

■ 子どもたちの利点と教員の負担軽減
 まずは、地域移行のメリットについてお話します。生徒にとっては、自分が通う学校だけでは人数が足りずにできなかった活動種目も、地域で複数校の生徒が集まれば可能になる場合があり、より専門的な指導を受けられるようにもなります。ちなみに、市内中学1・2年生を対象に、昨年実施したアンケートによると、約86%の生徒が部活動またはクラブ活動に所属していて、体育系種目の一番人気はサッカー、続いて卓球、バレーボール、バドミントン、ダンスが僅差で続いています。現在、バドミントンとダンスは、市内中学校に部活動はありませんが、地域移行になれば、生徒たちのやりたいスポーツを地域クラブでできる可能性は高まります。
 学校の教員にとってもメリットがあります。文部科学省の調査によると、中学校教員の約8割が部活動の顧問を担当しており、担当している部活動の約8割が週4日以上活動しています。部活動の指導が教員の勤務時間を延ばす大きな原因の一つになっているのです。そのため、地域移行が進むことで、教員の勤務時間短縮や業務負荷の軽減につながることが期待されています。

■ 考えられる課題と子どもたちの意向
 しかしながら、メリットばかりではなく、地域移行には幾つもの課題があることも事実です。一つめは、地域の受け皿の問題です。移行した地域に適切な指導者がいない、練習場所がない、といった可能性があります。二つめは、子どもたちの居場所が減ることです。学校の友だちとの付き合いや、放課後や週末の時間を過ごすために部活動に参加している中学生もいます。三つめは、保護者の負担増です。これまでは学校内の人材や設備を使っていたことから、外部の指導者の活用や設備を充てることで費用が発生します。活動場所への送迎にもお金と時間がかかります。それらを保護者が負担することになれば、部活動が事実上有料化することと同じです。さらに、家庭の経済状況によって活動に参加できない子どもが出ることもあり得ます。四つめは、指導の過熱化です。将来にわたり続けるスポーツや趣味を見つけるきっかけづくりや、人格の形成などが目的で、勝負に勝つことが最終目的ではありません。実際、前述のアンケート調査でも「気軽に楽しく活動したい」と望む生徒の声が一番多く、次いで、「レベルにあった指導をしてほしい」という意見でした。こうしたメリットとデメリットを勘案し、幾つもの課題に道筋をつけていかなければなりません。

■ 地域で考える部活動の役割
 そもそも、部活動に期待する役割とは何でしょうか。子どもたちの貴重な中学3年間の部活動のあり方を、皆で真剣に考える時がきています。市としては、地域移行の受け皿となり得る団体等と協議を続け、保護者生徒への説明会を開催するなど、地域の実情に応じて部活動の地域移行を進めることとし、令和9年夏ごろの休日の部活動の地域移行を目指しています。

能登半島地震は他人事ではない」(令和6年2月15日掲載)

■ 能登半島地震と当市の支援状況
1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」において犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての人に一日も早く平穏な生活が戻ることを祈念申し上げます。今回の地震は、今後30年以内に70~80%の確率で発生すると予測される「南海トラフ巨大地震」に備える私たちにとって、決して他人事ではありません。私たちは何を教訓とすべきなのか、ご一緒に考えたいと思います。
 今回の地震の規模は、マグニチュード7.6、震源の深さは16km。北西―南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型で、これまで推察されてきた断層帯に地下深くから上昇してきた流体が溜まり、断層を動かしたと推定されています。流体の正体は水とされていますが、正確には分かっていません。石川県志賀町で最大震度7を観測するとともに、能登半島全域が深刻な被害に見舞われ、政府は「激甚災害」「特定非常災害」に指定しました。
 当市は、地震発災直後から姉妹都市提携を締結している富山県氷見市と連絡を取り合い、いち早く9tの大型水槽車と4tの給水車を現地に派遣し、断水が続く金沢医科大学氷見市民病院などへの給水活動を支援しました。現在は、主に石川県穴水町への支援に注力し、DMAT(災害派遣医療チーム)、住家被害認定調査、下水道被害調査、トイレカー派遣などの支援を実施しています。また二次避難所として市営住宅の提供も申し出ています。

■ 私たちの地域との共通点と得た教訓
 今回の地震で私が特に着目したのは、能登半島が過疎化と高齢化が進む中山間地域もしくは沿岸地域であり、静岡県中部の地域特性と共通点が見られることです。高い高齢化率と低い耐震化率、幹線道路が脆弱なこと、耐震適合性のある管路(水道管等)への更新が遅れていたことなどが複合的に影響し、大きな被害をもたらしました。
 いざ発災となれば、島田市でどんな被害が想定されるのか。行政だけでなく市民の皆さまにも、地域で起こりうる災害をイメージしていただくことが必要です。そして地区ごとに、災害時に拠点となる場所の確保など対策を話し合ってください。

■ 自宅の耐震補強や備えで命を守る
 当市は、津波が大井川を遡上したとしても、初倉地区はほぼ海抜30m以上であるため、津波被害は想定していません。しかし、耐震性のない木造住宅が推定約3,200戸あり、密集する地域も残っています。
 まずは、地震の揺れで家が損壊しないよう、昭和56年以前に建築された住宅にお住まいの人は、耐震診断(令和6年度まで無料)を実施し、耐震補強工事(一般世帯は最大90万円、高齢者等世帯は最大110万円の補助あり。事前申請が必要)を行ってください。費用の工面等で耐震補強工事を諦めざるを得ないという人は、家屋内に設置する耐震シェルターや防災ベッドの設置(市の補助あり)をご検討ください。耐震シェルターも防災ベッドもほぼ自己負担無しで設置できますが、いずれも耐震診断の結果が1.0未満(耐震性がない住宅)で、耐震補強工事を行っていない家屋に限られます。「家屋が倒壊したら、もう逃げられない」ということをいま一度考えて、今回の能登半島地震を教訓にしていただければと思います。

 ご自宅の耐震補強をしていない市民にその理由を伺うと、「自分は高齢なので、大地震が先か寿命が尽きるのが先かわからない。地震が来たらその時までだ」などと仰いますが、今回の能登半島地震でも、50歳代の息子が80歳代の母親に覆いかぶさって親の命を守り、息子が犠牲になる痛ましい事例も出ています。どうか、命を守る行動がとれるよう、日頃から準備を進めてください。

■ 防災情報の入手方法を確認しましょう
 島田市LINE公式アカウントのトップページ下段にある「防災」をタップしていただくと、防災メールの送信履歴、危機管理課からのお知らせ、FM島田のインターネット放送、洪水ハザードマップなどをいつでも確認していただくことができます。また、地震が起きたときどうすればよいか、避難や火災への対応、各地域の被害想定、安否確認の方法など、さまざまな注意点を島田市防災ガイドブックにまとめています。ぜひこの機会に改めてご確認ください。

届け、支えの手 市民の複雑な課題に寄り添う重層的支援とは(令和6年1月15日掲載)

■ 多様化する福祉の課題
 「笑う門には福来る」と申しますが、本年も皆さんにとって幸多き一年であることを願いながら、心新たに市政羅針盤をお届けいたします。
 今月のテーマは、福祉の在り方についてです。長年にわたる日本の福祉制度は、生活保護、高齢者介護、障害福祉、児童福祉など、対象者の属性や課題ごとに対応する行政の部署が異なり、縦割りの支援体制の中で専門的な支援が提供されてきました。
 一方で、現代社会は、ヤングケアラー、社会的孤立、虐待、生活困窮、8050問題など、個人や世帯が複雑で多様な複数の課題を抱えるケースが増加し、現状の支援体制では適切に対応していくことが難しいケースが出てきています。本市では、個人や世帯が抱える課題をそれぞれの専門家が集まって協議するケース会議などで連携を図ってきましたが、あらゆる相談を包括的に受け付ける「相談窓口の一本化」までには至っておりません。今回はこうした状況を鑑み、「重層的支援体制」について、お話したいと思います。

■ 包括的な支援に向けた新たな取り組み
 まず、皆さんは「重層的支援体制整備事業」という言葉を、聞かれたことがあるでしょうか。介護、障害、子育て、生活困窮といった分野別の相談体制では、解決に結びつかないような「くらしの困りごと」に対応するため、市全体で「分野を問わない相談支援」、「参加支援」および「地域づくりに向けた支援」を一体的に実施することで、包括的な支援体制を整備する事業をいいます。わかりやすく言うと、制度や仕組みの垣根を超えて「支援のしづらさ」を少しでも改善し、「生きづらさ」を抱える人たちの生活を支援していこうとする事業です。
 国では、令和3年4月の改正社会福祉法に基づき、「重層的支援体制整備事業」が創設されました。実施を希望する市町村の手あげに基づく任意事業ですが、本市では令和6年度からの段階的実施に向け、「重層的支援体制整備」を軌道に乗せるための準備に取り掛かっています。まずは「分野を問わない包括的相談窓口」の設置から、着手したいと考えています。既存の支援機関などの機能や専門性を生かし、相互にチームとして連携を強めながら、市全体の支援体制を創ってまいります。
 支援を必要とする人にとっては、1分野をまたぐ複雑な生活課題を抱える人が、たらい回しにならず、2自覚している生活課題以外の根本的な課題への支援が得られます。また、地域で支援する団体や専門職にとっては、1財源や規制などによって取り組みが分断されることがなく、分野をまたぐコストが小さくなり、2全てを抱え込む必要がなく、支援の負担を軽減できるなどの改善が進みます。

■ 地域のつながりで生活課題を抱える人を支える
 「重層的支援体制整備事業」が創設された背景として、地域共生社会の実現があります。地域共生社会とは、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域を共に創っていく社会のことを言います。つまり「重層的支援整備事業」は、行政や社会福祉協議会など関係機関だけで役割を果たせるものではなく、地域のつながりの中で支援を必要とする方への「気づき」がベースにあって、成り立つ事業ということをご理解いただきたいです。
 本市では、これまでも「第2次島田市総合計画後期基本計画」や「島田市地域福祉(活動)計画」に「地域共生社会の実現」を掲げ、さまざまな取り組みを進めてきました。重層的支援体制整備事業も、地域共生社会を実現するための新たな取り組みの一つとしてさらに力を入れてまいります。

働きやすい服装の通年実施について(令和5年12月15日掲載)

■ 働きやすい服装について考える
 当市ではこれまで、5月から10月までを「クールビズ」期間として、職員の軽装勤務(ノーネクタイ・ノージャケットなど)を励行してきました。この度、年間を通して働きやすい服装を促すことで業務の能率化を図り、住民サービスの向上や、より一層の環境対策に資することを目的として、ノーネクタイなどの働きやすい服装での勤務を通年実施することとしました。来年10月末までを試行期間と定め、その後は試行結果を検証して正式導入の可否を判断してまいります。
 クールビズ、ウォームビズの期間を設けないで、職員それぞれの判断で服装を調整していますので、来庁される皆さまにおかれましては、本取り組みへのご理解をよろしくお願いいたします。市民のために高いパフォーマンスを発揮できる市役所に、市役所全体がチームとして明るく、風通しがよい、さらに働き甲斐がある職場にという職員からの提案もあり、人事課内部や庁議での検討を踏まえ、判断いたしました。上着やネクタイ着用という慣例にとらわれず、職員それぞれの多様性や自主性を認めていきながら、職員一人ひとりが最大限の力を発揮できる執務環境や雰囲気を創出することを目指しています。

■ 取り組みにより規定が明確化
 何を着てもいいという「服装の自由化」とは違います。トレーナー・パーカー・ジャージの着用、ハーフパンツやジーンズの着用、ノースリーブやサンダル履きなどは、執務室内で業務を行う場合認めていません。現場などで作業を行う際には、所属長の判断のもと適した服装を指導しています。働きやすい服装を選択することを通して、市職員が自覚と責任をもってTPO(時・場所・場合)をわきまえ、来庁される皆さまに不快感や違和感を与えることのないよう、公務員として品位を失わない節度ある服装とすることを徹底してまいります。また、式典など社会通念上一定の礼儀が必要とされる場においては、ネクタイやジャケットの着用など適切な対応をとります。
 たかが服装と思われるかもしれませんが「人の印象は3秒で決まる」と言われるように、私たちは出会った方の服装や清潔感など全体的な印象から即座に情報を入手し、瞬時にその方の年齢や職業や信頼度などを品定めしてしまってはいないでしょうか。以前、視覚障害者の方と音の出るボールを使ってフロアバレーボールを楽しんだ時に、「視覚障害者は、心の目(声から受ける印象など)で相手と向きあっているんです」と伺ったことがあります。見た目が邪魔して先入観を抱いてしまうこともあると、その時に気づかされました。

■ 職員が自らを客観視できるように
 今回の取り組みのポイントは、自分で「良い」と考えることではなく、市民の皆さまなどが「仕事にふさわしい身だしなみ」と感じることです。
 来庁される皆さまは、対応した職員の身だしなみから、その職場全体の印象を持つことがあります。不適切な格好は市民の皆さまなどに不快感を与えるだけでなく、公務員の仕事そのものに対する不信感を与え、きちんと仕事をしていることが伝わらないこともあります。派手さを感じさせない控えめな服装を基本とし、名札は相手の見やすい位置に着けるなど、職場にふさわしい清潔感のある身だしなみを大切にする職員を育ててまいります。
 ちなみに、11月から働きやすい服装の通年実施を始めましたが、職員の服装が派手になったなどの変化はありません。先日の記者懇談会の席上で「部長たちは皆ネクタイをしているが、働きやすい服装に替えないのか」という質問がありました。部長たちや私は、会議や式典等への出席も多く、社会通念上、お目にかかる方々に失礼がないよう、時、場所、場合に即した対応を第一に考えています。管理職の服装は替わり映えしないかもしれませんが、職員の自覚は浸透してきています。

ふるさと納税制度の現状と課題(令和5年11月15日掲載)

■ ふるさと納税制度のあり方を考える
 皆さんは、「ふるさと納税」にどんなイメージをもっておられますか。お得な買い物サイトだと思っておられる方、寄付した額以上の特典(返礼品と税額控除)が受けられるから利用しない手はないと考える方など、受け止め方はさまざまです。地方創生を謳って2008年にスタートしたふるさと納税は、制度開始から丸15年が経過しました。都市部で暮らす地方出身者が、人口減少等で財政的に苦しい出身地を応援する目的で始まった制度です。その後、ふるさと納税の仕組みは何度も見直しを重ねながら、2021年度には金額ベースで約8,300億円、件数ベースで約4,500万件に達しており、今後も増加すると見込まれています。一方で、ふるさと納税の制度にはさまざまな議論があり、課題が顕在化しているのも事実です。そこで、島田市の現状をお伝えするとともに、ふるさと納税制度のあり方についてご一緒に考えていただければと思い、今月のテーマとします。

■ ふるさと制度3つの利点
 一般に、ふるさと納税には次の3つの利点があるといわれています。1.返礼品がもらえる。(自治体側からすれば、返礼品を通じて地域の名産品や産業を全国の人に知ってもらえる) 2.寄付金が控除(還付)される。ふるさと納税では控除上限額内で寄付を行うと、合計寄付額から2,000円を引いた額について、所得税の還付、住民税の控除を受けられます。3.寄付金の使い道を指定できる。教育・環境・福祉・子育て・災害復旧などさまざまな使い道を選択できます。大規模災害などの折に、被害の大きかった自治体に寄付が集中するのも、ふるさと納税を使って被災地を応援したいという善意の表れと感じます。

■ 当市の返礼品・納税の現状
 では、島田市の現状はどうなっているでしょうか。まず、ふるさと納税返礼品として一番人気なのは、トイレットペーパー、二番手はコーヒーの詰め合わせ、次いでティッシュなどとなっています。残念ながら、島田市特産のお茶やみかんは、返礼品のベスト10に入っていません。
 令和4年度にふるさと寄付金として当市にご寄付いただいた額は3億1,181万3,000円、寄付件数は1万9,188件でした。これに対して、寄付額の3割相当の返礼品代、ふるさと納税を募るポータルサイトへの手数料、送料などの経費が1億6,663万1,000円かかっていて、差し引くと、当市にいただいた寄付額の純益は1億4,518万2,000円となります。
 これに対して、島田市民が他市町へふるさと納税制度を使って寄付し、島田市から住民税控除を受けた金額が1億4,490万9,000円あります。島田市に寄付していただいた額から、島田市民が他市町に寄付し、島田市の住民税控除を受けた額を差し引くと、純益は、27万3,000円でした。これが、現在のふるさと納税の実態です。全国的にふるさと納税で集めた寄付額ばかりクローズアップされますが、そのまちの市民が他市町に寄付する額が多ければ、市の収支は赤字になってしまいます。横浜市などはふるさと納税により、年間230億円以上の住民税が他市町に流れ、税収減になるという大きな課題を抱えています(総務省データによれば、全国の4分の1の自治体が赤字)。

■ 返礼品の掘り起こしと地場産品の販路拡大
 ふるさと納税は、地場産品の販路拡大という大きな成果を挙げていますが、海産物やブランド牛、産地米、観光地宿泊券など、名の通った返礼品がある市町に寄付金が集中し、通販サイト化しています。ふるさと納税で全国上位にランキングされる市町は固定化し、魅力ある返礼品を揃えられるか否かで寄付額の優劣が決まると言っても過言ではありません。このように返礼品競争が過熱化する中、本年10月には、ふるさと納税に係るすべての経費を5割以下とする基準、地場産品基準の明確化など、適正な運用について総務省から通達がありました。
 ふるさと納税で集めたお金で市町に新しい施設ができたり、給食費の無償化に充てたりという話題も耳にしますが、ふるさと納税は恒久的な制度ではありませんので、経常的な歳出に充てるのは慎重にすべきと考えます。その上で、魅力ある返礼品を掘り起こし、地場産品の販路拡大を図り、島田市をもっとPRできるよう、組織を挙げて尽力してまいります。

次なる100年を担う市役所新庁舎が開庁しました(令和5年10月13日掲載)

■ 誰もが利用しやすい新庁舎へ
 市では、旧庁舎の耐震性や施設の狭あい化および部署の分散化などの課題を解消するため、新庁舎建設に向けた取り組みを進めてきました。これまでも折あるごとに、事業の進捗状況等についてご説明してきましたが、10月10日から新庁舎での業務がスタートしましたので、新庁舎に込めた思いや建物の特徴などについて、改めて皆さんにご報告いたします。
 新庁舎は旧庁舎の東側に位置し、延べ床面積は約1万1,250平方メートル(旧庁舎の約2倍)、地上4階建て鉄筋コンクリート造。西側に正面玄関を設け、1・2階の低層階は市民の皆様が多く訪れる市民課・福祉課・子育て応援課・保育支援課・納税課などの窓口部門を配置し、誰もが利用しやすい庁舎としています。ほとんどの部署が新庁舎に集約され、窓口が集結したことで、市役所としての機能が改善されました。

■ 安全安心を守る庁舎と利便性の向上
 新庁舎の主な特徴は、次の4点。1.利用しやすく人や環境に優しい庁舎、2.防災拠点となる安全安心な庁舎、3.多機能で効率的な庁舎、 4.みんなの交流の場となるシンボル的な庁舎です。
 特に「防災拠点となる安全安心な庁舎」については、災害時の復旧復興の要となる災害対策室を3階に配置し、市民の安全安心を守る自立型庁舎としました。大規模地震などが発生しても、継続して業務を行えるよう基礎の部分に免震構造を採用。浸水対策を施すとともに、停電したり公共下水道が使えなくなったりしても、庁舎の機能が維持できるよう非常用発電設備や緊急汚水槽、太陽光発電設備を備えて、災害時も業務を継続できるようにしました。
 さらに、地下水を活かした地中熱利用空調システムの導入、島田ならではの西風を自然通風に採用、採光等を積極的に活用するなど、防災・環境面で高い性能を誇ります。また、皆様からの要望が多かったフリーWi-Fiも導入して、来庁者の利便性向上を図るとともに、移転に併せて公文書の電子化を進め、行政事務をスマート化しました。また、無線LAN環境の整備を行い、会議におけるペーパーレス化を一気に進めるとともに、職員が自席を固定せずに働けるようにすること(フリーアドレス)で、部門間のコミュニケーション向上を促進します。

■ 建設にかかる財源の確保
 さて、新庁舎建設にあたっては、「施政方針で『縮充』を掲げながら、病院に次いで市役所も建てるのか」「新庁舎の建設より、コロナ禍で疲弊した市民生活を支える方が先ではないか」というご意見をいただき、市長として悩んだ時期がありました。もちろん、市民の生命と暮らしを守ることを最優先に、さまざまな経済対策やワクチン接種等の医療・福祉対策、子育て世帯への給付金や物価・エネルギー価格高騰対策等を実施させていただきました。一方で、建築から60年以上が経過し、老朽化に加え耐震性に課題を抱えていた旧庁舎は、いずれ改築しなければならず、有利な財源の確保を考えると、あと3年延ばすことさえ難しい待ったなしの時期に来ていました。
 新庁舎の建築費は、外構工事・解体費用含めて約87億円です。このうち約62億円を合併特例債と合併推進債で賄う計画を立てました。これらの有利な起債を活用すれば、国から約36億円の交付税措置を受けらる見込みです。ただし、その活用期限は、合併特例債が令和7年度末、合併推進債は令和5年度末に迫っていました。その期限までに工事が完了することが条件です。つまり、あと3年建設を遅らせたら、建設費の大半を市単独で賄わなければならず、ここは有利な起債が活用できる期間を逃さないことが得策と判断しました。結果論ではありますが、コロナ禍を経て資機材・人件費・エネルギー価格等の全てが高騰した現在、同様の予算で同等の庁舎は建てられないと思います。うまく建設費高騰を切り抜けることができました。また、コロナ下にあっても市内経済への波及効果が高い大型公共事業を実施できたことで、市内経済の再生、景気の下支えもできたと考えています。
 今後は、旧庁舎の解体や駐車場の整備を進めるため、しばらくの間は新庁舎へお越しいただく際にご不便をおかけしますが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。旧庁舎解体後は、速やかに駐車場の造成工事にかかり、順次整備できたエリアから駐車場を開放します。すべての工事完了(グランドオープン)は、令和6年度内を予定しています。

「2025年には高齢者の5人に1人が認知症」を考える(令和5年9月15日掲載)

■ 増加する高齢社会の認知症
2025年には、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり、市民の3人に1人が65歳以上になります。また、国の令和5年度の高齢社会白書によれば、2025(令和7)年には約700万人(高齢者の5人に1人、国民の17人に1人)が認知症になると予測され、国の推計値を島田市に当てはめると、2025(令和7)年には高齢者3万557人に対して約5,700人、2040(令和22)年には高齢者2万8,936人に対して約6,000人が認知症になる計算です。
 今月は「世界アルツハイマー月間」です。認知症になっても、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる手立てについて、ご一緒に考えたいと思います。

■ 市の取り組みと認知症のリスク
 島田市では、高齢になっても住み慣れた地域で安全安心に自立した生活を営めるよう、認知症サポーター養成講座・認知症対策検討委員会・認知症予防講座(VR認知症体験会・出前講座など)・認知症家族会・認知症カフェ・成年後見制度・認知症高齢者等個人賠償責任保険事業・しまトレ、居場所、地域ふれあい事業・パワーリハビリ・eスポーツ・ご自宅に手すりなどを設置する補助など、さまざまな事業を実施し、高齢者の人たちへのサポートや認知症への理解促進を図っています。また、今年度は新たな事業として、認知症に関する映画の上映会も予定しています。
 さて、認知症の人は、身体機能に問題がなければ出歩くこともできますし、自宅で暮らしていくことも可能です。ただし、症状が進行すると理解する力や判断する力がどんどん失われていくため、日常生活や社会生活に支障が生じるようになってきます。例えば、お店でお金を払わずに出てきてしまう、赤信号を渡ろうとする、自分の思い違いからクレームを訴えるなど、社会のルールから外れた行動を起こしてしまうことがあります。外見からは認知機能に問題があると分からず、時には大ごとになってしまうことが予想されるのです。あるいは、他人も巻き込むような大きな事故が起きる可能性も否定できません。

■ 求められる認知症への理解
 認知症の人も安心して暮らし続けられるまちを創るには、社会全体でフォローできる環境を創っていくことが一番大事と考えます。私たち一人一人が認知症に対する偏見をなくし、認知症の人たちへの理解を深めていくことが肝心です。「認知症になると何もわからなくなる」という思い込みや、「嫁がいるのに介護施設に行かせるなんてかわいそう」などという周囲からの声が、本人や家族を傷つけます。また、認知症であっても、地域とつながり続けることが大切です。平常時から互いにちょっとした声掛けを行い、支える側も支えられる側も、相談しやすい関係ができればいいなと思います。

■ 身近な心のよりどころ
 認知症だけに留まらず、市内には8050問題(80歳代の親が50歳代の子どもの生活を支える)、経済的困窮、老老介護(高齢者の介護を高齢者が行う)など、さまざまな困難を抱える人が多くおられます。どうしようもない状況に陥る前に、周囲の人たちから民生委員に相談いただくか、市内6カ所にある高齢者あんしんセンターに連絡いただいて、地域みんなでセーフティーネットの役割を果たしていけたらと考えます。
 ところで、厚生労働省の専門部会は去る8月、エーザイが米国大手製薬会社と共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」の承認を了承しました。アルツハイマーの原因物質アミロイドβを取り除く効果が期待され、初期のアルツハイマー患者に投与すれば、認知機能の低下を軽減できるそうです。
 歳を重ねてからも自立した生活を長く続けるためには、気力・体力が大事です。元気な時から体調管理や健康的な生活習慣を心掛けること、自分の身の回りのことはできるだけ自分でやること、地域の誰かとつながっていることなどが、私たち一人一人に求められています。

敬老のお祝いと個人情報保護法のはざまで(令和5年8月10日掲載)

■ 敬老会と個人情報の取り扱い
 もうすぐ「敬老の日」がやってきますね。今年は、コロナ禍前の規模に戻してご長寿のお祝いをする自治会が多いと聞いています。敬老のお祝いの主催者は、自治会などの各団体ですが、市は敬老会を実施する団体に対し、実施に要する費用の一部を助成しています。また、これまでは毎年、自治会の求めに応じて対象者名簿を提供してきましたが、個人情報保護法の改正(令和5年4月1日施行)により、今年度からは原則として(災害時の避難・救出活動など明らかに個人の利益に資する場合を除いて)、ご本人の同意なしに市から名簿を提供することができなくなりました。今月は、個人情報の取り扱いを絡めて、敬老会のあり方をご一緒に考えてみたいと思います。
■ 人生の先輩を敬い、長寿を祝う
 この件を、6月の自治推進員連絡会議でご説明したところ「うちの自治会は、75歳以上を対象に敬老会を実施しているのに、75歳以上80歳未満の名簿はもらえないのか」「『本人の同意』というのは、どのように確認するのか」「地元で対象者を調べてほしいといわれても、新しく引っ越してきた世帯のことはわからない」等々、多くのご意見をいただきました。市としても、自治会などによる敬老会の開催は、地域活力の向上に寄与する大切な行事と捉えておりますので、開催への影響を最小限にするため、今年度81歳以上になる方々の名簿は、昨年の実績をもとに、対象者の情報を整理してお渡しさせていただきます。また、令和5年度に新たに80歳となる対象者については、ご本人の同意が得られた方のみ名簿に追加させていただきます。ちなみに、令和5年度に80歳を迎える市民は、1,182人おられます。市は、郵送にてお一人ずつ確認をとっていますので、お手数をおかけいたしますが、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
■ 敬老会のルーツと継続への課題
 「敬老の日」のルーツは、昭和22年に兵庫県多可郡野間谷村(現在の多可町)で「お年寄りを大切にし、お年寄りの知恵を生かした村づくりをしよう」という考えのもと「としよりの日」が提唱されたのが始まりだそうです。その頃の平均寿命は、男性が50.06歳、女性が53.96歳でした。その後、昭和39年には老人福祉法により「老人の日」が制定され、昭和41年に国民の祝日として「敬老の日」となりました。祖父母や両親、恩師など人生の大先輩を敬い、感謝の気持ちとともに長寿のお祝いをする日として引き継がれています。
 地域で開催する敬老会への市の助成事業は、地域での敬老と支え合いの精神を育み、地域福祉の向上を図ることを目的として支援します。私も、敬老会を実施している団体の方から意見を伺う機会があります。その中では、地域全体の平均年齢が上がり、「これまで通りの会の運営は難しい」という声の一方で、年中行事として敬老会を楽しみにしている人も多く、「今後も継続していきたい」という意見もありました。ご本人が病気がちだったり、ご家族のことで心配事があったりすれば、晴れ晴れとした気持ちで敬老会に参加することはできないと思います。敬老会を楽しめることは、今の自分が幸せであることの証しでもあるのです。
■ 敬老事業のあり方について考える
 全国を見渡すと、80歳以上全員を対象とはせず、例えば、傘寿、米寿、卒寿、白寿などの節目に、感謝状と記念品をお渡ししている自治体もあります。しかし、これでは、地域を挙げての長寿のお祝いの会ではなくなってしまいます。「敬老の日」が制定された頃は、祝福される側の高齢者は少数で、それを支える地域の担い手は活気があり、お互いが楽しみにしていた事業であったと思います。現在は、祝福される側の人口が増えた一方で、支える側が人手不足となり、担い手の平均年齢も上がりました。コロナ禍を経て、社会情勢や人々の価値観が大きく、かつさまざまに変化する中、個人情報保護法の改正もきっかけにして、現代の諸事情を踏まえた敬老事業のあり方を再考する必要がありそうです。

「市長への手紙」から考える地域社会の役割(令和5年7月18日掲載)

■ 寄せられるコミュニティー活動簡略化の声
 毎日のように届く市長への手紙には「どうせ市長は読みっこない」などの記述を見かける時があります。皆さんがそのように思っておられるとしたらとても残念です。昨年度は304通の市長への手紙をいただき、すべての手紙(又はメール)を拝読しています。
 さてその中で、ここ数年気になる傾向は「自治会や地域コミュニティーへの参加は煩わしい」「川ざらいは住民参加を求めず事業者に委託すればいい」「PTA、子ども会活動などは負担が大きい」「紙の回覧板は隣組に回すのが大変。廃止してデジタルベースにしてほしい」など、地域社会とのつながりを面倒に思う市民が増えていることです。
 他にも、コロナ下で休止していた壮年会などの活動を再開したが、辞める人が相次ぎ元のようには活動できなくなったなどの声が聞こえてきます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、思うように行動できなかった3年間が、じわじわと地域社会に変化をもたらしました。
■ 地域社会の希薄さが落とす影
 コロナ禍で自粛していても支障がなかったことは、やめてしまえばいい、参加するのが億劫だとの声も聞こえます。一方で、3~4年ぶりに開催したお祭りなどでは、しきたりや準備の継承が難しくなった他、高齢の皆さんは家にこもりがちになり、身体機能の衰えが気がかりです。
 コックをひねれば水やガスが出る。まちの安全は警察や消防が守ってくれる。煩わしいことは「公共(行政)」に任せておけばいい。他人と関わらなくても何不自由なく生きていけると考える人が増えた一方で、周りの人たちとうまく関係をつくることができずに孤立する人たちや、お互いが無関心な中で発生する都市型犯罪など「他人と関わらずに生きる」ことがはらむ問題点も明らかになっています。
■ まちの安心安全を支えるコミュニティーの力
 防災面から考えても、1995年に起こった阪神・淡路大震災や2011年に発生した東日本大震災は、公共サービスが途絶えたときの「ひとりで生きる」ことの脆さをあらわにしました。震災の時に役立ったのは、何よりも近所同士の見守りや支え合いなど、地域コミュニティーの力だったのです。
 災害のような非常時だけではありません。いま私たちの身の回りで起こっている、子どもを狙う犯罪や事故、高齢者の孤独死などの中には、ちょっとした地域の見守りや支え合いがあれば、防げた事例が少なくないはずです。
■ 他方で見直される地域のつながり
 こうした背景から、多くの人が「地域コミュニティーがしっかりしていることが安心の基盤」だと気づき始めているように思います。また、自分たちの地域の良いところを大切にし、課題を改善して、自分たちの手で住み心地の良い地域にしていこうとする試みが増え、地域コミュニティーの役割が見直されてきているようにも感じます。
 行政の仕事は、「市民の想いを受け止め、調整し、市民活動を支え、一人一人が笑顔で快適に暮らすことができるまちをつくる」という究極のサービス業であります。同時に、10年先、20年先の島田のためにいま何を選択するかという、このまちの未来を設計する重要な役割を担っています。
 だからこそ、行政は地域コミュニティーの活性化を働きかけ、地域の想いと主体性を尊重しながら、地域との協働に取り組んでいるのです。皆さんが住む地域も、さまざまな立場で熱心に活動してくれる人がいるから、安全も安心も絆も保たれているのではないでしょうか。
 地域とのつながりは、一概に面倒なことばかりではありません。楽しい行事や交流もたくさんあり、顔の見える関係が、あなたやあなたの家族を守ってくれるはずです。昔の「当たりまえ」は通用しない時代、どうすれば誰もが安心して住み続けられる地域を創れるのか。自問自答を繰り返し、日々真剣に考えています。

県内初市役所業務にチャットGPT活用実証実験(令和5年6月15日掲載)

■ 瞬く間に世界で利用される機能
 いま話題のチャットGPTについて、耳にしたことはあるけれど、その実態はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
 チャットGPT は、私たちの質問や依頼に対して、まるで 人間のように自然でクオリティの高い回答をする生成AI(人工知能)です。昨年11月に米国のオープンAI社が公開すると、またたく間に注目を集め、登録者数はわずか2カ月で1億人を超えました。
■ リスクと利便性が共存する現状
 一方で、情報の正確性や個人情報の保護、著作権の問題など、回答をうのみにできる段階ではないことも指摘されています。ちなみに「染谷絹代はどんな人?」とチャットGPTに聞いたところ、「1940年代に活躍した日本の女優」と出ました。田中絹代さんの情報と取り違えているようです。このように、まだまだ課題はありますが、使い方次第では、業務の効率化に大きく貢献できる画期的なツール(道具)でもありますので、当市は、DX推進課において4月から県内自治体初の実証実験を開始しています。
 チャットGPTは、挨拶文やメールの作成、絵画や詩や小説の執筆、表計算ソフトの関数作成、プログラミング、料理の献立づくり、作詞・作曲など、あらゆる質問や要望に数十秒で回答してきます。市役所業務でいえば、各種あいさつ文、資料の要約、行政文書の下書きなど、これまで時間をかけてきた業務も、ものの数十秒で回答が得られます。運用ルールの明確化や最終チェックの徹底を通じてリスクを軽減し、捻出できた時間を人間にしかできないきめ細やかな住民サービスにつなげたいと考えています。
 繰り返しになりますが、チャットGPTには、誤った情報が拡散し、個人情報や機密情報が漏えいする危険性もあるため、適切な監視や検証のルールづくりが必須です。当市も、個人情報や秘匿性の高い情報の入力を禁じるなどして、安全管理を徹底しながら実証実験を進め、安全性と有用性が確認され次第、全庁へ運用を拡大していきます。また、法律や規制に従った運用を行うことが重要ですから、導入に向けてのルール作りについて、関係各所と実運用への課題、利用範囲、利用環境などについて検証を進めています。
■ 利用者に求められる事実確認
 ここまでの説明で、チャットGPTには、画期的な利便性と同時に、使い方によってはリスクが伴うことをご理解いただけたかと思います。リスクは、大きく分けて二つ。セキュリティと信ぴょう性の問題です。仮に、秘匿性の高い情報をチャットGPTに入力してしまうと、その情報がチャットGPTの学習のために利用され、思わぬところで出力されてしまう可能性があります。また、チャットGPTの高い能力を、悪意のある者が利用すれば、中立性と正確性を欠く情報が生成され、世の中の情報操作も可能となってしまいます。すでにアメリカでは、国防総省の近くで爆発が起きたとする偽の生成AI画像がネット上で拡散し、株価が一時的に下落する騒動に発展しました。
 他にも、チャットGPTの回答は出典が分からず、著作権に抵触する問題が発生しています。生成された情報をうのみにせず、ファクトチェック(検証)をする必要性があるでしょう。チャットGPTはAI(人工知能)の可能性の広がりを実感させてくれる存在ではありますが、同時にセキュリティや信ぴょう性などのリスクがあることも知った上で、利用することが求められます。
■ 人間の英知で上手な活用を目指して
 振り返れば、令和元年に「島田市デジタル変革宣言」を発表して以来、誰もが、いつでも、どこでも、DX(デジタルトランスフォーメーション)の恩恵を受けられる行政サービスの実現を目指して取り組んできました。職員には、「1年の遅延が、将来の10年の差になる」とハッパを掛け、人材育成にも励んできました。その蓄積があるからこそ、チャットGPTの活用にも、すぐさま組織として対応できたと考えています。近い将来、チャットGPTをはじめBingやBardなどのAIサービスは、世界中で汎用されるでしょう。今後、問われるのは、チャットGPTなどを活用する人間の英知と、対話型で回答を導き出す利用者の質問力だと考えます。まずはチャットGPTの特徴をよく理解した上で活用し、最後は、人間が自分の頭で考えることが大事です。こうした現状認識を持ちながら、細心の注意を払って実証実験を続けています。
※なお、本稿はチャットGPTで生成したものではありません。

築城 450 年を迎える諏訪原城の成り立ちと記念イベント(令和5年5月15日掲載)

■ 家康公ゆかりの山城
 皆さんは、日本でも有数の山城が金谷にあることをご存じでしょうか。戦国最強の武将・武田信玄の息子、勝頼と徳川家康の国取りの舞台となった「諏訪原城跡」です。 天正元(1573)年に武田勝頼が築城し、天正3(1575)年に家康によって攻め落とされた諏訪原城は、日本最大級の「丸馬出」と呼ばれる城の防御施設を備え、当時の激しい戦いの様子を彷彿とさせる光景を今も色濃く残しています。今年は、築城から450年という節目の年にあたり、 諏訪原城に関連したイベントを3つほど企画しました。そのご案内とともに、この山城の歴史や特徴について振り返ってみたいと思います。
■ 武将の目に止まった立地の良さ
 諏訪原城跡は、1975年に国指定の文化財(史跡)に指定され、2017年には公益財団法人「日本城郭協会」から「続日本100名城」に選定された歴史的価値の高い山城です。日本史を語る上で欠かせない戦国大名・徳川家康を主人公としたNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送をきっかけに、戦乱の世に天下統一を果たした家康の物語に再び注目が集まり、全国から多くの城マニアが訪れています。
 諏訪原城について、専門家は「戦をする上でまたとない条件がそろった城」と口をそろえます。牧之原台地の先端に位置することで大手(表側)は平坦ですが、「本曲輪」東 側が断崖絶壁になっていて、城の眼下を大井川が流れる典型的な“後ろ堅固”の城でした。また、主要街道・東海道が城域内を通過し、東西交通の要衝の地であったこと、高台にあり、東海道や大井川から攻め入る敵の動向を把握しやすかったこと、駿河と遠江の国境地点に位置していたことなど、多数の地の利に武将たちは目を付けたと思います。
■ 諏訪原城の歴史と見どころ
 この城は、駿河から徳川領の遠江へと侵攻を試みた武田勝頼が、家臣の馬場(美濃守)信春に命じて、駿遠の国境に遠江侵攻の拠点として築き上げました。城内に戦の神、勝利の神として多くの武将の信仰を受けてきた「諏訪大明神」を祭ったことから諏訪原城と名付けられ、現在も「諏訪神社」が城内に残っています。
 徳川家康は、天正3(1575)年の「長篠の合戦」と同じ年に諏訪原城を奪取。間もなく「牧野城」として改修しました。市が2009年~2015年に実施した発掘調査によると、「武田流築城術」が顕著に表れた城でありながら、現在残る遺構の多くは、徳川家康によって改修された可能性が高いことが明らかになっています。
 高台の断崖上に位置する「本曲輪」も見どころの一つです。大井川をはじめ、島田市や藤枝市の市街地が眼下に広がる絶景スポットで、改めて諏訪原城が“後ろ堅固”の城を絵に描いたような立地に建てられたことを実感できる場所です。天気が良ければ富士山を一望でき、1時間足らずで城跡を一周できますので、ぜひ山城初心者の方も気軽にお越しいただければと思います。
■ 築城450年記念事業
 諏訪原城築城450年の今年、市では、三つの記念事業を計画しています。一つ目は、諏訪原城の歴史を紹介する博物館での企画展「築城450年記念諏訪原城」(7月1日~9月24 日)。二つ目は、「武田・徳川両軍に分かれて楽しめる春風亭昇太氏を隊長とした諏訪原城応援隊による合戦イベント」(7月31日)。三つ目は、戦国時代史研究の第一人者で、歴史学者の小和田哲男氏を講師にお迎えしての「記念シンポジウム」(12月10日)です。
 中でも、記念シンポジウムは、諏訪原城跡整備委員会委員長でもあり「どうする家康」の時代考証を担っている小和田哲男氏と、同委員会副委員長で同番組の建築考証を行っている三浦正幸氏の基調講演を予定しており、家康と諏訪原城の関わりが聴ける貴重な機会 になると思います。
 諏訪原城ビジターセンターには、城の歴史や構造、年表、推定復元図、ジオラマ模型などが展示され、御城印も販売しておりますので、併せてご来館ください。

放課後児童クラブの現状と待機児童ゼロに向けての取り組み(令和5年4月14日掲載)

■ 待機児童ゼロに向けて
 近年、母親の就労機会の拡大、核家族化などにより、放課後児童健全育成事業(通称 放課後児童クラブ)の役割が重視されています。当市においても、市全体の児童数は緩やかに減少する一方、放課後児童クラブは、これまで20%前後で推移していた申込率が、今年は一気に約25%に増加しました。その結果、島田第一小学校に11 人、六合小学校に5人の新2 年生待機児童が発生する事態となり、保護者の皆さまには大変ご心配をおかけしました。急遽、学校施設の拡張利用や民間クラブとの調整で、希望する新2年生は全員放課後児童クラブへ入所可能となりましたが、3 ~6 年生では未だ待機児童が残っています。今月は、放課後児童クラブの現状と今後の見通しについてお話ししたいと思います。
■ 放課後児童クラブを取り巻く現状
 放課後児童クラブは、就労などにより昼間に保護者が家庭にいない小学生に対し、授業終了後や夏休みなどの長期休業期間中、小学校の余裕教室などを利用して、保護者が迎えに来るまで安全に過ごしてもらい、子どもの健全な育成を図ることを目的に設置されています。
 当市においては、公設民営のクラブが16カ所、民設民営が7 カ所あり、令和5年度の定員は1,114人。この8年間で330人以上の定員増を図ってきましたが、急激に希望者が増えたことで、供給が追いつかない状況になっています。「行政の需要予測が甘すぎたのではないか」「数年先の改善では遅すぎる。今を何とかせよ」と市長への手紙でも厳しい声が寄せられています。
 多くの母親が働きながら子育てする現状の中、祖父母など頼れる親族が近くにいない、子どもたちだけの留守番では安心して働けない、子どもの身に危険が及ぶようなことがあったら誰が責任をとるのか等々、放課後児童クラブへの入所を望む保護者の声は切実です。以前は社会問題であった保育園の待機児童は、当市の場合、昨年度も今年度も発生していません。現在は放課後児童クラブに、待機児童の波が移った状況にあります。
■ 学校施設と管理区分を分ける理由
 そんなに困っているなら、放課後の学校施設をそのまま使えばよいと考える人もおられるでしょう。しかし、学校施設と放課後児童クラブは国の所管が分かれている(文部科学省と厚生労働省)ために、管理区分も分離しなければならず、それぞれ独立した出入口や、子どもたちが遊ぶスペースを整備しなければ放課後児童クラブとして設置できません。学校には子どもたちの学用品や教育資機材が常備されているため、教室をそのまま使うことはできないのです。
 学校では毎日、教頭先生またはそれに代わる先生が勤務終了時に学校内を一巡して異常のないことを確認し、施錠して退勤します。放課後児童クラブは、全ての子どもに親の迎えが来て、支援員が後片付けをすると夜7時を過ぎてしまいます。管理区分を設けることで、学校側の負担軽減を図ることは必要な配慮であることを、ご理解いただきたいです。
■ 児童クラブを支える支援員
 支援員の確保も大きな課題です。有資格の支援員は、教員または保育士の免許がある人や、必要な現場経験を積んだ人が、所定の研修を受講する必要があります。勤務時間は午後1時ごろから7時ごろまでとなり、給料はフルタイム勤務におよびません。しかも、元気いっぱい飛び回る子どもを相手にする仕事ですから、体力がいります。子どもたちへの愛情と情熱がないと、続かない仕事なのです。私は、現場へ足を運ぶたび、支援員の皆さんに頭が下がる思いです。
■ 一人でも多く受け入れるために
 令和6年度以降の需要見通しは、小学校区によってばらつきはあるものの、全体として今後4~5年間は高止まりし、その後は減少に転じていくものと予測しています。市では、来年度以降の状況を調査し、継続的に学校や民間クラブなどとの調整を進めながら、可能な限り(補正予算を組んででも)、一人でも多くの児童の受入れに努めていきたいと考えています。現状では2年生までの受入れを最優先課題としていますが、できるだけ3年生までの希望者を全員受け入れられるように、最善の努力をしてまいります。

帯状疱疹ワクチン接種の助成を開始します~人生100年時代 健康で健やかな毎日をめざして~(令和5年3月15日掲載)

■ 人生は100年時代
 今年も桜の便りが聞かれる季節になりました。見事に咲き誇る姿とその散り際の潔さから日本人が最も好む花とされ、ご自分の人生と重ね合わせて眺める方も多いのではないでしょうか。今月は、人生100年時代の自立した生活と健康寿命の延伸を目指して、本年4月1日から始まる帯状疱疹ワクチン接種助成事業を紹介します。
 まずは、皆さんが長寿になったというお話からです。令和3年の厚生労働省の発表をみると、平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳ですが、実際にはもっと長生きする人が多いと統計で示されています。出生者のうちちょうど半数が生存すると期待される年数を「寿命中位数」といいますが、令和3年は男性84.39歳、女性90.42歳でした。90歳まで生存する割合は、男性27.5%、女性52.0%。ちなみに、最も死亡する人が多い「死亡年齢最頻値」は、男性88歳、女性93歳となっています。(厚生労働省「簡易生命表」より)
 これらの数字を見ても「人生100 年時代」は現実のものとなっていることが分かります。「そんなに長生きしても友達がいなくなるだけ」「家族に迷惑をかける」「お金が心配」と悲観的に考える方もいらっしゃいますが、どうせ生きるなら何事も前向きに、明るく楽しく生きてみませんか。
■ 安心して暮らすための市の施策
 当市は高齢者の皆さんに、住み慣れた地域で安心して住み続けていただけるよう、さまざまな施策を展開しています。具体的には、医療や介護を必要とする状態になってもできる限りご自宅で暮らせるよう、介護予防・生きがいづくり・24時間訪問看護ステーションなどの事業に取り組んでいます。「しまトレ」や「居場所」の実施箇所数を増やすとともに、これまで取り組んできた地域における「医療」「介護」「予防」「住まい」「生活支援」が一体となった地域包括ケアシステムを推進していますので、何か心配事があればお近くの「高齢者あんしんセンター」(地域包括支援センター)にご相談ください。
■ 帯状疱疹の症状と予防策
 いよいよ本題ですが、皆さんの健康寿命延伸の一助として、本年4月1日から50歳以上の市民を対象に帯状疱疹ワクチン接種1回につき4,000円を助成します。
 帯状疱疹は、加齢・疲労・ストレスなどによる免疫力の低下が発症の原因になることが多いといわれ、その痛みは肌着に触れても激痛が走るほどだそうです。また、50歳代から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症するといわれています。ワクチン接種で発症や重症化を予防できますが、費用が高額のため接種をためらわれる方も多いと聞きました。
 帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスで起こる皮膚の病気です。体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが多数集まって帯状に生じます。症状の多くは上半身に現れ、顔面、特に目の周りにも現れることがあります。多くの場合、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、神経の損傷によってその後も痛みが続くことがあり、これは「帯状疱疹後神経痛」(PHN)と呼ばれ、最も頻度の高い合併症です。また、帯状疱疹が現れる部位によって、角膜炎、顔面神経麻痺、難聴などの合併症を引き起こすこともあります。
■ ワクチンを接種して健康で健やかな毎日を
 ワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンがあります。生ワクチンは、病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めたものを原材料として、不活化ワクチンは、病原体となるウイルスや細菌の感染力を失わせたものを原材料として製造されています。接種費用は、生ワクチンで6,000~1万円、不活化ワクチンは2万~2万5,000円かかるそうです。また、生ワクチンは1回接種のみで効果持続期間は5年、不活化ワクチンは2回接種が必要で(助成金も4,000円×2回出ます)、効果持続期間は10年程度といわれています。実際のワクチン接種については、それぞれの医療機関にお問い合わせください。
 高齢になっても、元気いっぱい何事にも前向きに挑戦できる生活の質を維持するためにも、帯状疱疹ワクチンの接種をぜひご検討ください。

政府の「異次元の少子化対策」を受け 島田市としての対応~18歳までの子ども医療費を完全無償化します~(令和5年2月15日掲載)

■ 20年で激減した子どもの数
 岸田総理は施政方針演説において「子ども・子育て政策」を最重要政策に位置付け、「次元の異なる少子化対策の実現」を表明しました。経済財政運営の指針「骨太の方針」を策定する6月までに、子ども・子育て政策に関連する予算の大枠を示すとしています。
 ところで、本市においても「異次元の少子化」を実感する数字が出ました。令和4年の出生数は549人となり、年間に生まれる赤ちゃんが500人台に減少したのは初めてです。ちなみに、先月開催された「はたちの集い」の対象者数は1,018人でしたから、この20年間でざっと46%出生数が減った計算になります。
■ 国をあげた子育て環境の整備を
 子ども・子育て政策を施策の重要な柱として取り組んでいる本市でも、残念ながら少子化を食い止めることはできていません。その理由として「未婚化の進展」「晩婚化の進展」「夫婦の出生力の低下」などが指摘されていますが、これらの背景には、「仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れや高学歴化」「結婚・出産に対する価値観の変化」「子育てに対する負担感の増大」および「経済的不安定の増大」などの課題があります。基礎自治体である市の努力では、どうにもならない大きな課題があると認識しています。
 子どもを産み育てやすくする環境整備や経済的負担の軽減はもちろんのこと、日本社会が抱える最重要課題としてあらゆる分野にわたる対策を講じなければ、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に生む子どもの数-以下「出生率」という-)の向上は見込めません。たとえ出生率が上がったとしても、出産できる年齢(統計上は15歳~49歳)の女性数が減っているので、この先長期にわたり少子化傾向は続きます。このまま人口減少が進むと、さまざまな分野で人材が不足し、社会機能を維持できなくなる恐れがあるのです。
 このような背景から、国策として少子化対策に取り組むことは大変意義のあることと思いますので、「児童手当の拡充」「保育等子育てサービスの充実」「働き方改革」を手始めに、社会全体で安心して子どもを産み育てられる環境を迅速に創っていただきたいと、本市からも政府に要望しています。
■ 児童手当拡充の課題
 さて、私のもとには「東京都のように現金給付をしてほしい」「現金給付を拡充してくれないと生活ができない」などという子育て世帯からの手紙が届きます。コロナ禍の救済措置として何度も現金給付を重ねている中、現在も、児童手当として3歳未満の子ども1人につき月額1万5千円、3歳~小学生は1万円(第3子以降は1万5千円)、中学生は1万円が支給されています。今後は、「次元の異なる少子化対策」を実現するため、児童手当の拡充幅が最大の争点となりそうですが、その財源には2~3兆円が必要と試算されています。
■ 子育て世帯を応援する新たな施策
 本市ではこれまでも、第2子保育料半額、第3子以降を無償化にするなど、安心して出産や育児と向き合い、親子が健やかに暮らすことができるよう、子育てに係るさまざまな負担の軽減や不安の解消を図ってきました。また、「島田市版ネウボラ」や「しまいくプラス」などの推進により、妊娠期から出産・子育て期まで一貫した伴走型支援にも力を入れてきましたが、今回さらに踏み込んだ施策が必要と判断し、18歳以下の子ども医療費を完全無償化することを、令和5年度当初予算案に計上しました。システムの改修や要綱改正などの整備を行い、受給者証の更新に合わせて10月から実施してまいります。これまでは月4回(乳幼児は月2回)まで、通院1回につき500 円を自己負担していただきましたが、通院医療費も入院時の食事療養費も全て無償といたします。
 これまで「島田市版ネウボラ」に取り組んできた本市では、この春には「出産・子育て応援交付金」として、母子手帳交付時に5万円、出産した時に5万円を交付する制度にいち早く手上げし、他市に先駆けて、この1月1日から実施しています。また、この交付金は、昨年の4月1日まで遡及して給付を行っています。
 この他にも、妊娠中の母親や出産後間もない子どもを持つ母親に対して一定期間育児サポーターを派遣し、新生児の世話や育児に対する相談・助言といった育児援助を行う伴走型支援「育児サポーター派遣事業」も無償で実施していますので、まずは、お気軽にご相談ください。

令和6年度以降の小規模特認校制度について(令和5年1月16日掲載)

■ 豊かな自然環境のもとで学ぶ
 「うさぎは跳ねる」と申します。皆さまにとっても大きく跳ねる「幸多き一年」になることを願いながら、今年も市政羅針盤をお届けいたします。今月は「小規模特認校制度」についてご報告いたします。結論から先に申し上げますと、令和6年4月からは、これまでの伊久美小に代わり大津小を「特認校」として指定することが決まりました。令和6 年4月には、島田第一・伊久美・伊太・相賀・神座の5小学校が統合され、新たな一歩を踏み出します。これまで小規模特認校として指定を受けてきた伊久美小に代わる特認校をどのように選定すべきか、地域の声を聴きながら協議を進めてまいりました。その経過についてご説明いたします。
 自然環境に恵まれた小規模小学校で教育を受けることを希望する児童に対して、就学すべき小学校の指定を変更する制度のことを「小規模特認校制度」といいます。本市では、平成15年度より、伊久美小にこの制度を適用し、伊久美の豊かな自然環境の中で、より少人数での教育を希望する児童を受け入れてきました。
 制度導入のきっかけは、平成14年度、伊久美小の新入学児童が0人となり、中長期的にみて、今後さらに児童数が減少することが予想されたため、通学区域制度の弾力的運用を活用し、伊久美小学区以外から、伊久美の豊かな自然環境の中で教育を受けることを希望する児童を受け入れ、学校運営の健全化を目指そうとしたことに始まります。現在、伊久美小児童のうち、小規模特認校制度を利用する児童数は約3割となっています。
■ 児童減少に伴う市内小学校の統合
 本市では1990年から2020年までの30年間で、市内の小中学校に通う児童生徒数は4割減少しました。今後も少子化はさらに顕著となり、児童数の減少が見込まれることから、島田第一・伊久美・伊太・相賀・神座の5小学校が第一小を改築して統合することになりました。小規模特認校制度については、令和元年8月に策定された「島田市立小中学校再編計画」において「特認校制度は継続することを前提として、実施校を他校に変更することとする」と方針が示されています。
 市長と教育委員5人が公開の席で協議する島田市総合教育会議においても、令和2年11月と令和4年6月に、「小規模特認校」について協議しました。候補校に選定する要件として、1.比較的小規模校で個に応じた指導・支援が期待できること 2.地域からの支援が得られ、地域との交流活動が期待できること 3.地域の自然を生かした特色ある活動が推進されていることが挙げられ、これらの要件を満たす市内小学校として川根小と大津小が候補になりました。ともに地域に支えられ、個に応じた特色ある教育を実施しています。
 総合教育会議の議論の中では、通学する子どもたちにとって通学時間が大きな負担になるのでは、という懸念が示されました。自然環境など、今の伊久美小に近いのは川根小の方かもしれないが、低学年の子どもたちの体力を考えると、旧市街から1時間かけて通学が可能かどうか非常に心配になるという意見が多かったです。
 地域の協力や学校としての特色ある活動、受け入れ体制、地域の自然などは、両校とも本当に遜色ないのですが、子どもの安全安心な登下校を考えると、大津小の方がやや優位という意見が総合教育会議の大半を占めました。また、登下校にかかるバス代などの経費は、これまで同様に市が負担することで意見が一致しました。
■ 子どもの登下校に考慮した特認校の指定
 本年11月には、島田市教育委員会から諮問を受けた島田市立小学校及び中学校通学学区調査審議会において慎重な審議を重ねた結果「令和6年度開校特認校の指定について、候補校となっている『川根小』と『大津小』は、どちらの学校も、自然豊かな環境のもとで地域の支援を受けながら教育活動が行われており、甲乙付け難い状況である。しかし、居住する小学校区を離れて登下校する子供のことを考えた場合、通学距離や通学時間、緊急時の対応を考慮すると、『大津小』を特認校とするのが望ましい」(原文ママ)という答申が示されました。これを受け、11月の教育委員会定例会で、議案として正式に審査され「令和6年度開校特認校の指定について、島田市立小学校及び中学校通学区調査審議会の答申のとおりとする」という議決がされた次第です。

みんなで「支えあい上手」になりませんか?~自分たちが支える地域は、自分たちを支えてくれる地域~(令和4年12月15日掲載)

■ 地域のつながりが安心を生む
 近年、少子高齢化や核家族化、価値観やライフスタイルの多様化、新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化などにより、地域住民同士の関係性が希薄になり、これまで地域社会が果たしてきた助け合いの機能が失われつつあるのではないかと危惧しています。身近なところでも、地域の人たちが集まる機会は減少し、開催しても規模を縮小したり、飲食なしになったりして、以前のように触れ合う機会はめっきり少なくなりました。
 交流する機会が減るということは、それぞれの家庭の問題も見えにくくなるわけで、生活困窮・社会的孤立・老々介護・引きこもり・8050問題・ヤングケアラー・虐待などで悩み、誰にも相談できずにいる市民のSOSが行政や関連団体に届きにくくなっているように感じます。民生委員・児童委員、社会福祉協議会、市役所、ボランティア団体、地域包括支援センターなど、相談できる場所はいくつもあるのですが、そこにつながらない、もしくはつながることを拒否する方々もおられます。自分の身の回りの安全・安心は、何気ない日常の付き合いや地域のつながりの中にあると考えます。周りの誰かが気付くことと、「助けて」と言える人のつながりがあることが大切です。
■ 日常の困りごとを解決する頼れるサポーター
 深刻な問題を抱えない人でも、高齢になれば日常生活の中で「ちょっとした困りごと」は増えていきます。このちょっとした困りごとに「手伝ってほしい」と声を上げることができ、地域の人たちが手を差し伸べることができたなら、住み慣れた地域で相互に助け合い、安心して暮らし続けることができるのではないでしょうか。
 現在、市内には、12の地区社会福祉協議会(地区社協):御仮屋町、第三小学校区、道悦島、岸町、東町、阿知ケ谷・東光寺、金谷、初倉南、第四地区、大津小学校区、身成(川根町)、第一地区が組織され(設立順)、身近にいる人や地域住民の福祉課題に気付き「支え合い」や「お互いさま」の地域づくりを推進しています。「高齢者ふれあいサロン」をはじめ「子育てサロン」や「居場所づくり」「生活支援事業」など、地域福祉の向上を目的としたさまざまな活動を展開しています。
 とりわけ、道悦島応援隊・金谷応援隊・岸町応援隊・さくら応援隊(第一地区)は、それぞれの地域の住民を対象に、日常生活のサポートを有償で提供する「生活支援サービス」を行っています。特徴は、地域の住民が主体となって、対象者の日常のお手伝いを実施する会員制の「住民参加型」サポートサービスだということです。
 「ごみ捨てで困っている」「足腰が弱って一人では買い物に行けない」「掃除ができない」「脚立に登れないので蛍光灯を替えてほしい」「庭の草刈りをしてほしい」「網戸を交換したい」「話し相手が欲しい」など、地域の困りごと(ニーズ)を調査してみると、多くの高齢者らが生活の場面で何らかの困りごとを抱えていることが判明。無償では、利用する側に遠慮や気兼ねが生じるという声も聴かれたため、有償ボランティアという形にすることで気持ちよく利用してもらえるようにしています。利用料は、ゴミ出し1回150円、生活支援1時間500円。このうち、生活支援サービスを行うサポーター(ボランティア)に、ゴミ出し1回100円、生活支援1時間400円の手当てが支払われる仕組みです。
■ もっと、お互いに助け合える地域へ
 こうした取り組みには、地域の実情や特性をよく知る「地域福祉の担い手」が必要です。一人暮らしで引きこもりがちな高齢者がいる、認知症の一人暮らしで迷子になる人がいる、ゴミ捨てで困っている高齢者がいるなど、地域で困っていること(課題)を把握し、課題を解決するための具体的な取り組みを考え、行動計画を立て、役割分担を決めて実行に移す。これら一連の活動は、日ごろから住民同士のつながりがあり、協力してくれる仲間がいなければ達成できないことだと感服します。
 サービスを利用する皆さんのさらなるニーズに応え、高齢者の外出支援を開始した応援隊(金谷、道悦島)も出てきました。自分にできる活動を、できる時間に、できる場所で行っていただけるサポーターを、どの応援隊も募集しています。

「家庭の日」の過ごし方について(令和4年11月15日掲載)

■ 家庭の日に関するこれまでの変遷
 皆さんは、毎月第3日曜日の「家庭の日」をご存じですか。家族が一緒に過ごしてコミュニケーションを深め、家庭の大切さを考えるきっかけとする目的で設けられています。昭和40年代に静岡県が要綱で定め、第3日曜日がこれに充てられました。
 その後、県は平成23年に家族のライフスタイルや意識の変化、就労形態の多様化を受け、各家庭の状況に応じて独自に設けるよう変更しています。この変更に際し、当市は「市民の意識付けを図るためには、日を設けた方が明瞭である」という当時の社会教育委員会からの提言を受け、教育委員会が従来どおり第3日曜日を家庭の日と定め、現在に至っています。
■ 総合教育会議で決定した今後の方針
 本年6月市議会において、「家庭の日の趣旨には賛同するが、それをもって第3日曜日の学校の体育施設が借りにくいという制限につながるのはおかしい。スポーツ少年団を例にとれば、送迎から応援まで家族総出で行っているのであって家族が一緒に過ごしコミュニケーションを深めている。家庭の日を理由に、施設利用に制限をかけないでほしい」という一般質問がなされました。
 今月はこの件について、教育委員5人と市長で構成する「総合教育会議」(全面公開)で話し合った結果を、市民の皆さんへ報告いたします。
 結論から先にお話ししますと、総合教育会議のメンバーは、全員一致で第3日曜日を当市の「家庭の日」として継続することに賛同しました。学校体育施設の利用は、これまでも「学校施設・社会体育施設利用申請書」を提出していただくことで利用可能でしたので、これまでどおり柔軟に対応してまいります。過去にはスポーツ少年団などの活動が過熱し、小学生でも夜まで練習するといった時代がありました。今はもうそのように過度な活動はしていないという意見も頂きましたが、指導者の働き方改革という観点からも休日は必要です。第3日曜日は、できるだけ家族で過ごす日としてご理解いただければと思います。
■ 部活動の地域化から見る家族団らんの大切さ
 家庭の日のあり方は、もともと部活動の地域化にも大きく関わる話だと思います。文部科学省は、2025年度末までに公立中学校の休日の部活動を地域のスポーツ団体などに移行させるという「部活動の地域化」の方針を示しています。
 すでに沼津市などでは、平日の部活動日数を3日までとし、練習時間は午後5時までという方針を打ち出しました。教員や指導者の長時間労働が解消され、働き方改革につながることが期待される一方、地域の受け皿確保が課題となっています。当市においても、ゆくゆくは部活動の活動日数・時間などの方針を定めていくことになると考えます。こうした流れを考えても、休日を家族とどう過ごすかは大事な選択になってきます。
■ 多くの人に家庭の日を考えてもらうために
 今回の「総合教育会議」における協議結果を踏まえ、当市としても第3日曜日の家庭の日の周知を早急に図ってまいります。その方策の1つとして、博物館などの市が直轄する施設においては、高校生までの子どもとその家族の入館料無料を検討します。指定管理施設においては、当面、特典などの協力を仰いでこの日を啓発するとともにインセンティブを創出していきます。また、ホームページや島田市公式LINEによる啓発、親学ノートなどへの記載により、家庭教育学級への周知を行い、保育園・こども園に通う子どもの保護者には、予定表や毎月の園だよりなどへ家庭の日について記載するなどして、周知を図ってまいります。
 このほか、総合教育会議では「いじめや不登校が増えている現状において、子どもの心のよりどころが家庭の中にあることは大事」「市民への意識づけを考えた場合には、やはり日の設定があった方が良い」「昔は部活動がすごく盛んで、1年中運動をやりっぱなしだった。せめて、中学生たちとスポーツ少年団関係者が休養できる日を設定してあげたい」などの意見が出ました。
 ここまで読んで、皆さんは「家庭の日」のあり方をどのように考えましたか。子どもたちの存在によって、親は「親」として成長させてもらっています。子どものいない家庭でも、高齢の家庭でも、家族のことを考える日になると良いなあと、心から願っています。

令和 4 年度 市民意識調査の結果について(令和4年10月31日掲載)

■調査の目的と実施方法
 市は毎年、市民の皆さんから市政や暮らしに関する意識や意見をお聴きし、市政運営に活かすため、市民意識調査を実施しています。市民生活の現状・市民の行政に対する要望・市政に対する評価の実態・市民のまちづくりに対する意識などを的確に把握し、行政運営などに反映させるための基礎資料となる調査です。今回は、今年度の調査結果についてご報告します。
 調査は、今年6月市内在住の18歳以上の男女2,500人を対象に実施。有効回収数は、1,258票(回収率50.3%)となっています。
■島田市での暮らしを尋ねると
 島田市の住み心地について、88.8%の人が「住みよい」と回答しています。掛川市や焼津市の同様の設問と比較しても10~20ポイント高い結果です。自然豊かで、発災時などにはみんなで協力する地域のつながりが生きていること、市民性が穏やかで温かいこと、東海道本線・空港・東名・新東名・国道1号など、県内有数の交通結節点であることなどが、その理由に挙げられると思います。
 関連して、島田市への定住意向も質問していますが、78.6%が「これからも島田市に住み続けたい」と回答しています。市外・県外に移り住みたいと回答した人は4.9%でした。市に対する好感度については、77.9%が「島田市のことが好き」と回答しています。前回調査(73.7%)と比べても4.2ポイント高く、コロナ下で変容した人々の価値観や意識が、島田市を見直すきっかけになっているように感じました。
■市の取り組みに対する満足度と重要性
 満足度第1位は、10年連続で「ごみ・リサイクル対策」でした。先月号の市政羅針盤にも書きましたが、分別が少なくてごみ出しが便利である反面、ごみ排出量の削減が進まないという裏腹の課題があります。今年度は、ワークショップなどを開催し、ごみ排出量削減のための具体策を市民の皆さんと一緒に検討してまいります。満足度第2位は「健康の増進」、第3位は「水資源・水環境の保全」となっています。
 市民が考える重要度1位は、10年連続「医療の充実」です。今後、どのようなまちを目指したらよいかという設問にも52.4%の人が「医療が充実したまち」と回答しました。島田市立総合医療センターが昨年5月にオープンし、常勤医師も100人を超え、皆さんの安全安心の拠りどころとなる病院整備が進みました。病院駐車場整備や交差点改良(病院へ入る右折レーンなど)がほぼ完了し、新病院玄関に最も近い駐車場をご利用いただけるようになりました。その他、重要度第2位は「ごみ・リサイクル対策」、第3位は「水害など災害に強いまちづくり」となっています。
■今後の市政の取り組みに向けて
 今年度調査において市民満足度が比較的低く、施策としては重要度が高い、つまり、今後「重点的に取り組むべき課題」として、1.雇用の確保・創出 2.魅力ある商店街づくりなどの商業振興 3.農林業の振興(生産基盤の整備・後継者育成) 4.再生可能エネルギー活用などによる地球環境の保全 5.安心して暮らせる居住環境の整備 6.主要な道路の整備 7.公共交通機関の充実 8.市の財政の健全運営が挙がりました。どれも市民生活に関わる重要な課題であり、総合計画や実施計画にこれらへの対応を盛り込んでまいります。
 その他、今年の調査結果で特徴的だったのは、浜岡原子力発電所について「再稼働してもよい」(46.0%)が「再稼働すべきでない」(34.8%)を上回り、掛川市・菊川市・牧之原市と同様の傾向が見られたことでした。
 また「現在、あなたはどれくらい幸せですか」の質問について10点満点で点数をつけてもらったところ、平均7.0点(全国平均6.4 点)となり、過去最高となりました。自身の幸福感を「平均以上」と回答した人は全体の67.2%。一方で、あまり幸福感を感じられない(4点以下)と回答した方は8.2%いました。
 幸せであるために重要な事項については、上位から「健康状況」「家計の状況」「家族関係」「精神的なゆとり」「自由な時間」などという結果でした。コロナ下で家族のあり方や働き方などが見直され、身近な幸せを実感した人が多かったのではと拝察します。

ごみ減量に秘策はあるか(令和4年9月30日掲載)

■物価高騰がもたらす、ごみ処理への影響
 いまだ新型コロナウイルスの収束は見えず、ロシアによるウクライナ侵攻で世界の食料や燃料の需給バランスは崩れ、為替レートの円安も長期化し、ガソリン価格をはじめ、身近な生活必需品や電気・ガスの料金、一部交通機関の運賃値上げなど、幅広い分野で物価高騰が続いています。
 今月は、私たちの暮らしを支える生活インフラへの影響の一つとして、ごみ溶融の費用が増大していることを報告したいと思います。ごみ溶融に用いる「コークス」の価格は、前年度比の3倍にも達し、入札も四半期ごとに実施しなければ落札する業者が見つからない状況になっています。9月市議会には、コークスだけで約1億円の補正予算(価格高騰分)を計上しています。他にも、飛灰から有害物質の溶出を防ぐキレート剤は、品物そのものが調達困難な状況にあり、価格高騰だけでなく代替品の入手にも苦労するありさまです。
■出しやすい、だから減らない?
 ところで、市民意識調査における市民満足度第1位は毎年、「島田市のごみの出しやすさ」です。分別が少なく、苦労なくごみが出せるとたいへん好評です。しかし見方を変えれば、ごみを出しやすいが故に、市民のごみ減量意識は醸成されず、人口10万人当たりに換算して、近隣3市平均の1.3倍ものごみが排出されていることを皆さんはご存じでしょうか。ごみ排出量は、過去5年間ほぼ横ばいで1日1人当たり約900gです。これにより、ごみを焼却した後に残る灰の量は年間約1,600トンに上り、最終処分場へと運ばれます。
 では、当市のリサイクル率はどうでしょう。令和2年度の実績では、島田市のリサイクル率は17.7%となっており、静岡県平均の18.2%に及ばない数値となっています(全国平均は20.0%)。どうやら、ごみの出しやすさとごみの減量(削減)は反比例の関係にあるようです。
■処理費用は年々増加している
 令和2 年度のごみ処理の全体経費は、約15億円でしたが、今年度は約16億円を見込んでいます。ごみを処理するだけで毎年15~16億円が灰と化すのです。今後はこの経費に、田代環境プラザの長寿命化に係る施設整備経費の上乗せが必要です(年額5~6億円程度)。さらに、コークスやキレート剤などの高騰による影響が加わることとなります。今後のコークス価格は、世界経済・ロシアのウクライナ侵攻状況・世界のコロナ状況・為替(円とUSドル)状況により変動するため、予測は困難ですが、しばらくは高値が続くものと見込まれます。
■進む、ごみ収集の有料化
 ごみ処理収集はどこも無料と思われているかもしれませんが、県内35市町の中で、すでに19市町がごみ処理の有料化に踏み切っています(近隣では、掛川市・菊川市・御前崎市・牧之原市・川根本町・吉田町が既に有料化)。
 平成17年5月26日には、廃棄物処理法に基づく「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的方針」が改正されました。この改正により、市町村の役割として「経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再生利用の推進、排出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物の有料化の推進を図るべきである」との記載が追加され、国全体の施策の方針として一般廃棄物処理の有料化を推進するべきことが、明確化されました。
■大切なのは一人一人の心掛け
 こうした中、市がごみ収集を有料化せずにやっていくためには、市民の皆さんの協力によるごみの減量が欠かせません。今後、ごみの減量目標と具体的な取り組みについて意見を伺ってまいりますが、ごみ減量が達成でき
なければ、有料化についても考えなければならない事態となります。生ごみの8割は水分です。ぎゅっと絞ってから出す、生ごみ処理容器「キエーロ」(市で半額補助)などを使って生ごみの減量に取り組む、古紙・雑紙、ペットボトル・トレー、古布などの資源ごみの分別を徹底するなど、小さな工夫でごみの減量は達成できます。
 今回のテーマをきっかけに、一人一人が身近なごみ問題について考えていただければありがたいです。

持続可能な水道事業の構築に向けて(令和4年8月31日掲載)

■全国で深刻となる水道施設の老朽化
 皆さんは、今年5月に発生した愛知県明治用水頭首工での大規模な漏水事故を覚えておられるでしょうか。同月には、菊川市でも水道管の破断が原因で数日間にわたり断水や水圧低下が起こりました。いま、水道施設の老朽化は日本全国で深刻な課題となっています。島田市も例外ではありません。高度成長期に整備した水道管の更新には、整備した時よりはるかに多くの時間と費用が掛かります。将来の負担をなるべく少なくしていくために、しっかりとした更新計画の下、水道料金の改定や広域化も見据えて、事業の健全性を維持していくことが肝心と考えます。そこで、今回は島田市水道事業の現状と課題についてご報告します。
■「安全でおいしい水」を届ける使命と実状
 水道事業の使命は「安全でおいしい水」を24時間いつでもどこでも使っていただけるということにあります。水道水には、現在51項目の水質基準が設けられ、一般細菌や大腸菌・水銀・鉛・総トリハロメタンなどの各項目について、基準値以下であることが求められています。これ以外にも「水質管理目標設定項目」「要検討項目」などが設けられていて、日本の水道水の安全性は世界的に見ても非常に高いものです。水道の蛇口から出た水をそのまま飲める国は数えるほどしかないのです。
 当市の水道事業は昭和28年6月から給水を開始しました。市内の水道管延長440kmのうち、3割強が法定耐用年数(40年)を超過しています。早急に老朽化した水道管を更新する必要があることは明らかですが、地中に埋まった水道管の修復・交換作業には膨大な費用が必要となるため、なかなか進んでいないのが実状です。稲荷浄水場など施設の老朽化も進んでいて、定期的に設備などを更新し続けるには、経営の安定化が不可欠となっています。
■水道料金の値上げに至る背景
 近年、全国的に水道料金の値上げが相次いでいます。主な背景として挙げられるのは「人口減少」と「水道施設の老朽化」の2点です。
 水道事業は原則、水道代として徴収した料金を基に各市町の手で運営がされていますが、少子高齢化の進行により日本の人口が減少していることと、節水機能のある家電製品が普及したことで、水道の使用量が減少。それに伴い水道料金による市町の収入も減少したことで、水道代の単価を上げざるを得なくなったというのが水道料金の上昇を引き起こしている理由です。
 加えて、耐用年数の限界を迎えつつある水道管をはじめとした水道施設の整備費用を確保しなければいけないといった事情が、水道料金の上昇に拍車をかけています。さらに、近年多発している大規模な自然災害時にも耐え得るよう、耐震化などの防災対策の強化も必至です。震災時に起こる断水の主な原因は、老朽化した水道管の破損によるものだからです。これらの費用は多額で、かつ継続的に発生するものです。「財源がないから老朽化した水道管を放っておこう」というわけにはいかないのです。
■持続可能な水道事業の継続のために
 こうして水道施設の老朽化や更新のコスト負担が課題となる中、県内でも水道事業の広域化に向けた機運が高まり、県と市町は、広域連携を検討する新たな協議会を立ち上げました。県は、地理的特性や生活圏を考慮して、賀茂・駿豆・静清富士・大井川・遠州の5つの圏域ごとに広域化のパターンを検討する方針です。
 当市は、広域化の方向性を模索すると同時に、令和元年12月に島田市水道料金等審議会に水道料金の改定について諮問し、令和3年11月に答申を受けました。答申では、料金改定期間を令和5年度から8年度までの4年間とし、平均改定率を+8.1%とする料金体系が適切であるとの内容でした(口径20mmの水道メーターを例にすると、2か月で40平方メートル使用した場合300円の値上げ)。
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響なども考慮し、十分な周知期間を設けることが必要と考え、水道料金の改定日は令和5年4月1日と定め、島田市議会2月定例会で承認をいただきました。市民の皆様のご理解を重ねてお願い申し上げます。

「ご遺族手続支援コーナー」(おくやみコーナー)利用者の声(令和4年7月29日掲載)

■ご遺族の負担を最小限にするために
 ご遺族手続支援コーナーをご存じですか。身近な人が亡くなられた後の市役所での手続きについて、ご遺族の負担が少しでも軽減されるよう、必要な手続きのご説明や申請書作成等のサポートをするサービスです。昨年の3月から開始しました。完全予約制で受け付け、ご遺族が市役所に来られる前に、故人に関する必要な手続きを全庁関係課から拾い出し、住所・氏名など申請手続き書類に必要な事項を印字して、手続きの際には最小限の記入(署名等)で済むよう対応しています。
 コーナーで取り扱う手続きは、各種被保険者証の返還、葬祭費の申請、未登記家屋の名義変更、固定資産税納税通知書の受領者の指定など、39種類に上ります。市の手続き以外(年金事務所・金融機関などの手続き)で必要となる戸籍謄本なども、同時に交付申請の支援をしています。開設場所は、市役所本庁舎1階 正面玄関東側。今月は、このコーナーの実績と利用者から寄せられた声をご報告します。
■これまでの実績と利用が多い手続き
 市では、死亡届が提出された際に「おくやみガイドブック」をお渡しして、死亡届提出後に必要な手続きをご案内していますが、近年は、ご親族に代わって葬祭業者が死亡届を提出されるケースが多く、業者からガイドブックを受け取る際にコーナーの利用も勧められたというご遺族が増えています(割合はおおむね、業者:親族=6:4)。
 コーナーは、1日あたり3~4枠で事前予約を受け付け、開設から令和3年度末までの実績(13カ月間)では利用人数369人、取り扱い手続き件数にして2,683件のご利用をいただきました。一人当たりの平均手続き数は7件、介護保険被保険者証などの返還、後期高齢者医療被保険者証の返還、水道使用者の変更もしくは廃止、未支給年金請求申請などが申請手続きの上位を占めています。ご利用は、島田市に住民登録のあった人のご遺族で、手続きの所要時間は1時間程度になります。コーナーご利用前日までに、手続きの内容とお持ちいただくものについて、電話で詳しくご案内いたします。
■ワンストップで行える安心感
 ご遺族手続支援コーナーを利用した人のアンケート結果(回答率86.7%)からは「葬儀が終わって間もない中でのこのような支援はありがたい」「3年前、母の時は大変な手続きだった。今回はスムーズにわかりやすくとてもよかった」「ワンストップで手続きできるため、多忙な遺族にとってありがたかった」「不安に思っていた気持ちが少し楽になった」「あらかじめ書類が用意してあり、手続きが1 回で済む制度は大変助かる」「いっぺんに諸手続きができ、遠方から来ている私たちにとっては、限られた時間で処理できて大変助かった」など、利用された多くの人からご好評をいただいています。
■利用者の立場からサービスの向上を目指して
 一方で「ガイドブックが理解しにくい」「コーナーの場所が良くない」「金谷地区にもこのコーナーがあればよかった」「個室にしてほしい」「予約してから実際の利用まで3日以上空けなければならないのが残念」などのご指摘もいただいています。
 これらのご意見に対し、ガイドブックをより見やすいものにするなどの改善は、速やかに実施してまいります。申し込みから予約日まで3日を要するのは、全庁関係課から必要な手続き書類を集め、事前に印字するなどの準備に要する時間ですので、ご理解ください。個室にしてほしいというご意見に関しては、来年夏に完成予定の新庁舎内には、専用のご遺族手続支援室を設けますので、もうしばらくお待ちください。引き続き、利用者目線を忘れずに行政サービスの向上に努めてまいります。

町内会・自治会に『女性部』は必要ですか?~この問いかけに あなたならどう答えますか~(令和4年度6月号)(2022年6月15日掲載)

■ 性別による役割分担への違和感
「私の自治会には『女性部』があります。活動はお茶くみ、炊き出し、スポーツの点数付けなど性別に関係なくできる仕事。『女性部』という名称をやめ、性別に関わりなく役を回してほしい」という島田市内に住む女性の声を基に、静岡新聞社「NEXT特捜隊」が取材したWeb記事が5月中旬、インターネットサイトYahoo!のトップページに掲載されていました。投稿者は、「時代に合わせて組織の在り方を変えるべき」と思っているものの、人間関係の悪化を恐れて自治会に言い出せないでいるといいます。これまで、市長への手紙にも同様の意見が複数ありました。今月は、この件について、市民の皆さん一人ひとりに「あなたはどう考えますか」と問いかけてみたいと思い、テーマとします。
投稿者が住む自治会では、女性部活動は恒例のものとして続いていて、同様の意見が議題に上がったことはないといいます。但し、自治会内には性別を問わずさまざまな意見や苦情が寄せられることがあり、活動改善のためにも積極的に意見を寄せてほしいとのことでした。「直接言いにくい」という声に対して、自治会長は、匿名で投書できる目安箱の設置を検討したいと仰っておられました。

■ 社会変化に遅れるローカル・ルール
ここまで読んで、皆さんはどんな感想をもたれたでしょうか。高度成長期以降、目まぐるしく変化した日本社会のありよう(制度・価値観・生活様式・働き方など)に、地域社会の慣習が追い付いていかない軋轢(あつれき)が、さまざまな分野で表面化しています。その一例が自治会活動における『女性部』の存在ではないか、私はそのように感じました。
今から40~50年前なら、「男性は仕事、女性は家事・育児」の性別役割分担に違和感をもつ人は少なかったと思います。女性たちも男性の補助的仕事に抵抗感がなく、女性部(婦人部)の活動は女性たちの楽しみの場でもあったように思われます。
しかし、この半世紀の間に人々の暮らしも価値観も劇的に変化しました。共働きは当たり前になり、女性の管理職も増え、家庭内における女性の発言力も増しています。それでもローカル・ルール(地域社会の慣習)は、いまだ男性社会のまま。そのギャップが「PTAの役員も、スポーツクラブの親の役割も、男女の役割が明確に分かれていて、もはや提案できる雰囲気はない。男女平等が浸透するまでまだまだ時間がかかる。自治会も同様」という女性たちの嘆きに繋(つな)がっているように感じます。

■ 顔が見える関係が果たす役割
人に頼らなくても便利で豊かな生活を享受できるようになったゆえに、地域の繋がりは年々希薄化し、自治会がなくても何も困らないと考える人が増加しました。しかし、本当にそれでよいのでしょうか。住み慣れた土地で、高齢者も子どもたちも安全に、安心して暮らし続けられるのは、自治会やコミュニティ等、顔の見える関係が地域の見守り役を果たしてくれているからと私は考えます。多様な価値観に触れ、親以外の信頼できる大人に見守られて育つ環境は、子どもたちの健やかな成長に欠かせないものです。
自治会活動には、あらゆる立場の多様な意見が必要です。男性側には女性が違和感をもっていることに気づく配慮が、女性側には地域の役から逃げずに参加する姿勢が、それぞれ必要ではないでしょうか。女性が一人で声を上げにくいなら、何人かで声を上げてみてください。

■ 多様な立場を認め合う自治会へ
市では、性別役割分業意識を取り除く啓発活動や、自治会役員に2人以上の女性を登用した自治会に年間10万円を交付する「自治会役員女性参画推進奨励補助金」制度などを実施しています。
防災をはじめ、地域づくりには性別を超えた協力が不可欠です。言い出しにくいからと我慢するのではなく、女性も自ら率先して意見を伝えることが、自治会を変えていく一歩のように感じます。市内68自治会長はどなたも、住民の声に真摯に耳を傾け、改善しようと努力してくださっています。

知って得する 産業支援センター「おびサポ」(令和4年度5月号)(2022年5月31日掲載)

本通二丁目にある産業支援センター「おびサポ」をご存じですか。おびサポは、島田市・島田商工会議所・島田市商工会・島田掛川信用金庫の4者が連携し、中小企業者の事業継続支援や創業支援など地域産業の活性化を図ることを目的として、平成28年4月に開設され、7年目を迎えました。おかげさまで、開設以来多くの人に利用していただき、相談件数は毎年1,000件を超えています。県内でも有数の公設産業支援センターに成長しましたが、おびサポをご存じない人もまだいると聞き、今月は、おびサポの特徴や運営実績について、ご報告させていただきます。
おびサポは、販路拡大や経営などの個別相談、起業・創業を希望する人への支援、補助金の紹介や申請手続きのアドバイス、異業種とのマッチング、雇用契約・就業規則などの働き方改革相談、チラシの作り方、人材確保、法務相談、事業承継など、ありとあらゆる相談を受け付け、「よろず支援拠点」などの支援機関や専門スタッフが、懇切丁寧に解決へのプロセスをお手伝いしています。一件で40回以上リピート相談に見えた人もおられ、課題解決まで何度でも相談いただけます。その結果、利用者の87%(令和3年度)が「利用して非常に良かった」とアンケートに答えています。「良かった」の評価を含めると、99%の利用者にご満足いただいています。
では、その実績について、創業者数を例に見てみましょう。この6年間で、131人が創業の夢をかなえました。中には、テレビなどで紹介されて、行列のできるお店に成長した店舗もあります。コロナウイルス感染症の影響で大変厳しい経済状況が続いた昨年も、おびサポ創業支援から、27人の新規事業者が生まれました。市独自の創業補助金・地域産業振興事業補助金などを用意して、相談に来られる皆さんを支援しています。他にも「ビジネススクール嶋田塾(しまだじゅく)」や各種セミナーの開催、前年度相談者の現状を把握してフォローアップを行うなど、着実に地域産業支援に成果を挙げています。
相談をスムーズに進めるため、原則、事前予約制ですが、飛び込みで相談に来られる人もいらっしゃいます。昨年末に相談に来られた人は、現在首都圏で、夫婦で事業を行っていて、奥さんの実家が島田市内にあるそうです。まずは奥さんが島田市内で開業し、軌道に乗ったら旦那さんも移住したいとのことでした。お話を伺うと、ご夫婦の事業には首都圏でかなりの顧客がついているようなので、なぜ島田に帰ってくるのか尋ねたところ「最近、若い人が島田に集まって来ているのを感じる。自分もその流れに加わりたい」とのことでした。特に近年、起業・創業希望者からの相談が増えていて「知人に勧められた」「おびサポに相談して開業したと聞いた」などの理由でお見えになる人もおられ、伴走型の支援を続けてきた成果の表れとうれしく思っています。
ところで、行政と地域の経済団体、金融機関が連携して地域課題の解決に取り組む仕組みは、今では地方創生の中で浸透してきました。しかし、連携機関のそれぞれの立場の違いや抱える事情などにより、実績を上げることは大変難しく、おびサポのような連携体制は、開設当時には全国の事例を見てもほとんどありませんでした。
現在でも、行政が運営する産業支援機関は、中小企業診断士などの専門家や学識経験者などをセンター長や相談員として雇用したり、事業そのものを民間委託したりするのが一般的です。そんな中「おびサポ」は、連携する各機関のそれぞれの得意分野を活かし、ワンストップで事業者の課題に対応することを基本とした、他に類を見ない、まさに「島田モデル」として成功しています(おびサポのセンター長は、当市の課長級職員)。さらに、大きな特徴として「おびサポ」の支援サービスは、市内事業者に限定していません。志太榛原圏域全体で産業の活性化が図れればと考えるからです。実際、相談者の3割が県外を含む市外からの相談となっています。
これからも、おびサポを利用した中小企業の経営者や起業を目指す皆さんに「来てよかった」と言っていただけるよう、伴走型の支援に努めてまいりますので、ぜひご利用ください。まずはお気軽に電話から。事前予約制で、相談料は無料です。
島田市産業支援センター おびサポ TEL:0547-54‐5760

「ハコモノ」(公共施設)の判断基準は?(令和4年度4月号)(2022年4月28日掲載)

静岡市でアリーナ構想やスタジアム構想が相次いで発表されましたが、市民の一部やマスコミからは、海洋文化施設を含めて「ハコモノ批判」が出ています。それぞれの関係者や行政、議会が永年検討を重ねて導き出した構想だと思いますが「建設費が高い」「維持費が高い」「費用対効果は」と必要性を含め意見が出されています。当市にも、たくさん「ハコモノ」(公共施設)があります。今後「ハコモノ」をどのような判断基準で考えていくのか。今回は、そんなお話をさせていただきます。
いま、島田市が保有する公共施設は275施設(724棟)。そのうち延床面積にして4割以上が、学校教育・社会教育関連施設です。その多くが、昭和の高度成長期に建てられ、更新時期を迎えつつあります。そのため、公共施設のマネジメントの取り組みとして「公共施設白書(公共施設のカルテ)」を作成し、その白書を基に「島田市公共施設等総合管理計画」を策定しています。これは、この先40 年間を見据えて、施設更新の優先順位や施設量の目安を定めることにより、質の高い公共施設サービスを将来にわたり持続可能なものとしていくためです。
「島田市の公共施設等総合管理計画」の中で、公共施設の維持・修繕・更新に必要な費用を試算したところ、令和37年度までの40年間で総額2,515億円、年平均にすると約63億円、従前の年間費用(36億円)の1.75倍にもなる金額です。次世代に過度な負担を強いることなく、ニーズに見合った行政サービスを今後も安定的に提供するためには、公共施設の適正な配置や管理手法の見直しといった取り組みが必要不可欠であることを示しています。
「ハコモノ」というと、私たちは、とかく建設費にばかり目が向きがちですが、実際は建設費より、その後の維持管理・運用・修繕などに係るコストの方が、ずっと大きな金額となることが一般的です。「氷山」に例えるなら、海の上に浮かんでいる部分が建設費、海の下に潜っていて見えない部分が維持管理などに係る経費です。公共施設は、その必要性や稼働率を見極め、建設から役割を終えるまでに必要な経費(ライフサイクルコスト)をトータルで捉え、その適正量を考えなければなりません。
また、公共施設の多機能化・複合化という視点も大事になります。例えば、川根小学校は学校図書館と公共図書館との複合施設ですし、金谷庁舎跡地に建設される「生活交流拠点」は、支所機能、地域包括支援センター、住民検診、子育て支援、多目的活動スペースなど、多機能を有しています。多機能化・複合化により、コスト削減効果も期待できます。
さらに、広域で連携し、施設を共有したり、機能を補い合ったりできないかという視点も大切です。市町ごとにあらゆる施設をフルセットで持つ時代ではなくなりました。実際に、高齢者の療養病床などは広域で融通し合っていますし、他市の大規模ホールは複数市町で活用されています。将来的には、水道事業、ゴミ処理、し尿処理、葬斎場などの広域化も検討されるでしょう。
広域化と並行して、公共事業への民間の参入も進んでいくと思います。公共サービスに関する民間企業からの提案を行政が採り入れ、ともに連携し「公共」を担う時代が来ています。行政は公益性を求め、民間は利潤を求めながら、あくまで対等な立場で調整していくことで効果的な公民連携が生まれると考えます。「KADODE(カドデ) OOIGAWA(オオイガワ)」や「TOURIST(ツーリスト) INFORMATION(インフォメーション)おおいなび」も民間との連携によるものです。今後、「観光で稼ぐ」分野を手始めに、なお一層民間との連携が進むと考えています。
ウィズコロナで、社会構造や人々の価値観・行動が大きく変わる中、行政も新しい時代に向けたチャレンジ、発想の転換が急務です。ハコモノ(公共施設)の判断基準についても例外ではありません。常にスピード感をもって、柔軟に発想し、かつ大局的に判断し、利用者目線を忘れずに、市民の皆さまにご納得いただける公共施設のあり方を、考えてまいります。

おもいやりが循環する社会へ「遺贈寄付(いぞうきふ)」をご存じですか?(令和3年度3月号)(2022年3月17日掲載)

日本の高齢世代が保有する金融資産は、家計金融資産の7割といわれています。人生百年時代を迎え、老後資金に対する不安から年金を貯蓄に回す人が少なくありません。日常生活でさえ節約しているのですから、社会貢献のためにお金を使うという選択は、「余程のお金持ちがすること」と思い込んでおられる人が多いと思います。
今回お話する「遺贈寄付」は、遺産相続の際に、その中の預貯金の一部を、たとえ少額でも寄付することができる新しい社会貢献です。災害復興支援に役立ててほしい、好きだった劇団を応援したい、福祉団体に寄付したい、環境保全や貧困問題に使ってほしい等々、残った預貯金の一部を「自分のやりたかったこと」や「ご自身が大切にしてきた価値観」として未来へ繋ぐことができます。ご自身の終活にあたり、このような選択肢もあることをお伝えしたくて、今月のテーマとしました。
そうは言っても、「誰に、どこに、相談したらよいか分からない」「手続きが面倒そう」「途中で気が変わるかも」「数万円でもいいの?」など、皆さんの疑問や不安は膨らむばかりですね。遺贈寄付の手続きは、「遺言書」を作成して残す方法や相続人に伝えて残す方法があります。遺言書で残す場合は、司法書士や行政書士などの専門家にご相談いただく方法もありますし、自分で書く場合は、自筆証書遺言といって紙に全文自筆自署し、遺贈先と金額を書いて署名捺なついん印と日付を記入するだけでも有効です。(遺言書は法律に沿った書き方が必要です)
遺言書をすでに書いている人は、そこに「どこに〇〇円寄付します」と1行追加するだけで、自分の思いを叶かなえることができます。相続開始後(亡くなられた後)では、法定相続人しか遺産を受け取れないため、第三者やNPO などの非営利団体へ遺産を渡すことはできません。そこで、遺言などを利用して特定の団体などへ遺産を寄付する方法が「遺贈寄付」です。
でも、「遺贈寄付」の手続きをしたからといって、必ず財産を残さなければならないということはありません。寄付をしてもしなくても、途中で気が変わってもいいのです。今すぐに手元の預貯金を手放す必要はないので、老後の資金も心配なく、少額から寄付できます。60歳以上が保有する金融資産の割合は、年々増加傾向にあります。寿命が長くなると、相続は90歳代の親から60歳代以上の子へと、その間でぐるぐる回るだけになって、金融資産の循環が高齢者の間のみに留まってしまうことが現代社会経済の課題となっています。「遺贈寄付」というかたちで、思いやりが循環する社会を創れたら、生きたお金の使い方になるのではないでしょうか。
生まれ育ったまちや思い入れのある場所の自治体を、寄付先に選ぶのもいいでしょう。自治体へ寄付した預貯金は、地域経済の活性化や福祉の充実など、その地域のまちづくりのために使われます。同じまちに暮らす子どもたちや馴染み深い地元への貢献は、身近な社会貢献として捉えることができます。
市民の皆さんにご意見を伺うと、寄付に興味があっても老後の医療費や生活費が不安で、ためらう人が多いという現状がみえてきました。繰り返しになりますが、「遺贈寄付」は亡くなった後に残った預貯金の一部を寄付する行為です。
自分が亡くなった時のお金の行き先を決めておくことで「誰かのお役に立てる」と思うことは、これからの人生を穏やかに生きられるだけでなく、生きた証を残すことにつながるのではないでしょうか。「思いやりのお金が循環する社会」になることを願っています。ぜひ、ご家族とも相談してみてはいかがでしょう。
なお、自治体への遺贈寄付に関する概要は、島田市ホームページから確認できます。

島田市を未来につなぐキーワード「循環型社会」「縮充」「DX」(令和3年度2月号)(2022年2月21日掲載)

梅の蕾もほころび、日ごとに昼間の時間が長くなって「光の春」を感じます。寒さ厳しい時期だからこそ、わずかな春の息吹にも心躍りますね。
さて、3年目に突入した新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、これまで見過ごしてきた社会のさまざまな課題をあぶり出しました。朝夕の通勤や長時間勤務が当たり前だった働き方が見直され、在宅勤務やテレワークが一気に進みました。効率性・生産性・経済性を重視して築き上げてきたサプライチェーンの脆弱性も浮き彫りになり、国内での工場の新設や設備の導入に補助金を創設するなど、国を挙げて国内の生産拠点などの整備に力を入れるようになりました。また、世界各国に比べ日本がどれほどデジタル化の後進国であるかという現実を突き付けられ、地方自治体にとってデジタルトランスフォーメーション(DX)による業務の効率化は、待ったなしの状況です。
こうした中で、本年4月からスタートする第2次島田市総合計画後期基本計画は、今後4年間のまちづくりの設計図になるものです。将来像に「笑顔あふれる安心のまち島田」を掲げ、「選択と集中」による質的成長を重視しつつ、「スピード・柔軟性・大局的な判断・利用者目線」をモットーに、時代や社会のうねりに対応した魅力あるまちづくりを推進してまいります。
さらに、10年先、20年先の島田市を見据え、総合計画の8年間の計画期間にはとどまらない長期的な展望に立った「未来につなぐ3大戦略」として、「循環型社会」「縮充」「DX」を掲げました。より良い島田市を次の世代につなげていくためには、未来を想像する力と長期的な展望に立った計画を持つこと、そしてその計画を実行する行動力が必要です。この3点にしっかりと向き合い、取り組むことで、持続可能で豊かな島田市を実現してまいります。
一つ目の「循環型社会」は、SDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラル(CO2の排出量と吸収量を均衡させること)の実現におけるキーワードです。エネルギー資源や自然環境といった視点にとどまらず、空き家や公共施設などのまちのストックや歴史・文化に至るまで、このまちにある全ての資源を大切に循環させていくことで、持続可能で豊かなまちであり続ける社会を実現していく取り組みです。
二つ目の「縮充」とは、人口や税収が縮小しても、真に必要な施策・事業を選択し、資源を集中させることで、地域の営みや住民の生活を充実させていく仕組みを創ることです。コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくり、立地適正化計画などもその実現に向けた取り組みです。真の豊かさ、本当の意味での暮らしの満足度を高めるために、市民の皆様とともに「縮充」を進めてまいります。
三つ目は、「DX」です。令和元年の「デジタル変革宣言」後、さまざまな業務のデジタル化に取り組んできました。その中の一つである市の公式LINEは、現在、登録者数が8万7,000人を超えています。これにより、受け取りたい情報・居住地・年齢といった受信設定の特徴を生かして、市民ニーズに合わせたプッシュ型の情報発信が可能となりました。DXの目的は、「デジタル技術やデータをもとに新しい価値を創造する」ことにあります。これまで進めてきた公共施設の予約やGIS地図情報の閲覧に加え、インターネットを活用した行政手続きを順次拡大することで、「窓口に行かなくても、24時間、いつでもどこでも申請や相談ができる」島田市の実現を目指してまいります。
<追記>デジタル機器やSNSは苦手という市民が多くいることも、十分理解しています。デジタルとアナログを上手に使い分けながら、あらゆる分野において、市民サービスの向上と業務の効率化に努めてまいります。

地方から声を上げることの意味~子育て世帯への10万円相当の臨時特別給付をめぐって~(令和3年度1月号)(2022年1月21日掲載)

市民の皆様のご多幸を願い、また、一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束を願って、本年も心を込めて市政羅針盤をお届けいたします。
18歳以下の子どもを持つ子育て世帯に現金5万円とクーポン5万円分を給付するとした政府方針をめぐり、島田市は昨年11月中に、全国でもいち早く「市民のニーズを考慮して、クーポンではなく10万円相当を全額、現金で支給する」と公表しました。
子育て世帯のニーズや事務手続きの煩雑さ、掛かる経費の増大等、どれをとっても5万円分をクーポンで給付する利点が見つからないと判断しました。子育て世帯が望むのは、一日でも早い給付と使い勝手の良さです。しかしながら、その後も政府方針が二転三転し、市町は政府の一言一言に振り回されました。約2兆円もの国費を投じる事業ながら、コロナ禍において子育て世帯を支援するという本来の政策目的が"かすんでしまった感"は否めません。自治体間での対応の違いが更なる混乱を生じさせたことも事実でした。
これから3月末にかけては、年度末で行政としての事務量が増える上に、3回目のワクチン接種が山場を迎える時期と重なり、コロナ禍で困窮する非課税世帯への10万円給付の事務手続きなどとも重なります。さらにクーポン発行となれば、新学期に間に合うスピード感は保てなかったと考えます。政府には、現場を抱える基礎自治体の現実をもっと知ってほしいと声を上げました。クーポンか現金かの基準を示すことよりも、自治体に判断権限をいただきたかった。市民生活に直結する施策に関し、基礎自治体の裁量権をもっと認めてほしいと思いました。
さて、実際の給付ですが、当市は、県内でいち早く5万円の支給を12月17日に行いました。岸田総理大臣が10万円の一括給付も認めると発言された12月13日には、すでに金融機関への送金手続きが完了していて、10万円一括給付には間に合わなかったというのが実情です。残り5万円の給付は、1月14日に振込みました。先頭を切って給付準備をしていた故に一括給付はできませんでしたが、スピード感をもってお届けするという方針は貫けたかと思います。最初の5万円は国の令和3年度予備費から、残りの5万円は国の令和3年度補正予算を財源としました。
養育者のどちらか一人の収入が960万円を超えれば、今回の臨時特別給付の対象とならず、所得制限の撤廃を求める声もいただきました。島田市の所得制限に係る対象者は約600人と見込まれます。所得制限の撤廃については、高齢者世帯からもコロナ禍で生活が大変なのに不公平だという声が、私のもとに届いています。子育て世帯への臨時特別給付の財源は、国民の税金を基に、税金で賄えない部分は国が借入金を投入した次世代に回すツケなのです。
今回の18歳までの子ども一人あたり10万円相当の臨時特別給付の目的は、いったい何だったのでしょうか。現金は、もらった時は嬉しいに違いありません。でも、うれしいのはその時だけ。一過性に終わってしまいます。18歳までの子どもに10万円を給付するより、本来は社会全体で子育てを支える体制づくりにこそ、国の財源を使うべきであると私は考えます。保育所や放課後児童クラブの待機者をゼロにする、保育士等の処遇を改善して人材を育成する、大学までの学費無償化、子ども医療費無償化、保育料完全無償化など、挙げればきりがありません。社会全体で、地域で、子育てを継続的に支える仕組みづくりこそが、子どもを産み育てやすい国になるために必要なことだと考えています。若い世代の人口が維持されることが、高齢者にとっても安心して住み続けられる地域になる条件です。
最後に、10万円の臨時特別給付金は、これから令和3年度末(3月31日)までに生まれる赤ちゃんも対象となります。1月以降に申請される場合には、10万円を一括給付いたします。

カーボンニュートラルに向けての島田市の挑戦(令和3年度12月号)(2021年12月28掲載)

皆さんは「カーボンニュートラル」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という意味で、温室効果ガス排出量(二酸化炭素が99%を占める)を大幅削減することで、喫緊の課題である地球温暖化に歯止めをかけようとする取り組みです。
地球温暖化の影響で最も知られているのは、気温や海水面の上昇です。大気中の温室効果ガスの濃度増加に伴い、世界のほぼ全域で平年の気温が昔に比べて上昇し、台風が激甚化したり、異常気象が頻発したりするなど、生態系にまで及ぶ影響が出ています。海面の上昇では、沿岸侵食の拡大、土地や財産の損失、人々の移住、高潮リスクの増大、沿岸の自然生態系の減衰など、こちらもさまざまな悪影響が生じます。地球温暖化は、私たちの暮らしに極めて深刻な影響をもたらす喫緊の課題なのです。
当市も、市民や事業者と一体となり、脱炭素社会の実現に取り組み、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」宣言を本年3月に表明しました。実現に向けての具体的な方策は、現在策定中の「第3次島田市環境基本計画」に盛り込んでいきます。同時に「カーボンニュートラルの実現に向けたロードマップ」の策定を進めてまいります。しかしながら、カーボンニュートラルへの取り組みは、そう簡単ではありません。一つの自治体だけで達成できるものではありませんので、国や県とも連携しながら、事業所や市民の皆さんのご理解とご協力を得て進めていく必要があります。
ここからは、当市の取り組み事例を幾つかご紹介します。まずは、自然環境を活かした発電事例です。川根温泉では、自噴している源泉に含まれるメタンガスを活用した、全国初となる発電システムを平成29年に導入しました。温室効果ガスの排出を抑制すると同時に、電気と熱の2つのエネルギーを作り、電気は「川根温泉ホテル」に、熱は「川根温泉ふれあいの泉」の給湯に利用しています。
また伊太地区では、県内初の小水力発電で、一般家庭1,200戸分の電力を発電しています。小水力は、水の流れを利用して発電するため、昼夜を問わず安定した発電ができるのがメリットです。さらに、伊太・田代地区では、市の土地を活用して、民間事業者による太陽光発電「ソーラーパークしまだ」が稼働しています。そしてエネルギーの地産地消などに関する協定を締結した民間事業者との公民連携により、小中学校などの公共施設への太陽光発電設備の設置も進めています。市内では民間のバイオマス発電事例もあり、行政・民間ともに豊富な自然環境を活かした発電に取り組むことで、当市のエネルギー自給率は約38%(令和2年度)となっています。ちなみに、平成30年度の日本のエネルギー自給率は11.8%であり、当市は極めて高い水準にあります。
このほか、事業所における地球温暖化防止に向けた取組を促進するため、エコアクション21の認証・登録の支援やフードドライブの促進、生ごみ処理機や蓄電池などへの補助金の交付、環境教育なども実施しています。
現在、令和4年度から7年度を計画期間とする「第2次島田市総合計画後期基本計画」を策定しています。この計画では、次代につなげるための長期的な視点にたった行動指針の一つとして「循環型社会」の実現を掲げ、エネルギーの地産地消、省エネの推進や、資源の地域内循環、空き家や公共施設の有効活用などの取り組みを位置付けていく予定です。次の世代に、持続可能でより良い島田をつなげるために、これからもカーボンニュートラルに向けた挑戦を続けてまいります。皆さんもぜひ、身近なところから取り組みを始めてみてください。冬場に1枚多く着込み、暖房を使う頻度を抑えることも、カーボンニュートラルに向けての大事な取り組みです。
今年も1年間、市政羅針盤をご愛読いただき、ありがとうございました。

給食費無償化について皆さんはどう考えますか(令和3年度11月号)(2021年11月30掲載)

「子育て世代に選ばれるまち島田」を政策に掲げているのなら、子育て世帯の負担軽減のために給食費を無料にしてほしいという声が寄せられました。今年6月の市議会でも同様の質問が出ましたので、今月は給食費の無償化について、一緒に考えていただきたいと思います。
学校給食は、給食調理場を整備し、調理員を雇い、管理栄養士らが献立を考え、食材を購入して調理し、出来上がった給食を学校へ運ぶ、これら一連の準備や作業を経て子どもたちに届けられます。その経費のうち、給食費として保護者にご負担いただく額は材料費のみで、(小学校.4,558円×11ヶ月、中学校.5,440円×11ヶ月)、その合計額は給食に係る全経費の約45%(令和2年度約4億3,000万円)になります。人件費・施設維持費・光熱水費など残り55%は、公費で賄われています。つまり、給食費を無償化するには、市がこれまで負担してきた金額に、さらに毎年4億円超の財源を捻出しなければなりません。
一般的に給食費無償化は、所得の低い世帯への救済策といわれますが、実際に経済的困難を抱える家庭には、既に生活保護や就学援助制度があり、制服・文具学用品・給食費・修学旅行費・部活動費など、学校生活全般に必要な費用が援助されています。また、当市の学校給食費の収納率は99.97%(令和2年度)で、納付が滞っている世帯はほとんどありません。
このような状況に鑑みますと、島田市が今、優先すべき施策は、子どもたちが日々学ぶ学校施設の老朽化対策(改築・改修)や学校支援員・スクールソーシャルワーカーの増員、不登校対策、教職員の負担軽減、デジタル化の推進など、教育環境の整備・充実だと考えます。南海トラフ巨大地震などの大災害は、いつ起こるかわかりません。まず必要なのは、子どもたちの命を守ること、学びの場を保障すること、心豊かに成長できる教育環境を整備することです。そのための財政措置が、給食費の無償化より優先されるべきと私は考えます。
一方、全国を見渡せば給食費を無償化している自治体も確かにあります。平成29年度「学校給食費の無償化等の実施状況」および「完全給食※1の実施状況」の調査結果(平成30年7月27日文部科学省公表)では、全国1,740市町村のうち、学校給食費の無償化を実施している自治体は、小学校・中学校ともに無償化を実施しているのが76自治体(4.4%)、小学校のみの無償化が4自治体(0.2%)、中学校のみの無償化が2自治体(0.1%)となっています。無償化に踏み切っている自治体の多くが町村であり(71自治体93.4%)、かつ人口が1万人未満の自治体が56自治体(73.7%)でした。
これらの自治体は、厳しい財政状況の中にあっても学校給食費の無償化が他に代えがたい必要なサービスと判断し、公的給付として学校給食費を賄う選択をしたと思われます。察するに、人口規模の小さなまちの人口減少対策として、若い人たちの移住定住を目的に無償化に踏み切ったのではないでしょうか。
給食費が無料になったら助かるという保護者の思いは十分理解できますが、それを実現するためには、国費で給食費を無償化するか、市として新たな税収を増やすか、他のサービスを抑えて財源を確保するかしなければなりません。財源を考えずに「あったらいいな」を重ねるのは子どもたちの世代に負担(借金)を残すことにつながりかねないからです。今を生きる私たちに必要なサービスは、でき得る限り、今を生きる私たちの財布から用立てしませんか。税金には「所得の再分配」という役割が期待され、私たちの社会は、みんなで税金を出し合って支えあっています。どうすれば、市民の皆さんに満足度の高いサービスを提供できるか、「全体最適」の発想をもって市政運営に取り組んでいます。

新型コロナウイルスとの共存・共生を見据えて(令和3年度10月号)(2021年10月18掲載)

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は、今や私たちの生活の一部となり、人々の価値観や社会経済活動に大きな変化をもたらしました。この1年半、私たちは多くの不自由に耐え、行動の自粛・マスク・消毒・三密回避などを実行してきましたが、いまだ出口の見えない状況であります。
島田市における陽性者が急激に増加した8月以降の第5波において、1週間当たりの陽性者数がピークに達したのは8月27日でした(104人)。その後は下がり続け、9月末現在、直近7日間の陽性者数は4人となっています。
ワクチン接種率を高めて重症化を防ぎ、治療薬を開発して、感染しても治療できる状況にすることが急務です。また、実際、2回接種していても感染する「ブレークスルー感染」は市内でも陽性者の1~2割に見られますが、重症化予防という意味でワクチンは高い効果がみてとれます。
こうした中、島田市では、希望するすべての市民へのワクチン接種を10月末までに完了する見通しです。高齢者はすでに9割以上接種しましたが、接種対象者(12歳以上)全体では、9月末現在61.5%の接種率となっています。家庭内で幼いお子さんに感染させることを防ぐためにも、ワクチン接種をお勧めします。
第5波では、入院が必要な中等症2以上の感染者でも、コロナ専用病床に空きがないため自宅療養を余儀なくされ、自宅で死亡が確認されるといった痛ましい事例が、全国で相次ぎ報道されました。このような事例は、地域の医療体制によって大きな差が出ます。感染症拠点病院である島田市立総合医療センターでは、志太榛原地域で入院が必要な感染者を確実に受け入れられるよう、感染拡大時にはコロナ病床を相当数増床しました。抗体カクテル療法も、早い段階から積極的に行っています。
また、市独自の取り組みとして、高齢者施設や学校・保育施設などで陽性者が出た場合、濃厚接触者と判定されなくても、接触の可能性があった方々に無償でPCR検査を実施し、感染拡大の防止に取り組んでいます。中部保健所と協力して、希望する自宅療養者への健康観察、パルスオキシメーターの貸与、5日分の食料品宅配など、自宅療養者のケアにも万全を期してまいりました。
緊急事態宣言発令中における夏休み明け学校再開については、多くの保護者から賛否両論のご意見をいただきました。島田市は、希望するご家庭にはリモート学習を認め、基本は通常授業としました。今後も感染拡大が確認された場合、直ちに一斉休校は行わず、各校ごとに休校や学年・学級閉鎖を行う方針でいます。登校に不安を感じ、保護者の判断で登校を見合わせる場合は、欠席扱いにはなりません。各校は、これまで同様に感染拡大防止対策を徹底し、感染リスクの高い活動などについては、やり方を変えたり、実施を見合わせたりしています。ご心配なことがあれば、学校または教
育委員会へご相談ください。
政府は、ワクチン2回接種を条件に「ワクチン・検査パッケージ」を活用して、飲食店での営業時間・人数制限・酒の提供の制限緩和、県をまたぐ移動などの自粛要請の撤廃、イベント・部活動・課外活動など制限を緩和する方針を公表しました。3回目となる「ブースター接種」も実施の方向で検討されています。
これらの方針に加えて、当市も人々の行動様式や意識の変化を踏まえた、新たな施策に取り組んでいかねばなりません。「コロナとの共存・共生」(withコロナ)を前提に、経済社会活動やコミュニティ活動を回復しなければならないからです。市民の皆さまには新型コロナに対する正しい知識の入手とともに、新型コロナと共存する社会のあり方や自らの生活スタイルを考えていただきたいと思い、今月のテーマとしました。

いまなぜ必要?「島田市立地適正化計画」(令和3年度9月号)(2021年9月16日掲載)

今月は固いテーマだなぁと思われるでしょうが、将来の皆さんの暮らしに関連する大切な内容なので、ぜひ最後まで読んでください。
まずは、「立地適正化計画」が必要になった背景をお話したいと思います。わが国は、明治維新(1868年)以降、急速に人口が増加しました(明治維新の頃の人口約3,330万人)。しかし、2008年の1億2,800万人をピークに人口は減少に転じ、今後100年間で100年前の水準(約5,000万人)に戻ると予測されています。高齢化率も、2040年には全国平均で35%に達する見込みです(当市7月末現在の高齢化率31.6%)。
人口が増えた時代には、多くの都市で市街地が郊外へと広がっていきました。今後、拡大・拡散した市街地のままで人口が減少すると、空き家や空き地が多くなり、一定の人口規模によって支えられてきた医療・福祉・商業・子育て支援などの都市機能(生活に必要なサービスの提供)の維持が困難な状況になるおそれがあります。これを「都市のスポンジ化」と言います。都市のスポンジ化が進むと、病院やスーパーマーケット、バスなど私たちの生活を支えてきた便利なものが、住んでいる地域からなくなってしまうかもしれません。利用者が減少して民間の経営が成り立たなくなるからです。
では、どうすれば住みやすい地域を維持することができるのでしょうか。その対策の一つが「立地適正化計画」です。
今後の人口減少・少子高齢化においても便利で安全で暮らしやすい地域を維持するためには、予測される人口規模に応じて、医療・福祉・商業・子育て支援施設などの生活サービス施設を一定エリアへ誘導し、その周辺へ居住を誘導することに加え、近年頻発・激甚化する自然災害を受けて、災害の危険性が低いエリアへ居住を誘導することが重要になります。今後は、そのための支援策を講じながら、時間をかけて居住を誘導し、高齢者をはじめとする誰もが徒歩や公共交通などにより、生活サービス施設などに容易にアクセスできる「コンパクト・プラス・ネットワーク」のまちづくりを目指していきます。それが「立地適正化計画」です。
具体的には、各地域に市民生活に必要なサービスを維持・誘導するエリア(都市機能誘導区域)を指定して、魅力的で居心地が良い中心拠点・地域拠点の形成を進めます。「誰もが多様な暮らしを楽しめるまちづくり」が、島田市立地適正化計画の基本方針です。
誤解を招かないようにお伝えしたいのですが、立地適正化計画は、すべての人口の集約を図るものではありません。例えば、農業などの従事者が農村部に居住するのは当たり前のこと。中心的な拠点だけではなく、旧町村の役場周辺などの生活拠点も含めた、多極ネットワーク型のコンパクト化を目指します。
今月は、本計画の対象地域となる旧市街・六合・初倉・金谷地域を対象に、市内4カ所で説明会を予定しており、今年度末までの計画策定を目指しています。川根地域には、別途「過疎地域持続的発展計画」を策定します。
繰り返しになりますが、今後の急激な人口減少と少子・高齢化社会を踏まえ、高齢者も子育て世代も全ての市民が健康で快適な生活を実現すること、また、財政面や経済面においても持続可能な都市経営を行うこと、さらには災害に強い安全安心なまちを形成することが、今後の島田市のまちづくりを考える上で重要となります。

島田市における近年の降雨特性と市民に知っていただきたい知識(令和3年度8月号)(2021年8月16日掲載)

去る7月3日に発生した熱海市伊豆山の土石流災害は、5万6,000㎥超の土砂が海岸まで一気に流れ下り、人家の密集する地域を襲った極めて特異な災害でした。土石流の最上流部で崩落した盛り土は、業者が届け出ていた計画をはるかに上回る量であり、地中に通すはずの排水管などの痕跡も盛土の流出を防ぐ堰堤も確認できなかったと聞いています。これは自然災害というより、人災のようにも思えます。宅地や農地を整備する目的で盛り土をする場合は、安全確保に関する法律の規制があります。森林法に基づく林地開発の盛り土についても、自治体の行政指導だけでは限界があり、今後は、国による法整備が急がれます。
熱海の土石流発災後すぐに、当市においても似たような盛り土の事例がないか調査し、当市において、類似の事例はないと確認しています。島田市の土砂災害警戒区域内のレッドゾーン(土砂により建物の損壊・流出する可能性のあるエリア)に住家はありません。土石流に限らず、土砂災害が起きてからの避難は実質的に困難なことから、いかに前触れ現象(濁った水が流れる、地鳴りがする、小石がゴロゴロ落ちてくるなど)を把握して、自ら避難(安全確保)するかがポイントです。住民(家庭・地域)自らが、避難行動を主体的に判断・行動できる仕組みの構築に、市としても重点的に取り組んでまいります。
さて、近年の島田市の降雨特性ですが、1回の降雨に伴う連続雨量が、400ミリを超えるケースが、令和元年度から令和3年度まで毎年発生しています(400ミリを超えるのは伊久美と川根地区が多い)。また、時間雨量が50ミリ以上(滝のように降る非常に激しい雨)に達する回数も増えています。特に平地部で時間雨量80ミリ(息苦しくなるような圧迫感のある猛烈な雨)を記録するなど、強雨の傾向が強まっています。雨量の多い6月~10月を出水期といいますが、この時期の降水量が近年増えていて、特に、直近3年間は、梅雨末期の7月に雨量が極めて多い状況です。
「50年に一度」「かつて経験したことのない豪雨」といった表現を、私たちは毎年耳にするようになりました。線状降水帯による局地的豪雨発生頻度も増加しています。日本近海の海水温上昇による台風の大型化・強力化も顕著になりました。こうした中、本年5月の災害対策基本法改正に伴い、市から発令される「避難情報」の区分が変更になりました。狙いは、逃げ遅れを無くすことです。警戒レベル3「避難準備・高齢者等避難開始」が「高齢者等避難」に変更され、これが発令されたら、避難に時間がかかる高齢者や障害のある人、あるいは、小さなお子さんがいるご家庭はもちろん、できるだけ全員が危険な場所から避難を開始してください。警戒レベル4「避難勧告」「避難指示(緊急)」は「避難指示」に一本化されました。遅くとも「避難指示」が出るまでに、全員が避難を完了していることがベストです。警戒レベル5「災害発生情報」が「緊急安全確保」に変更。「緊急安全確保」では、災害がすでに発生している、または切迫している状況のため、直ちに命を守る行動をとること。もし、逃げ遅れた状況なら、1階よりは2階、山側よりは反対側の部屋へ建物内避難をしましょう。冠水してきている状況での避難や夜間に避難所に向かうのは、大変危険です。
当市では、避難行動の確実性と安全確保を前提として、本当に必要な場合に限って避難情報を発令しています。他方、大規模台風接近など事前避難等の必要がある場合は、警戒レベル3以下でも地区ごとの状況に応じた避難情報を発令することがあります。発令に際しては、市内全ての自治会長に連絡をし、気象情報や災害の恐れについて連絡するとともに、地区の情報や要望を聞き取って準備を促します。(自治会単位で避難情報発令)避難の理由(洪水・土砂災害・強風)などを明らかにし、対象になる世帯を明確にお伝えしていますので、ご協力をお願いいたします。

次なる4年間に向けた市政の展望(令和3年度7月号)(2021年8月2日掲載)

三度、島田市政のかじ取りを担わせていただくことになりました。引き続き、島田市のために尽力できることを大変誇りに思うと同時に、改めてその責任の重さを痛感しております。今回は2期目の4年間を振り返りつつ、次なる4年間に向けた市政の展望についてお話させていただきます。
2期目は、8年前の市長就任時からの大きな課題を解決し、形としてきた4年間でした。市民の皆さまが待ち望んだ「島田市立総合医療センター」の開院、新東名島田金谷IC周辺における緑茶・農業・観光の体験型フードパーク「KADODE OOIGAWA(カドデ オオイガワ)」と大井川流域の観光情報を一体的に発信する「TOURIST INFORMATION(ツーリスト インフォメーション)おおいなび」のオープン、そして、田代の郷における子どもを中心に3世代が一緒に楽しめる「島田ゆめ・みらいパーク」の開園が実現しました。
また、人口減少、特に少子化が進む中、まちの宝であり、島田の未来を担う子どもが健やかに育つように、「子育て応援都市島田」の名に恥じぬよう、子育て・教育施策は特に力を入れてまいりました。
全ての子育て家庭に妊娠期から同じ保健師が継続して関わることで、より気軽に相談しやすい関係を築いていく「島田市版ネウボラ」の開始や、病気中でも安心して子どもを預けることができる病児保育の実施、島田第四小学校・島田第一小学校と順次進めている教育施設の改築、地域ぐるみの子育てで親の孤立を防ぐ取り組みなど、安心して子どもを産み育てることを応援する施策を、重層的に打ち出してまいりました。
これらの取り組みに加え、このまちに住む人の温かさ、都会と田舎が融合する住みよい生活環境といった島田の総合力が子育て世代に受け入れられ、7年連続の30歳代と10歳未満における社会動態の転入超過という形で、その成果が表れています。
さて、私が考える次なる4年間の展望ですが、その主な内容は本紙巻頭の「就任のごあいさつ」のページでお話させていただいておりますので、ここでは巻頭でお示しできなかった内容について、お話をいたします。
市民生活に直結する課題としては、人口減少・少子高齢化が進む中、特に中山間地域においては、医療・介護・福祉などの住民サービスや、買い物などの生活機能を維持し、安心して暮らせるよう、交通や通信を活用したまちづくりを進めていく必要があります。道路や水道施設などのインフラや公共建築物の老朽化対策と維持・管理も、待ったなしの大きな課題です。
令和6年度末に統合を予定する北部4校の跡地利活用も、地元のご意見を伺いながら、統合までに具体的な跡地利活用方針を見出してまいります。平成になってからの30年間で、市内の児童・生徒数は4割減少しました。加えて、1人1台端末(PC)、アクティブラーニングやプログラミング教育、小学生からの英語教育など、教育現場は大きく様変わりしています。子どもたちが楽しく学校に通い、多様な価値観に触れ、切磋琢磨できる環境の整備を図ってまいります。
これからは空き家のリノベーションなど、既存ストックの活用でまちなかの活性化を図る施策も、重要になってきます。人口減少に対応した「都市機能の集約」や「まちなか移住の推進」などを、中長期的視野に立って進めなければなりません。そして魅力的なまちを創るためには、若い人たちを巻き込んだ移住定住の促進と人材育成が欠かせません。
このほかにもさまざまな施策を進めていきますが、限られた財源の中、何を最優先に進めていくのか、しっかりと見極めてまいりたいと考えております。現在(いま)を生きる私たちの選択に、島田の未来が掛かっています。皆さまと対話を重ね、連携・協働して、直面する行政課題に取り組み、ご納得いただける市政運営を目指してまいります。人口や税収が減少していく中にあっても、市民の暮らしをより豊かにできるよう、職員とともに懸命に働いてまいりますので、皆さまのご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

若い世代に選ばれるまち島田になるために(令和3年度6月号)(2021年6月22日掲載)

今月は、島田市在住の若い世代が「住む場所を見極めるときに最も重視する点」に関するアンケート結果を紹介し、若い世代の人口を増やすために市がどのような施策を展開しているのか、その方向性についてお話ししたいと思います。
市では毎年、市民意識調査を実施していますが、居住地を選択する際の価値観が最も顕著に現れる「住む場所を決めるときに最も重視する点」という質問に対して、若者世代(20~24歳)の回答で最も多かったのは「買い物をする店の多さ、近さ」(80.0%)でした。子育て世代(25~34歳)の回答では「安全・安心な場所」(65.1%)、「交通の便が良い」(61.8%)が上位です。「若い世代」と一括くくりで言っても、年齢を重ねると価値観が変化していくことや、20歳代前半と子育て世代の間では大きな相違があることが分かります。
さらに、県立大学の学生を対象に実施した20代前半へのインタビュー調査では、「大学卒業後の居住地は就職先を考慮して決める」「ショッピングモール、コンビニが近くにほしい」「遊ぶ場がほしい」など、眼の前の利便性を重視した回答が目立ちました。
次に子育て世代へのインタビューでは、「子どもができて生活が大きく変わった」「出産を機に価値観が変わった」という声が多数上がっています。これらの結果から、若者世代から子育て世代へと価値観の大きな変化をもたらす要因として、「出産」という人生の一大イベントが大きく関与していることが伺えます。さらに「島田市は安全で静か、子育てに適した環境がある」「現状の島田市の子育て支援・サービスに満足している」「生活をする上で必要な店はそろっている」という声をいただき、当市は子育て世代に高く評価されていると受け止めています。
インタビュー調査から、若者世代にとって魅力的な島田市にするには、働く場所を増やすだけでは不十分で、若者世代の価値観に合ったまちづくりが必要となります。しかし、買い物する場所や遊ぶ場所の多さで、島田市が優位になるとは思えません。
私は、島田市にないものを揃えるより、当市が持っている地域性や安全・安心なまちであることに磨きをかけ、子育て世代に手厚い施策を展開することで選ばれるまちになることを目指しています。それこそが、若い世代の定住人口増に繋がると考えるからです。
私は、これから地域を担う若い人たちに、ずっと地域にとどまり続けてほしいと願っているわけではありません。むしろ、地域を離れ、知見を広げることによって、地域を俯瞰できる視点を養ってこそ、地域に貢献できるものと思います。一度島田を離れた若者でも、祭りや地域行事、ボランティアなどに関わる経験をしていれば、達成感や、やり甲斐を実感した場所に戻ってくると考えています。市内には、5つの高校があります。高校在学の間に、大人とともに汗を流し、地域活動やインターンシップなどで達成感を感じられる場面を用意することが、私たち大人の役割ではないでしょうか。意志をもって地域に関わろうとする若者が増えることが、持続可能なまちづくりの第一歩です。
島田市では、地域で働く大人の姿や働く喜び、大変さをリアルに伝えていく高校生対象の「人材育成プラットフォーム」を設立しました。高校生のうちから、自分の将来を真剣に考えられる若者の育成が急務です。教育環境を整えることや子育て支援、移住定住の支援などの施策を重層的に展開するとともに、民間と連携して次の世代の人材を育成することも、行政の大きな役割となっています。

一人ひとりのニーズに応じた教育を~令和3年度島田市特別支援教育の取り組み~(令和3年度5月号)(2021年5月20日掲載)

新1年生も新しい環境に慣れて、楽しく元気に通学していることと思います。
さて、今月は、当市の特別支援教育の取り組みについてお話ししたいと思います。
小学校の特別支援学級在籍者数は、平成28年度が56人、令和3年度は132人と、5年間で2.35倍にも増加しました。特に、自閉症・情緒クラスの在籍者数は、平成29年度の14人から今年度は53人と、わずか4年で3.8倍に急増しています(中学校は、ほぼ同数で推移)。この背景には、子どもの困っている状況を理解し、特性に応じた適切な支援や関わりが、その子の可能性を伸ばすという認識の広がりがあると考えます。
ところで、特別支援学級について、皆さんはどれくらいご存じでしょうか。さまざまな障がいがあることによって、通常の学級における指導では十分な効果を上げることが難しい児童生徒に対し、きめ細かな教育を行うため、小学校および中学校に、特別に設置された少人数学級のことを特別支援学級といいます。特別な配慮の下で、児童生徒の実態に応じた適切な教育を行っており、今年度の市内小中学校の特別支援学級数は、合わせて35学級あります(知的19学級、自閉症・情緒14学級、肢体2学級)。
特別支援学級は、あくまでも小学校または中学校の学級の一つです。通常の学級の児童生徒と活動を共にする機会を設け、集団生活への参加を促し、相互理解を深めることを大事にしています。そのため指導に当たっては、学級担任だけでなく他の教師と連携協力するなど、校内全体の理解と協力体制の下で、特別支援学級における教育の充実を図っています。
近年、特別支援教育の現場では、ADHD(注意欠如・多動性障がい)、自閉症スペクトラム(従来の高機能自閉症、アスペルガー症候群など)、LD(学習障がい)などの児童生徒が増えています。学校では、特別な支援を必要とする児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握して、知識と経験に富んだ専門性の高い教師が適切な教育を行い、子どもの可能性を引き出す支援が行われています。
もちろん、通常学級に通うか特別支援学級に通学するかは、保護者や児童生徒の意志が尊重されます。また、特別支援学級への入級後も、障がいの状態の変化などに応じて適切な教育が行われることが大切であり、学校内の就学支援委員会等で、児童生徒の実態や教育内容や指導方法などの検討を行っています。
忘れてはいけないのは、学校に通うのは医師でも先生でも保護者でもなく、子どもたち自身です。入学前に通常学級・特別支援学級の様子を見学したり、教育委員会に相談したりしながら、安心感・納得感のある決断をしていただきたいと願います。通常学級から特別支援学級、特別支援学級から通常学級、いずれも転級が可能です。
「理解がゆっくり」「発音がはっきりしない」「行動が落ち着かない」「予定が変わるとパニックになる」「特定なものへのこだわりが強い」「コミュニケーションがうまく取れない」「発達がゆっくり」「順番が待てない」など、お子さんの発達で心配事がありましたら、お気軽にご相談ください。なお、小さなお子さんの場合は、健康づくり課の保健師が対応いたします。
特別支援教育の理念は、共生社会の実現にあります。ADHD、自閉症スペクトラムなどの発達障がいは、早期発見・早期支援が重要であるといわれています。
今後も、特別支援学級や通級指導教室(通常の学級に在籍しながら、言語や発達について、週1~2回、特別な指導を行う。今年3月、島田第四小学校に新施設完成。現在130人が通級)の整備などに注力し、特別支援教育が広く理解・共有されるよう努めてまいります。

市役所新庁舎建設の必要性について(令和3年度4月号)(2021年5月17日掲載)

現在の市役所庁舎は、昭和37年(1962年)に竣工し、建設から約60年を迎えます。もし今、南海トラフ地震等の大規模地震に見舞われたら、現庁舎では市民の安全・安心を図るための災害対応機能や、その後の復旧や復興に向けた市役所機能を維持できるかなど、大きな不安材料を抱えています。
また、2度の合併を経て、庁舎面積の不足、建物・設備の老朽化などの課題も抱えており、このまま長期間使用することは困難な状況になっています。そのため、財源として基金を積み立て、有利な市債である合併特例事業債、合併推進事業債の発行期限に注視しながら、事業スケジュールを調整してまいりました。本年2月議会で予算をお認めいただきましたが、いま一度市役所新庁舎建設がこのコロナ禍においても必要な理由についてお話ししたいと思います。
市民の皆さんの中には「耐震補強をしているはずだ」とおっしゃる方もおられます。確かに、平成14年度に「制震補強工法による耐震改修工事」を実施しています。しかし平成27年度に実施した耐震性評価の中では全体の経年劣化は否めず、雨漏り、天井の垂下、空調機器や給排水設備の老朽化などが著しいとの指摘を受けています。
最近では、令和元年度にエレベーターが故障し、その改修工事に約1,000万円かかりました。他にも1階のエアコンの一部が運転不能になり、取り換え工事に約200万円かかるなど、設備の老朽化が顕著となり、平成27年度の評価どおりの状況となっています。毎年度、多額の修繕費などが必要になっていますが、建物の寿命を考えると、さらなる設備投資などは極力抑えたいところです。
市民の皆さまには、建物の老朽化は理解されても一番心配されるのが、財政負担のことだと思います。次の世代に、大きな負担を残すことはないのかと。私も将来的な財政負担が、最も懸念される課題であると認識し、周到に準備を進めてまいりました。
市の自前財源で不足する部分は市債の借り入れを行いますが、最も有利な市債である「合併特例事業債」は、令和7年度までに完了する事業に充当可能です。ただ、合併特例事業債のみでは財源を賄うことができないため、「合併推進事業債」も併用する計画で、両方を使う場合は、期限の短い方に合わせて事業を完了することになります。これにより、建設事業費81.7億円に充てる市債約65億円のうち、約40億円が普通交付税の基準財政需要額として国から財政措置をされる見込みです。合併にかかる有利な市債を使えるこの機を逃したら、市独自の財源で、いつ新庁舎の建設に踏み切れるでしょうか。鉄筋コンクリート造の建物の法定耐用年数は50年とされており、既に60年が経過しようとしていることから、現庁舎の建て替え先延ばしは難しい現状です。
私たちの安全・安心を脅かすのは、新型コロナウイルスだけではありません。大地震も豪雨災害もいつ襲ってくるかわからず、私たちは、新型コロナウイルス感染症拡大と自然災害という"複合災害"がいつ起きてもおかしくない中にいます。島田市民の安全・安心を守る重要な拠点は、まさに市役所なのです。災害発生に当たり市役所が被害を受けず職員の命を守れた自治体は、東日本大震災のときも復旧・復興への取り掛かりが早く、市町によって差があったとの報告もありました。
また、コロナ禍によって落ち込んだ地域経済を活性化させる意味においても、現在計画しているスケジュールに沿って事業を進めることが最も適切であると判断しました。厳しい状況にある市内経済を浮揚させるためにも、公共事業(新庁舎建設)は大きな経済対策となります。
昨年度は、詳細設計の見直しを図り、更なる事業費圧縮に努めました。市民の皆さまのご理解とご協力を得て、市役所新庁舎の建設を計画通り進めさせていただきたいと存じます。

市民の期待に応え「すぐやる課」は今日も頑張っています(令和2年度3月号)(2021年5月17日掲載)

島田市には「すぐやる課」という全国でもめずらしい部署があります。住民の要望に対し、「すぐにできることはすぐにやる課」として皆さんにご好評をいただいている当課が、どんな業務をしているのかをご報告するとともに、皆さんに考えていただきたいことがあって、今月のテーマとしました。
市すぐやる課の存在は、広く浸透しており、年間2,900件を超える要望を承っています。令和元年度は、電話または直接窓口で個別にいただいた要望が2,671件、自治会からの要望が648件でした。個別要望に対する処理率は95%。国の河川・国道事務所や県島田土木事務所につなぐ案件などを除けば、ほぼ100%処理しています。作業員は、増加・多様化する皆さんからの要望に迅速に対応できるよう、2班9人体制で出動し、現場に応じ効率よく業務を行っています。
具体的な業務としては、道路の穴埋めなどの舗装修繕、側溝・カーブミラーなどの維持修繕、草刈り、水路の浚渫(しゅんせつ)・改修、災害等の緊急時に対応した応急措置などです。
いただくご要望の中には、「家の近くにマムシがいるので駆除してほしい」「屋根から降りられなくなった猫を助けてほしい」「自宅の庭の草刈りをしてほしい」「ご近所のピアノがうるさいから注意して」「公園で遊ぶ子どもの声がうるさい」「ゴミが落ちているので拾ってほしい」「お隣との境界でもめている、隣人を諫(いさ)めてほしい」など、多岐にわたります。
しかしながら、すぐやる課は「なんでもやる課」ではありません。庭の草刈りなど、私有地の維持管理や個人的な要望には、基本的にお応えできません。道路・水路の簡易修繕、ゴミ詰まりなど、さまざまな公共施設の問題に対応していますのでご理解いただきたいと存じます。ハチの巣のある場所が、公共の場にあれば市が駆除の手配をします。また、私有地にある時は、駆除業者をご紹介しています(もちろん一刻を争うような緊急性があれば、猫も鯉も助け、マムシの駆除も可能な限り行っています)。
先日いただいた市長への手紙には、「市政に限らず、物事には隙間というものが存在し、その部分は困っていても誰もが自分事として対応してくれない。しかし、私の住んでいる島田市には『すぐやる課』という隙間に対応する素晴らしい部署が存在する。実にありがたいことだ。もうやめようと思っていた市道の美化に、行政と共に進めていこう、という気持ちになった」(原文ママ)と記されていて、感謝の気持ちがこみ上げました。
「ゴミを拾って」と電話する前に、気付いた人がそっとゴミを拾ってくれたなら、その優しさは地域に広がる気がします。本通りでも、黙々と歩道の草取りをする男性をよく見かけます。市も最大限、市民の皆さまに寄り添うサポートをしてまいります。みんなが「地域でできることは地域で」と考えていただき「互助の精神」が広がれば、誰もが住み慣れたまちで安心して住み続けることができます。コロナ禍だからこそ気づいた、人とのつながりの大切さを、次なる行動につなげていきたいものです。
ところで皆さんは、道路の穴ぼこなどを見つけた時、スマートフォンで写真2枚(近景・遠景)を市公式LINE(ライン)に送信すると、すぐやる課に通報できる便利な仕組みをご存じですか。24時間いつでも通報でき、電話や来庁する手間が省けます。昨年8月25日の開始から今年1月末までの約半年間で、124件の通報がありました。
私はLINEなんて使えない、とおっしゃる人には、「デジタル活用支援員」が基本的なスマホの操作やアプリの使い方を懇切丁寧に説明しますので、デジタルトランスフォーメーション推進課へご連絡ください。

「島田市立総合医療センター」ついに完成!(令和2年度2月号)(2021年3月5日掲載)

市立島田市民病院は、私たちの命を守る大切な病院です。地域の基幹病院として、市民の健康を守り、市民のよりどころであり続けるために、平成26年から老朽化した病院を建て替える事業を進めてまいりました。構想から足掛け8年、本年1月末に新病院「島田市立総合医療センター」の本体工事が、無事完了したことをご報告申し上げます。
当市の地域医療を取り巻く状況には、少子高齢化の進行、地域医療を支えていただいている医師の高齢化や後継者不足、地域的な偏在化など、極めて厳しいものがあります。このような状況の中で、新型コロナウイルス感染症にも対応する感染症専用病床を備え、地域医療の中核を担う当病院の役割は、従来にも増して重要となっています。
今後は、5月2日の開院に向けて、最新医療機器の搬入や院内の備品整備を進めていきます(現病院の解体や駐車場整備等が完了してグランドオープンを迎えるのは来秋の予定)。また、病院にとって一番大切な医師確保については、現在の常勤医89人体制から開院3年後の100人体制を目指し、更なる努力を重ねてまいります。
今月は、新病院建設にあたって配慮した点、新病院の特徴などをお伝えしたいと思います。
(1)まずは、市民を守る救急ホットラインの構築です。屋上にヘリポートを設置し、ドクターヘリから直結する救急専用大型エレベーターで、救急・手術・重症室へ患者搬送が速やかに行えるよう、救急医療体制を強化しました。
(2)ユニバーサルデザインに配慮し、使いやすく分わかりやすい病院を造りました。1・2階の外来と検査部門は、センターストリート(幅約6m、全長約100mの廊下)から全て見渡せます。また、院内の空気清浄度を確保し、院内感染を防止します。来院者の安全を第一に、適切な医療環境・衛生環境・医療設備を確保しています。
(3)職員にとって働きがいのある病院を目指しました。スタッフと患者の動線を分離するため、外来診療室の裏側にスタッフ通路を配置。また、3階はスタッフフロアとし、医療従事者専用の交流と休憩スペース(スタッフコモンズ)を整備しています。より良い職場環境は、医師や看護師の招しょうへい聘にも繋がると考えています。
(4)十分な駐車場を確保するとともに、乗降のしやすい広いロータリーを造り、病院玄関までの安全な動線を確保します。また、病院に入る道路に右折レーンを設置し、渋滞緩和を図ります。来院者のための「子育て支援駐車場」や「車いす駐車場」を整備します。
(5)災害拠点病院として、災害対策にも重点を置き、ライフラインのバックアップ機能を確保しています(自家発電装置、備蓄倉庫、耐震上水配管など)。また、被災者の受け入れを想定して、屋外での重症度別受け入れ(トリアージ)や感染症のパンデミックにも対応できる整備をしています。
(6)病院機能を確保した上で、ランニングコスト(維持管理費)の削減、イニシャルコスト(設置費・導入費)の縮減を目指し、節水型の衛生機器やLED、人感センサーを設けるなど、省エネルギー化を図りました。また、自然採光、自然換気等を積極的に取り入れることで、環境とライフサイクルコスト(造られてからその役割を終えるまでにかかる経費)に配慮した病院となっています。
もっともっと詳しく新病院の説明をしたいのですが、紙面が足りず残念です。島田市立総合医療センター完成に至るまでの間、病院のあり方、診療機能や規模など、建設に向けてさまざまな調査や検討などに関わってくださった、全ての皆さまに心から感謝と敬意を表します。ありがとうございました。

新年に寄せて(令和2年度1月号)(2021年1月26日掲載)

毎年恒例の「みんなで走ろう!元日マラソン」や各地域の「新年祝賀会」が中止になり、家族の帰省も自粛して、今年はこれまでにない年の初めとなりました。コロナ禍で、当たり前に過ごしてきた日常の大切さに、改めて気づかされました。一日も早く新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、皆さまにとって幸多き一年になることを願っています。
昨年、感染拡大に伴う外出自粛で、再認識したことがあります。学校が一斉休校になり、国民が家庭で自粛生活を余儀なくされている間も、産業や生活基盤に携わっている人たちは、家を出ないわけにいきませんでした。ステイホームのさなかにも、医療の最前線で働く人や、ごみの収集を行い、訪問看護に出かけ、コミバスを動かす人々がいました。緊急事態宣言下でも宅配便は滞りなく配達され、マスク不足で行列ができたドラックストアでは、お客様からいわれのない暴言を浴びても笑顔で業務を全うする従業員の姿がありました。電気・ガス・水道、警察官も消防官も自衛官も、みんな頑張っている。このコロナ禍で教えられたことの一つは、私たちの生活はこんなにもたくさんの縁の下の力持ちに支えられて成り立っているということ。生活基盤を支える行政の仕事は、その根幹を成すものです。地道に一つ一つ、市民の暮らしが、より安全・安心に、より便利に、より快適になるように、今年も職員一丸となって「市民ファースト」のまちづくりに励んでまいります。
さて、昨年11月にオープンした新東名島田金谷ICに隣接する「KADODEOOIGAWA(かどでおおいがわ)」は、大井川鐵道の新駅「門出(かどで)駅」、観光案内所兼物産販売所「おおいなび」とともに多くの賑わいを生み出し、オープンから1ヶ月で約10万人のご来場をいただきました。島田市だけではなく、大井川流域にとってランドマークとなる施設です。多くの皆さんのお越しをお待ちしています。
さらに、隣接する堤間(つつみま)・牛尾山地区の企業立地に向けた準備を進め、この地域が稼ぐ拠点となるよう、産業の活性化につなげてまいります。
また、皆さまの安全安心の砦とりでとなる「島田市立総合医療センター」が、いよいよ今年の5月2日に開院いたします。感染症の専門病床を備えた、地域の中核的医療機関として期待されています。今後も更なる医師の確保に努め、市民の命と健康を守ってまいります。
次に、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題についてもお話ししなければなりません。私が繰り返し申し上げてきたことは「今ある水を今後も守りたい」という、ただ一点に尽きます。流域住民の「生活」だけではなく「産業」を支える、まさに「命の水」です。引き続き、県・流域市町・利水者と一体となって、取り組んでまいります。
一方コロナ禍において、ICT情報通信技術を活用したテレワークやオンライン会議など、デジタル化の流れが一気に加速する中、当市は国に先んじていち早く「デジタル変革宣言」を行いました。本年も、皆さまがデジタルの恩恵により、便利で豊かな生活が送れるよう、さまざまな取り組みを進めてまいります。スマートフォンの初心者や不慣れな人向けには、デジタル活用支援員が地域にお伺いして、使い方や市公式LINEの登録方法など、操作を丁寧に説明することで、デジタル社会に取り残されないようサポートしてまいります。
本年も、前例にとらわれない柔軟な発想と新たな手法をもって、島田市の未来のために果敢に挑戦してまいります。
共により良い島田市を創ってまいりましょう。

「KADODEOOIGAWA」と「おおいなび」の目指すところ(令和2年度12月号)(2020年12月21日掲載)

国道473号と大井川鐵道が新東名高速道路と交差し、大井川流域の玄関口とも位置付けられる場所に先月「KADODEOOIGAWA(カドデオオイガワ)」と「ツーリストインフォメーションおおいなび」、大井川鐵道の新駅「門出(かどで)駅」が開業しました。最初の1週間で約3万2千人の来場者があり、新型コロナウイルス感染予防対策に最大限の注意を払いながらも、順調なスタートを切ることができました。単に買う・見る・体験するだけではなく、そこに足を運ぶことでくつろぎや癒しまで得られる金谷地域のランドマークが出来上がったと、地元の方々から喜びの声をいただいています。
島田市は、新東名島田金谷インターチェンジ(IC)周辺地区を「稼ぐ拠点」と位置づけ「陸・海・空」の広域交通の要衝という優位性を最大限に活用し、企業立地を促進するなど新たなまちづくりに重点的に取り組んできました。その先駆けとなるのが賑にぎわい交流拠点整備事業です。核となる「KADODEOOIGAWA」は、マルシェ・レストラン・カフェ・お茶の体験施設・子どもの遊び場から構成されています。また、島田市が設置し観光協会が運営する「おおいなび」は、お客様のご希望に合わせて、「大井川でやるべき100のこと(創作型観光パンフレット)」など流域の地域資源と地域の人材を、観光コンシェルジュが丁寧にご案内してまいります。奥大井・大井川流域の玄関口として、流域の魅力を収集・発信する「観光案内」と、島田市・川根本町を中心とした地場産品などの「物品販売」を行い、観光消費の拡大と地域産業の活性化に繋つなげていきます。大井川鐵道の「門出駅」も「おおいなび」に隣接していて、目の前を颯爽と走るSLの雄姿をご覧いただけます。ドラフト・ブラスト音(シュッシュッポッポという音)や汽笛の音、黒煙のにおいまで感じることができる希少な観光スポットとなっています。また国道473号に面して、本物のSL(C11形)が保存展示してあり、門出駅と合わせ、鉄道ファンにはたまらなく魅力的な場所になっています。SLをイメージした3種の漆黒ソフトクリームも人気です。
今後は、周辺観光地や大井川鐵道沿線の農業体験、観光農園とも連携した観光プログラムを売り出すことで、地域振興、農業振興に繋げていく計画です。こちらは、大井川農業協同組合や関係団体と連携をとって進めてまいります。「KADODEOOIGAWA」「おおいなび」「門出駅」が多くのお客様に末永く愛され、大井川流域の振興や中山間地域の農業の活性化に寄与する、地域のランドマークとなることを願ってやみません。
にぎわい交流拠点事業の構想は、2014年に当該地区が県の内陸フロンティア推進区域に指定され、翌15年に金谷地区住民が取りまとめた「新東名島田金谷IC周辺まちづくり構想骨子(案)」が市に提案されたことからスタートしました。その後、大井川農業協同組合、大井川鐵道、中日本高速道路、島田市が4者連携で賑わい交流拠点整備基本構想に合意。2017年には84haという広大な範囲を対象に、農用地区域の除外が完了。18年には賑わい交流拠点に係る農地転用許可を得ることができ、ようやく2019年度に施設建設工事の着工となりました。
このように、一つの計画が成就するまでには長い時間がかかります。地元住民の皆様の「地元の人が地元で働ける場所を創ってほしい」「地域に賑わいをもたらすランドマークがほしい」といった強い期待がこの事業を成就させたと考えています。これからこの施設のオープンにどのような連携や相乗効果が生まれていくか、とても楽しみです。
今年も一年間、市政羅針盤をご愛読いただきありがとうございました。

川越し街道賑わい創出事業について(令和2年度11月号)(2020年11月19日掲載)

蓬莱橋、川越遺跡、諏訪原城跡、東海道金谷の石畳など、島田には歴史に刻まれた観光・文化資源がいくつもあります。蓬莱橋には897.4(やくなし)茶屋ができ、大井川左岸側整備の後には初倉側の整備も計画されています。諏訪原城跡にはビジターセンターができ、樹木の伐採や散策路・案内板などの整備が進んで「続 日本の100名城」に選ばれた戦国時代の山城跡をご堪能いただけるようになりました。
次は、江戸時代の川越制度とその番小屋が国内で唯一残る川越遺跡(街道)を、多くの人に見てもらうことで歴史文化を知ってもらい、後世へ残していくために、これまでの保護・保存という考え方に観光振興の観点を追加して、観光地としても注目されるように賑にぎわいを創出してまいりたいと考えています。今後、観光資源としても着目されることで、これまで以上に保護・保存の必要性も高まります。(国指定史跡としては「川越遺跡」、観光資源としては「川越し街道」と表記)
このような考えに至ったきっかけは、平成29年の「文化芸術振興基本法」の改正でした。法律名を「文化芸術基本法」に改めるとともに「文化・芸術に、観光やまちづくり、教育や産業などの分野を連携させ活用してもよい」という内容が盛り込まれたからです。伝統的・文化的な風情・景観にリノベーションを加え、観光資源としても活用できれば、川越し街道に訪れる人が増え、地域の活性化も図ることができます。
一方で、これまで文化庁の支援を受けて整備してきた札場や仲間の宿などの復元建物は、「見せる」ことで歴史を伝える建物(文化財)であったため、基本的に商業施設などの活用が認められてきませんでした。江戸時代を彷彿とさせる風情は保たれていますが、観光客が長く滞在する機能がないのが現状です。また、史跡認定により、ハード整備に制約があるため、住居としては住みづらく、その結果として、空き家が増えつつあることも事実です。そこでさまざまな工夫を凝らして「和菓子バル」などのイベントを展開し、足掛け3 年、川越し街道が持つ観光資源としての可能性を探ってきました。
昨年度からは、観光地としての知名度を上げ、後世につなげていくための準備として「川越し街道周辺地域の文化財としての法規制の調査」「街道沿いの史跡指定地所有者への活用意向アンケート調査」「地元説明会」などを実施して参りました。結果、民間同士による土地建物売買のマッチングの可能性があることを確認しています。今後は、川越遺跡の保護と活用を両立できる体制をつくるため、市と地元だけでなく、民間事業者にも協力してもらう手法を考えています。
まずは、今年度中に公民連携事業として景観の保護保存をコントロールしつつ賑わいの創出を目指す「川越し街道賑わい創出事業構想」を作成し、市と民間事業者の役割分担を決定します。川越し街道は、河原町の住民の生活道路でもあるため、この事業による生活への影響に不安を感じることのないように配慮してまいります。
基本的に、市有地は市が投資をし、民地は民間事業者の活力を生かし、観光という切り口から整備を進めることになります。現在の計画では、令和5年度までに観光地には必須の「飲食」「物販」「宿泊」の施設をオープンさせ、併せて、道路、水路の改修や「朝顔の松公園」の整備を進める計画です。もちろん、本事業は令和5年度以降も続きます。
川越し街道は、非常に高いポテンシャルを秘めているため、これまで以上の活用が必要であり、またそれが可能です。市民の皆さまのご期待にお応えできるように、スピード感をもって整備を進めてまいります。

旧金谷中学校跡地活用事業中止と今後の土地活用について(令和2年度10月号)(2020年10月19日掲載)

地元自治会はじめ多くの市民の皆さまから期待を寄せていただいた「旧金谷中学校跡地活用事業」(当初の計画では、2021年春にアウトレットモールと健康維持・増進施設を開業予定でした)は、市と事業者双方の合意により、事業中止の判断に至りました。今月は、中止の判断に至った理由と今後の活用について、ご報告いたします。
端的に申し上げると、事業中止の原因は、新型コロナウイルス感染症による経済的影響という不可抗力によるものでした。新型コロナウイルス感染拡大の影響はリーマンショック時以上ともいわれ、経済活動をはじめとした私たちの生活に大きな変化をもたらす状況にあります。さらに、この状況が、いつ、どのような形で収束するのか全く見通しが立たない中、当初の与条件で旧金谷中学校跡地活用事業の目的を達成できる事業モデルを組み立てることが難しく、事業者は、この機会を転換点と捉えて組織や事業を変革し、ポストコロナ時代に向けた事業展開に注力していきたい意向を示しました。島田市も著しく変化した環境の下で、事業目的の「広域的な交流人口の拡大」や「賑わいの創出」、加えて「雇用の創出」の実現性において再考する必要があると判断したことが理由です。
以上のことから、工事着手前の段階であったことも踏まえ、当初の計画通り事業を進めることはあまりにもリスクが大きいと考え協議を続けてきました。その結果、去る8月3日、事業を中止とする合意に達し、事業者と市との契約関係を最終的に解除しました。ここに至るまで、静岡県が熱心に仲介の役割を果たしてくださったことに謝意を表します。
行政として、常に社会経済情勢の変化を敏感に読み取り、臨機応変に政策を軌道修正することが求められる時代です。結果としては、事業中止の判断を余儀なくされましたが、大局的にみて島田市の将来のために賢明な判断だったと信じています。
この旧金谷中学校跡地の活用については、2008年から静岡県とともにメッセの整備を検討しましたが、社会情勢の変化などから事業が進捗しないまま、2013年12月に県がメッセの整備を断念。2015年度には県と市でアイデアコンペを実施し、翌16年度に、活用コンセプトや整備・運用のあり方を盛り込んだ「旧金谷中学校跡地の活用に向けた基本計画」を策定しました。
この計画においては、民間事業者の自由な発想による創意工夫に委ねることを基本とし、民間事業者が施設整備から維持・管理・運営を行い、地域全体の活性化に資する持続性のある事業にすることを定めており、その主旨にのっとり県と市で事業者を募集し、2018年2月に事業者を選定、3月に基本協定書を締結しています。
こうした経緯のある土地ですから、県と市で策定した「旧金谷中学校跡地の活用に向けた基本計画」の見直しを含めて、今後どのような活用方針で事業を再構築すべきか、すでに内部の検討組織を立ち上げ協議を開始しています。現段階で新たな事業については未定でありますが、ポストコロナ社会を見据えた活用方針を、今年度中に出せるよう努めてまいります。
まずは、金谷地区自治会、金谷コミュニティ委員会、地元住民の皆さまからご意見などを伺うための意見交換会を、早急に実施する予定です。私自身がそれぞれの会場に出向き、直接拝聴させていただく所存です。

新型コロナウイルス感染症時代の避難所運営(令和2年度9月号)(2020年9月16日掲載)

新型コロナウイルス感染収束が見通せない中、いつ起きるか分からない自然災害への備えも、これまでとは違う対応を迫られています。住民が押し寄せる避難所で、どのように「3密」を回避し感染予防を図るのか。これまでの避難所運営と、どこがどう違うのか。今月は、コロナ禍における住民避難体制の整備についてご報告いたします。
まず、コロナ禍でも安全に避難所を運営していただけるよう、指定避難所39カ所の備蓄品整備を強化します。非接触型体温計(1カ所に、2本基準)、ファミリールーム(テント1,200張り)、簡易ベッド(3,200台)、大型扇風機(1カ所に4台)、アクリル板間仕切り(1カ所に5枚)、飛沫防止カーテン(1,600枚)、インバータ発電機(39台)など、これらの配備に向け、現在購入手続きを進めています。車椅子で利用可能な簡易トイレについても、計画的に整備します。3密回避のため、指定避難所定員数は半数以下に削減し、体育館以外の空き教室も利用できるよう、教育委員会と申し合わせを行いました。
8月30日に実施した総合防災訓練では、コロナ禍における避難所運営について、自主防役員を対象に訓練を実施しました。その際、避難所運営の啓発普及版DVDを、各自主防に配布しましたので、自治会・町内会での避難所運営訓練にぜひ活用してください。訓練に参加することで、より具体的にコロナ禍での避難の大変さをイメージすることができます。受付で検温や問診を行うだけでも、1人4~5分かかります。避難所開設訓練の参加者からは「感染疑いを判別するのに時間がかかった。分かりやすい判断基準が必要」「感染疑いのある避難者の情報が他の避難者に分からないように、運営側の情報管理やプライバシー保護の在り方も検討が必要」などの指摘があり、「受付は屋外設置が望ましいが、豪雨の中でできるのか」などの疑問も出ました。
コロナ禍においては、3密を避けソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つためにも、これまで以上にさまざまな避難形態が求められます。そもそも、避難所へ行くことだけが避難ではありません。自宅が安全ならば、逃げる必要は無いのです。台風・豪雨時に備えてハザードマップで浸水域などを確認し、自宅周辺の災害リスクと自分が取るべき行動を事前に確認してください。自宅内での垂直避難や親戚・知人宅・ホテルなど密を回避できる場所への避難も、選択肢の一つです。災害ごとの避難経路の確認も、お願いします。夜間の避難は危険ですから、くれぐれも早めの行動を取ってください。
その他、水害・土砂災害における住民避難については、注意報発令時から市役所内に初期水防体制を起動させ、24時間体制で雨量や河川の水位、今後の気象情報などを収集・分析し、避難勧告の必要性などを判断しています。昨年10月の台風19号の時には、気象庁が特別警報を発表して最大級の警戒を呼び掛けたこともあり、指定避難所や地区公会堂などへ避難した住民は1,000人を超え、避難率が格段に向上しました。
猛暑が続く今年は日本周辺の海水温が高く、台風の勢力が衰えないまま上陸する可能性も高いです。過去に起こった豪雨災害をみても、実際に避難するときはほとんどが着の身着のまま、すぐさま避難しなければならない状況だったことが推測されます。あらかじめ、持ち出し袋の中に感染症対策を含めた備品も用意してください。併せて、同報無線の内容をメール受信する「島田市防災メール」の登録もお願いします。

島田市の人口推移と今後地域に与える影響(令和2年度8月号)(2020年8月14日掲載)

今月は、当市の人口についてお話します。国勢調査による本市の人口は、1995年の10万3,490人をピークに、すでに25年間減少し続けています。住民基本台帳による本年6月末の人口は9万7,971人、市民の平均年齢48歳、高齢化率31.0%です。ここ数年、当市で1年間に生まれる赤ちゃんの数は650人前後、団塊の世代の出生数と比べると3分の1にまで減少しています。
なぜ、少子化に歯止めをかけられないのでしょうか。ひと言でいえば、子どもを産むことのできる年代の女性数が大幅に減ってしまったからです。よく合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの数の平均)が話題になりますが、子どもを産める年代の女性数全体が減ってしまえば、一人の女性がたとえ2人以上出産したとしても、人口減少は避けられません。生まれる数以上に、お亡くなりになる人が増加するからです。
当市では、30歳代および9歳以下の年代は転入者が多く、転出入による人口は6年連続で増加しています。これは、家を建てる時に島田市を選んで転入してくる若い世代が増えているからです。手前みそですが、比較的土地が安く、自然環境に恵まれ、当市の温かな土地柄がある上に、子育て世代に選ばれるまちとして、子育て支援施策や教育、移住・定住施策といった地方創生の取り組みに、力を入れてきた成果が現れた一例と考えています。
また、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計において、2060年に6万人まで減少すると推計されていた当市の人口は、最新の推計では2,300人上振れていると公表されました。今後も、目標とする2060年8万人に向かって、切れ目のない地方創生を進めてまいります。
では、現在の転入・転出の状況を詳しくみてみましょう。2010~19年の住民基本台帳によれば、転入は、牧之原市・川根本町・吉田町・焼津市・御前崎市からの順で島田市へ引っ越す人が増えています。一方、島田市から転出する人の移転先は、静岡市・藤枝市・掛川市・浜松市・富士市の順となります。県外への転出は東京都がダントツ1位で、次に東京都を除く東京圏です。
年代別の転出入では、15歳~19歳と20歳~24歳で若者の転出が多く、25歳~29歳では転入が多い傾向が続いてきました。20歳代後半の転入超過は、その8割が男性です。今後は、たとえ市外に転出したとしても市内に戻ってきたくなるような、若者の流入を増やす取り組みとともに、特に女性が正規雇用で働ける場を創る必要があります。
次に、島田市内での地区別人口構成と推移はどうでしょう。市内5地区(旧島田・六合・大津・初倉・金谷地区)に人口の90%が集中しており、中山間地域3地区(大長・伊久身・川根地区)からは金谷や旧島田地区への転居が増加しています。中山間地域では産業の衰退とともに空き家や空き地、耕作放棄地の増加が生じており、大きな課題となっています。
また、高齢化も進んでおり、高齢者一人暮らし世帯が増え、日常生活を支援する仕組みがますます重要になっています。
このように人口の現状と将来推計をみていくと、市民生活に与える影響と課題が見えてきます。まずは、稼ぐ産業を育て雇用を生み出し、若い人たちが定着できる取り組みが必要です。それぞれの地域では、コミュニティ活動の担い手が不足し、日常生活を支えあう仕組みの維持が難しくなっています。さらに、地域の共助機能が低下すると、地域の防犯力・防災力の低下も危惧されます。高齢者の移動手段も、喫緊の課題となっています。
こうした問題の解決にあたっては、行政だけで取り組むには限界があり、市民と行政の協働による対話を通じて、問題意識を共有することが大切です。「自分たちの地域は自分たちの力で」という自助・共助の精神で、互いに助け合う関係性を築き、住みよい島田市を創っていくことが求められています。

「どうすれば水を守れるのか」リニア工事を巡る現在の状況(令和2年度7月号)(2020年7月17日掲載)

6月26日、川勝知事とJR東海金子社長のトップ会談が行われ、「6月中に着工しないと27年の開業は難しくなる」としてJR東海が強く要請したヤード用地の造成(準備工事)について、「容認しない」方針が伝えられました。
これは、県知事と10市町首長とがウェブ会議で一致した「国の有識者会議の結論が出る前に追加工事に同意するのは時期尚早」との見解を踏まえた回答であり、県と流域市町の認識にズレはないことを示す結果でありました。しかしながら、このトップ会談の直後、市役所で記者団に囲まれた私は、「核心を突く議論にならず残念。JR東海には流域の思いをくみ取ってほしい」と答えていました。
会談では、残念ながらヤード工事の是非をめぐる科学的・技術的な議論にならず、「環境保全協定」の手続き論のようなかみ合わない話になってしまったからです。知事は、会談後の記者会見で「ヤード工事は認めない」と改めて発言されておられます。会談を視聴した方々は、県とJR東海は何を揉めていて、どのように解決したいと思っているのか、具体的な論点が見えなかったと思います。「水が大事だ」ということは誰にでも分かります。その水をどうすれば守れるのかを、私たちは知りたいのです。
いま私は「命の水は譲れない」というタテマエ論だけでは、大井川の水を守れないと考えています。リニア工事に伴う水問題も、南アルプスの生態系や環境問題も、今後は具体的に何が心配で、どんな課題があるのか、県と流域市町は何を求めているのか、それらについて解決策はあるのか。具体的に話し合い、解決への道筋を分かりやすく示す必要があります。
この流域は、大井川の恵みで繁栄してきました。そして、この大井川の水に、未来の盛衰もかかっています。これまで繰り返し申し上げている通り、私たちはリニアに反対しているわけではありません。ただ、大井川流域の命の水を守りたいだけなのです。
皆さんは覚えておられるでしょうか。1960年、塩郷えん堤が完成した直後から下流の大井川は流水が途絶えて「河原砂漠」と化しました。流量復活を求めて地元住民らは「水返せ運動」を起こし、1989年(平成元年)に一定量の水(夏場3t/秒、冬場5t/秒)を戻すことを中部電力に認めさせて、大井川の流れが復活した歴史があります。大井川の水は、先人たちの血のにじむような努力で守られてきたのです。
「昔は毎日のように川で泳いでいた」と年配の方が懐かしむ大井川の流れは、上流にできた15のダムによってやせ細り、本来の川の機能を失ってしまったと嘆く住民も多くいます。加えてリニア工事によって、山梨・長野両県へ流出してしまうトンネル湧水をどう大井川に戻すか、水質は維持できるか、地下水への中長期的な影響はどうかなど、私たちにはたくさんの不安や疑問があります。不確実性のリスクはあっても、JR東海は、科学的データを示してこれらの事柄を丁寧に説明し、住民の理解を得なければ工事の進捗は難しいです。とにかくこの困難を打開するためには、科学的根拠に基づいた誠実な議論が必要です。この夏、リニア中央新幹線をめぐる大井川の水問題は、いよいよ正念場を迎えます。

コロナ禍に対応し、小中学生1人1台端末を前倒しで整備します(令和2年度6月号)(2020年6月16日掲載)

本年3月号の市政羅針盤でお伝えしましたように、市は、全ての児童・生徒への1人1台の学習用パソコンなど(以下、端末)と校内高速通信ネットワークの環境の整備について、2023年度までの完了を目指してきました。しかしその後、新型コロナウイルス感染症の影響が深刻化。小中学校を長期休業せざるを得ない状況を経験したことから、緊急事態においても子どもの学びを保障できるよう、小中学校9学年分の端末と高速通信ネットワークの整備計画を前倒し、今年度中の整備に向けた対応方針を固めました。
文部科学省の令和2年度補正予算では、「すべての児童生徒が家庭でICTを活用する環境が必要」として、自治体に早期の整備を求めていますが、文部科学省が確保している補助金は、端末1台につき4万5,000円。しかも必要台数の3分の2までしか補助対象になりません(当市の児童生徒数は約7,500人)。
この他、校内通信ネットワーク整備工事や端末を収納する電源キャビネットなどの設置費用、デジタル教材ソフトの購入費用など、多額の経費が必要となり、当市の場合、GIGAスクール構想で事業費約8億円(内、補助金は約3億4,000万円)を見込んでいます。各自治体の財政力の違いで、既に知見のある先進自治体は、待ってましたとばかりに動く一方で、一部自治体では大きな負担による整備の遅れが危惧されています。そうなると、国がGIGAスクール構想として目指す「誰一人取り残すことのない21世紀型の学習」「すべての自治体のICT教育の推進」とは逆に、自治体間でますます格差が開くことになってしまいます。しかし、島田市の教育環境に遅れがあってはなりません。「米百俵の教え」ではありませんが、教育環境の整備は最優先で取り組むべき未来への投資と考えます。
今回、コロナ禍での学校休業で起こった最大の問題は、学習機会の喪失でした。全国の大半の小中学校、高校が休校になったことで、1,000万人以上の子どもたちが、約2カ月間授業に参加する機会を失いました。このことが、子どもたちの学びや学力に与えた影響は深刻です。各学校では、プリントや課題を用意したり、文部科学省の「子供の学び応援サイト」を紹介・活用したりするなど、多くの先生が知恵を絞って対応してくれましたが、学習の遅れを取り戻すには、夏休みを短縮することに加え、行事の精選も必要と考えます。
当市では、コロナ禍以前から、新1年生を含め全ての児童生徒にID・パスワードを付与して「eライブラリ」(ネット上でのドリル学習。スマホからでもアクセス可能で、先生が学習状況を確認できる)を推進していますが、保護者からは、同時双方向でのオンライン学習を望む声が多く寄せられました。保護者は、報道などで全国各地の対応の違いを知り、オンライン学習の進捗度合いで学力に差が生じることを懸念しておられることを、肌で感じました。
今回の1人1台端末の配備は、一挙に高まる端末需要に生産体制が追い付かず、設置までに時間がかかることが予想されます。また、1人1台端末が実現しても、家に高速通信ネットワーク環境がないご家庭もあり、家庭での学習環境に差が生じることが課題となります。さらに、教える教師の側も、オンライン授業のスキルを上げていかなければなりません。
新型コロナウイルスは、これまでの生活習慣や社会常識を根本から見直すことを、私たちに迫っています。この困難な時期を乗り越えれば、私たちは新しい考え方や生き方を実現できるはずです。厳しい時だからこそできる新しい挑戦への追い風が吹いていると、私は前向きに考えています。

新型コロナウイルス感染拡大で広がるフェイクニュースに要注意!(令和2年度5月号)(2020年5月18日掲載)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、人々の不安な心理に付け込んで、デマやフェイクニュース(真偽不明の情報)が多数出回っています。WHO(世界保健機関)は、このような事態をパンデミックならぬインフォデミック(ネット上で噂やデマも含めて大量の情報が氾濫し、現実社会に影響を及ぼす現象のこと)として警鐘を鳴らしています。こうした情報は、日々新しくなるうえ、不安を和らげようと必死で情報を求める人が増えれば、それを鵜の呑みにして善意で拡散してしまう人も大勢いて、結果、地域社会に実害を及ぼすところまできてしまっています。
例えば「マスクとトイレットペーパーの原料は同じ」「新型コロナの影響で今後トイレットペーパーがなくなる」といったフェィクニュースが拡散したことによって、トイレットペーパーを買いだめに走る人が殺到し、トイレットペーパーだけでなく類似製品まで品薄を招いたことは、皆さんも記憶に新しいことでしょう。この心理は、「デマ情報とは思うけれど、実際にトイレットペーパーを買い占めに走る人がいる以上、私も買っておかなくちゃ」という防衛本能のように思えます。その後も「〇〇会社から感染者が出たらしい」「感染者があの店に行った」「感染拡大で今後〇〇となる」などのフェイクが飛び交い、人々は、不安から疑心暗鬼になり、情報源を確かめずに拡散してしまう連鎖が続いています。口コミは地域限定で広まりますが、SNS(Facebook、Twitter、LINE、Instagram、Youtubeなど、ネット上での交流手段のこと)は国境を越えて全世界へ広まります。これからも次々と新しいデマが飛び交うことが予想され、私たちには、正しい情報を見極める力(メディア・リテラシー)がより一層求められます。
まだ感染が広がっていない地域では「このまちで最初の感染者には、なりたくないね」のつぶやきが聞こえます。非公表にも関わらず、感染者の名前や住所などの個人情報までネット上に掲載される恐ろしさを、皆さんが知っているからです。何もかも暴かれる恐ろしさを秘めた現代社会、誤認情報を流され、大きな損害を被った企業主もおられます。正しい情報か否かを見極めるには、まず、公的な情報で裏付けを得ることです。国や県、島田市が発信する情報を、家庭や地域の皆さんで共有してください。もし、情報の真贋(しんがん)を見分けることができないのであれば、拡散はやめてください。
島田市の状況は、感染が爆発的に増えている首都圏地域と同じではありません。だからと言って、皆さんが気を抜けば、島田市でも市中感染が広がる恐れがあります。当市の状況を正しく理解し、自分自身と大切な人を守るために、また感染を広げないために、3密(密閉・密集・密接)を避け、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)を守ってください。
ワクチンや特効薬が開発され、新型コロナウイルスが終息するまでには、まだかなりの時間がかかりそうです。その間に、世界的大恐慌が来るのではとの懸念も高まっています。しかし、全ての危機は、変革の機会でもあります。新型コロナウイルスは、これまでの習慣や社会常識を根本から見直すきっかけになるでしょう。働き方も、価値観も、社会システムも、大きく変わる気がします。この困難な時を乗り越えれば、私たちは新しい考え方や生き方を実現できるように思います。また、大都市圏から地方へ人口が移動していく「逆都市化」現象も、困難の先に見える「希望」の一つと期待しています。

中期財政計画~「縮充」の考え方と稼ぐ力~(令和2年度4月号)(2020年5月1日掲載)

令和2年度一般会計当初予算は、458億8,700万円の積極投資型予算となりました。具体的には、新病院建設事業・新東名島田金谷インターチェンジ(IC)周辺整備事業・島田第四小学校改築事業・市役所新庁舎整備事業といった、新たな時代の核となる、今後の島田市の発展のために必要不可欠な重点事業に大きな予算を配分しています。このような大規模な事業が集中することに対して、市政運営の方向性である「縮充(しゅくじゅう)」という方針と、ハコモノ建設は矛盾するのではないかというご意見をいただきました。私が、令和元年度当初予算に引き続き積極投資型予算の編成を決断した背景には、建築後約60年が経過し新たなまちづくりの拠点としての機能が期待されている市役所庁舎をはじめ、昭和の高度成長期に続々と建設された公共施設・道路などのインフラが、どれも耐用年数を迎え、改築や改修が待ったなしの状態になっている現実があります。
人口減少と超高齢社会の到来で、緩やかな下降線を予感させる社会経済情勢の中にあって、「縮充」(真に必要な施策・事業を選択し、資源を集中させて、市民の幸福度を上げていく「量」から「質」への転換)という方針は、市民の皆さんに対する私の責務であると考えます。限りある財源や地域資源は、今を生きる私たちだけでなく、未来を担う次世代のために持続可能なカタチで繋いでいかなければなりません。そのために、中長期的な財政見通しを立て、計画的な公共投資と財源確保に努めています。
当市の財政状況は、私が市長として最初に予算編成した平成26年度と、直近の平成30年度決算を比較して、一般会計における市債残高は約54億円減少しました。一方で基金残高は約18億円増加しており、健全な方向に推移しています。市債残高を削減し、基金残高を増やすという財政運営上の取り組みは、新病院建設事業や新東名島田金谷IC周辺整備などの重点事業の進捗状況を踏まえ、着実な推進を図るために必要な体力を蓄えてきたもので、今後も健全な財政運営が持続できるよう取り組んでまいります。
また、施政方針で「稼ぐ力」の一例として挙げた「新東名島田金谷IC周辺エリアの開発」は、賑にぎわい交流拠点の開設や企業誘致を進めることで、市全域への民間投資の呼び水となり、さらなる経済活動を生み出していく波及効果を狙っています。公共事業を核に魅力ある地域を創り、民間投資の流入、あるいは人口流入を促すことによってまちを活性化させ、経済の好循環を実現していきたいと考えています。
そうした中、平成26年から6年連続、30歳代と10歳未満の社会動態が転入超過となっていることは「暮らすなら島田で」と認めていただいていることの現れと考えています。新設住宅着工件数においても、平成28年は373件でしたが、令和元年には442件となり、4年間で1,587件の新たな持ち家が増えました。市内に雇用が生まれ、個人所得や定住人口、交流人口が増加することで税収が上向き、さらにその税収が、安全・安心な暮らしに応える施策展開や未来への投資、確実な財政基盤を築く礎になります。こうした好循環が生まれる繋がりこそが、本当の意味での「稼ぐ力」であると考えています。
新型コロナウイルス感染拡大に伴うWHOのパンデミック宣言により、今後しばらくは厳しい経済状況が続くと予想されます。市としても全力を挙げて、感染予防・感染拡大防止対策に取り組むとともに、特に経営への影響が顕著に表れている小規模事業者への経済支援策を確実に実施してまいります。

市立小中学生に1人1台パソコンを配備します(2019年度3月号)(2020年5月1日掲載)

昨年11月に発表したデジタル変革宣言の具現化の1つとして、同時に、文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」を受け、令和2年度から5年度にかけて、児童・生徒に1人1台の学習用パソコン(PC)を整備してまいります。Society5.0時代を生きる子どもたちが未来の島田を、そして日本を担う人材となるよう、全ての子どもが等しく学べる環境を整えてまいります。
2月補正予算では、クラス全員が一度にアクセスしても利用可能な、高速大容量通信ネットワークを各教室に整備する費用として7億4,445万円(国2分の1補助)を計上しました。PCの整備費用については、市で必要な台数(約7,500台)の3分の2まで、国が1台あたり4.5万円を補助し、残り3分の1は交付税措置がなされます。
ひと昔前の授業は、先生が板書して、子どもたちはそれを書き写すという一斉学習でした。活発に発表する子どもがいる一方、よく分からない子どもは取り残され感がありました。現在は、単なる知識習得の学習ではなく主体的・対話的で深い学びを実現するアクティブ・ラーニングが重視され、国語の授業でも、子どもたちは活発に教室内を動き回り、友だちとコミュニケーションをとっています。PC1人1台体制をめざすGIGAスクール構想は、こうした手法に最適な環境であり、「国際的な学力テスト(PISA)」で遅れをとった読解力の向上にもつながるのでは、と期待しています。高速通信ネットワークと1人1台PCの環境があれば、先生はすべての子どもとその場で答え合わせができ、習熟度をチェックしながら授業の速度を調整できます。分からない子どもを、分からないままで終わらせません。一斉学習から、だれ1人取り残されない21世紀型の学習へ、「GIGAスクール構想」の主眼点がここにあります。先日私も、1人1台PC授業に参加し、教育手法が劇的に変わると実感しました。
グローバル化が進み、複雑で変化の激しい社会において、子どもたちは自ら課題を見つけ、学び、考え、判断して行動し、それぞれに思い描く未来を実現するための「生きる力」を身に付ける必要があります。新年度からは、小学校のプログラミング教育も必修化されます。PCなどの教育環境を整えることで皆さまの期待に応えることができればと考えます。
とはいえ、1人1台PC構想にも課題はあります。何より、教材や授業の進め方に変化が求められます。ハード&ソフトが備わっても、実際に教壇に立つ教師がICTを使いこなせなければ意味がありません。指導体制の強化が待ったなしで求められると同時に、教師の多忙化に繋つながらないかどうかも懸念されます。文部科学省は、各地域における指導者養成研修の実施、ICT活用教育アドバイザーの任命および全国での説明会・ワークショップの開催、企業などの外部人材をICT支援員として活用するなどの対策を打ち出し、教師の指導力の向上に力を入れています。親の立場からも、漢字学習などがPCでできるのか、子どもがカバンを投げて端末が壊れたら修理代は誰が負担するのかなど、ご心配があると思います。
課題を1つ1つ解決しながら、ハードやソフトそして教職員と、あらゆる角度から島田市の教育のICT化を進めていく、その強い意欲をお伝えして今月号のまとめとします。

県内最大級の大型複合遊具を備えた「島田ゆめ・みらいパーク」オープン(2019年度2月号)(2020年2月25日掲載)

来る3月29日、田代の郷温泉「伊太和里の湯」の北隣に、子どもから高齢者まで幅広い世代の皆さんが集い、遊び、学び、安心して過ごせる活力あふれる施設として「島田ゆめ・みらいパーク」を開設します。今月は、オープンまであと約1カ月となった施設の概要と、これまでの経緯についてお話しします。
春には小鳥のさえずりが聞こえ、夏には真っ青な空が広がる約2.7haの敷地に、大きく3つの広場を整備しました。
1つ目は、幼児(3歳~6歳)から児童(6歳以上)を対象とした県内最大級の大型複合遊具を備える「アクティブプレイゾーン」です。大井川や茶園、SLなど島田の地域資源をイメージし、幼児用・児童用合わせて79種類、104個の遊具を整備しました。子どもたちの成長段階に合わせて楽しめる遊具は、五感や好奇心を刺激し、冒険心をくすぐり、チャレンジする心を育みます。2つ目は、乳児(0歳~3歳未満)を対象とした21種類34個の遊具や築山がある「憩いのゾーン」。昨年秋、地元自治会の皆さんや小学生たちに芝生の植え付けを手伝っていただき、裸足でも遊べる芝生広場が完成しました。3つ目は、「スポーツ・レクリエーションゾーン」です。これら3つのゾーンの周辺には、ウオーキング・ジョギングエリアや、世代を問わず気軽に運動を楽しめる健康器具なども設置され、駐車場も十分に用意されています。
広場で思いっきり遊んだ後は、伊太和里の湯でゆっくり汗を流し、食事や休憩を取っていただけます。暑い季節には空調設備の整った温泉施設でクールダウンし、寒い季節には体を温めて、温泉と広場を行き来することで、子どもから高齢者までが丸一日楽しめるレクリエーション・子育て・健康増進エリアとなっています。ぜひ、ご家族揃ってお楽しみください。詳しくは、広報しまだ3月号をご覧ください。
さて、以前、この場所は、陸上競技場トラックとして整備される計画でした。この当初の計画では、スポーツ合宿など、一部の利用者に特化したエリアとなることが想定されたことから、私が市長就任後にフィールド内や周辺なども含め、より幅広い市民の皆さんが利用できるスポーツエリアとして整備内容を見直し、計画を変更した経緯があります。併せて、スポーツエリア等の整備としては、より多くの皆さんにご利用いただける横井運動場公園内のサッカー場、島田球場の改修を優先し、田代の郷の整備については、平成28年度以降に再着手することを当時の市議会で説明しました。
平成27年度には、このエリアの利用方法について市民3,000人を対象にアンケート調査を実施。その結果、「スポーツエリア整備が必要」という意見より「スポーツエリア以外の整備が必要」と考える意見が上回り、「温泉との相乗効果」「事業の優先順序を考えて」などの貴重な意見もいただきました。平成28年度以降は、庁内にプロジェクトチームを発足して整備計画を検討。平成29年度には市民参加によるワークショップを3回開催し、大型複合遊具を備えた「多目的スポーツ・レクリエーション広場」の整備内容を決定。平成30年度から整備工事に着手し、本年いよいよオープンの時を迎えるまでになりました。1つの事業遂行にも、時に長いプロセスが必要です。ぜひ、市民の皆さんの目で現地をご確認ください。

市立島田市民病院の近況報告~今春、産婦人科・眼科で常勤医着任~(2019年度1月号)(2020年1月20日掲載)

「正月暁天(ぎょうてん)よりその歳の大晦日と心得るべし(徳川家康)」正月早朝から、その年はもう大晦日に向かって動き始めている。時間を有効に使いましょうという格言です。私もこの教えを心に留め、本年も「市民ファースト」を念頭に、職員一丸となって市政運営に邁進(まいしん)してまいります。市政羅針盤も、ご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。さて、今回は、市立島田市民病院(以下、市民病院)の近況をご報告いたします。
令和3年5月の開院に向け、新病院の建設は順調に進んでいます。昨年暮れには、免震装置の取り付けや3工区のうち2工区の鉄骨躯体(くたい)がほぼ完成し、順次、外壁・内装・設備工事などに着手してまいります。集中治療室やヘリポートを完備した高度急性期機能、在宅復帰を支援する回復期機能も兼ね備えた、最新の病院となります。さらに、現救急センター1階を改修し、「透析センター」の拡充を図ってまいります。また、市民の皆さまから多数のご応募をいただきました新病院の名称は「島田市立総合医療センター」に決定しました。
このようにハード面の整備が着々と進む中、市民の皆さまから医師の確保についてご心配の声をいただいておりましたが、関係機関への働きかけが実を結び、今年3月には念願だった産婦人科常勤医師が着任し、分娩(出産)を受け付けることができるようになります。さらに、4月からは眼科にも2人の常勤医師が着任し、眼科の診療・手術が以前のように実施できる体制となります。
市民病院は、公立病院に求められる救急医療・高度医療・災害医療など、さまざまな機能を担っています。救急医療については、年間4,000台以上の救急車を受け入れていますが、ほとんど救急搬送を断ることなく、緊急を要する疾患の対応に当たっています。急性心筋梗塞や脳梗塞などの一刻を争う疾患に対して、静岡県内でも上位の治療実績を得ていることを、皆さまはご存じでしょうか。
また高度医療については、平成28年には手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入し、泌尿器科の前立腺がん手術に対してロボット支援下手術を行ってきました。患者さんにとっては、これまでの開腹手術などの体を開いて行う手術、従前の腹腔鏡などの内視鏡手術に比べて、「傷が小さい」「痛みが少ない」「出血が少ない」「入院期間が短い」「早期の社会復帰ができる」などのメリットがあります。同科では、腎臓がんや膀胱がんの手術にもダヴィンチを使用。さらに昨年の9月からは、呼吸器外科による肺がんの手術、外科による胃がんの手術にも使用されるようになり、引き続き大腸がんへと適応を拡張していく方針です。
今後も、急性期病院としての診療体制を整える努力を重ねるとともに、診療所などの医療機関や介護施設などと連携し、今まで以上に市民の皆さまに信頼される病院を目指してまいります。ご支援のほど、お願いいたします。

令和元年度島田市総合計画市民意識調査の結果について(2019年度12月号)(2019年12月27日掲載)

島田市では、島田市総合計画に基づくまちづくりの進捗状況などを検証し、今後の施策に活かすため、18歳以上の市民2,500人(無作為抽出)を対象に、市の取り組みへの評価や感想などを伺う市民意識調査を、毎年度実施しています。今年度も6月から7月にかけて実施し、953人(回収率38.1%)からの回答をいただきました。今月は、その調査結果を報告させていただきます。
まず、「島田市の住みごこち」についての設問に、「住みよい」と回答した市民は85.0%でした。平成25年度以降、8割を超える割合を維持しており、県内他市町に比べかなり高い値です。「定住意向」については、77.4%の市民が「これからも住み続けたい」と回答しましたが、20歳代以下の若年層では「市内に住み続けたい」と回答する割合の低下傾向がみられます。
こうした中、30歳代においては、若年層の傾向とは異なり、84.2%という高い定住意向が示され、年齢別の社会動態において30歳代と10歳未満の転入超過が5年連続で続いていることを裏付ける結果となりました。総合計画における島田市の将来像に込めた思いである「子育てするなら島田市で」がさらに定着するよう、今後も県内トップレベルの子育て支援・教育環境整備を推進するとともに、大学進学等で市外へ転出した若者に、将来島田を担う人材としてUターンしてもらえる環境を整備してまいります。
「市の好感度」についての設問では、約7割(69.2%)の市民が「島田市が好き」と回答しました。「市民の幸福感」については、10点満点で平均6.5点(全国平均6.4点)となり、性別で見ると男性よりも女性の平均点が高い結果となっています。「幸せ」であるために重要な事項については、上位から「健康状況」「家計の状況」「家族関係」「精神的なゆとり」「友人関係」となっており、平成25年度調査以降、上位5項目に変化はありません。
次に、「島田市の取組に対する満足度と重要度」については、満足度第1位が7年連続で「ゴミ・リサイクル」、第2位が「健康増進」(健康診断や予防対策)でした。今後、どのようなまちを目指したらよいか(重要度)では、「医療の充実」「地震・水害などの災害に強いまち」「福祉が充実したまち」「活力のある、産業が発展したまち」「ひとづくりや育児・教育環境が充実したまち」が上位を占めています。さらに、今後「重点的に取り組むべき課題」として、「障害者が生活しやすい環境づくり」「雇用の確保・勤労者福祉の充実」「公共交通機関の充実」「まちの拠点としての駅周辺整備」「市の財政の健全経営」などが挙がりました。
皆様から寄せられた貴重な回答内容は、さまざまな観点から分析を行い、今後の総合計画、実施計画(事業)、予算編成などの基礎資料といたします。また、今後も毎年度の市民意識調査を続け、市政の見える化、改善・改革による効率的な行政運営に努めてまいります。
なお、今年度の調査結果の概要および詳細な報告書は、市ホームページや市内各支所、公民館などでご覧いただけます。

台風19号の対応と地域防災力の向上(2019年度11月号)(2019年11月18日掲載)

先月、東海・北陸・関東・東北地方に甚大な被害を及ぼした台風19号については、皆さんも記憶に新しいことと思います。早めの行動で多くの人の命が助かった反面、逃げ遅れによる犠牲もたくさん出ました。また、天候の急変に気象警報や行政の避難情報が間に合わず犠牲となった人がいる一方で、命からがら逃げおおせた人もいました。島田市もあと2・3時間、豪雨や暴風が続いた場合、更に大きな災害が発生した可能性がありました。(市内の被害は、床上浸水8棟、床下浸水14棟、道路冠水11件、道路に崩土多数、河川溢水2件、河川増水4件、倒木14件、一部停電1地区)
今回の台風19号は、平地部では400ミリ以上の豪雨となったものの、山間部では極端な豪雨とならず、そのため大井川の水位が上昇しなかったことが、ダムの緊急放流や中小河川(大代川・伊太谷川・大津谷川・東光寺谷川)の氾濫につながらなかったといえます。また、12日朝6時にいち早く「避難勧告」を出したことが、市民の迅速な避難行動に大変有効でした。過去の「避難勧告」では0.05%ほどの市民しか避難しませんでしたが、今回は市民の約1%(1,000人近く)が指定避難所へ避難し、地区公会堂へも相当数の市民が自主避難しました。
さて、台風が過ぎ去って間もなく、「台風19号のとき、早いうちに避難しろと広報していたが、やみくもに避難しろではわからない。市民全員が避難できる場所はどこにあるのか?もっと具体的に指示を出してもらいたい」という市長への手紙が届きました。自らの命は自ら守ることが鉄則です。そこでもう一度、皆さんにご自宅や会社の危険度をチェックしてほしいという思いから、この原稿を書いています。
まず、全世帯に「洪水ハザードマップ」を配布していますが、お手元にあるでしょうか。もしなければ、市のホームページをご覧になるか、支所や公民館・公会堂に地区ごとのハザードマップが掲示してありますので、ご自宅が浸水想定区域であるか否か、土砂災害警戒区域に指定されていないか、などをご確認ください。もし、ご自宅が浸水想定区域内で、豪雨や台風が予想される際は、河川などから離れた場所、高い所、丈夫な建物に早めに避難してください。豪雨や台風の最中に逃げることは、かえって危険です。そのときは垂直避難等(建物の上の階へ、崖から離れた部屋へ)を行ってください。地区ごと、家庭ごとに台風・豪雨対応タイムライン(台風接近3日前から通過後までの準備や行動、被災状況の確認手順)を整理しておくことも有効です。
市は、台風19号の襲来が予想されたときも1週間前から情報収集を行い、被害想定や住民生活への影響などを継続して分析し、3日前から同報無線などで広く市民へ注意喚起し、さらに全ての自治会長に電話を入れて情報提供・注意喚起を行いました。11日の午後4時には、市内39カ所の指定避難所を開設するとともに、地区の公会堂を解放してもらい、市内全域に自主避難を求めました。また、10月12日には、前日に設置した情報連絡室に続き、庁内に水防警戒本部(60人規模)を立ち上げ、国土交通省河川事務所、県土木事務所、警察、消防、中部電力、消防団などと密に連携を図り対応しました。さらに、事前準備から台風通過による豪雨終息まで、自治会、自主防および消防団がしっかり現場対応してくれたことも、心強いことでした。土のうステーションもフルに活用されたと聞いています。
近年、毎年のように豪雨等による激甚災害が起こるようになり、国・県に対しては道路や河川改修の要望を頻繁に行っています。しかしながら、ハード対策だけでは人命を守ることができないのも事実です。必要な情報と生き残る術は、自らが獲得する習慣を身に付けてください。また、障害者や高齢者がお近くにお住まいの場合は、連携して助けてください。古来より、大井川の洪水との戦いを経て、生き残る知恵や勇気を身に付けてきた島田市民には、その底力があると信じています。

リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少対策について(2019年度10月号)(2019年11月7日掲載)

リニア中央新幹線整備工事による大井川の流量減少に関して、連日、新聞などで報道されていますが、それでも「内容が専門的過ぎて分かりにくい」「もっと詳しく説明してほしい」といった声をよく耳にします。そのたびに、大井川の流量減少が、私たちの日常生活だけでなく、この地域の経済発展を支える地下水に影響を与え、今後の経済活動全般に支障をきたす恐れがあることを説明してきました。今月は、この問題についての状況をご報告いたします。
端的に申し上げれば、私たちがJR東海に求めているのは「確実に水を戻してほしい」という、その一点に尽きます。そのために、トンネル湧き水を全量回復させる、確実な対策と万全な水質保全対策について、科学的知見に基づく具体策を求めています。
8月に開催された県中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会で、大井川の将来像を問われたJR東海は「上流域では影響(一部沢枯れ)が出る可能性はあるが、中下流域の状況は(現在と)変わらない」と答えました。この言葉を信頼できるものとするためにも、私たちが危惧する、流量の減少・地下水位の低下・河川水温の変化・濁水・重金属を含む発生土の流出・生態系への影響などについて、具体的かつ納得できる対策が明記された協定書を、本体工事着手前に締結する必要があると考えています。
また、新たな課題として急浮上したのは、山梨・長野両県から掘り進めている工事において、トンネル湧き水が標高の高い本県側から、山梨・長野県側へと流れ、静岡工区と両県工区のトンネルが繋つながるまでの期間、湧水全量を大井川に戻すのは困難との認識が、JR東海から示されたことです。その湧水量は最大想定で、山梨県側で毎秒0.31トン、長野県側で毎秒0.01トンとしています。これは、県民の平均的な生活用水使用量で換算すると、毎日9万2000人分の水が他県に流れる計算になり、今後、技術的に解決すべき重要な課題と考えています。
ところで、リニア中央新幹線の工事は、既に他県で進められており、静岡県内の工区のみ、工事に着手していない状況となっています。そのため政府は、静岡県とJR東海の課題解決に向け関与する意向を示し、国土交通省の職員が協議に立ち会うようになりました。これにより今後は、早期に、科学的根拠に基づいた解決策が示されることを期待しています。
私は、市民・県民の皆さまに、大井川の水が、流域8市2町の住民の暮らしと企業の経済活動の根幹を支えていることを広く知っていただくとともに、水資源の大切さについて「オール静岡」で関心を寄せていただきたいと、切に願っています。

「子どもを最優先にした学校づくり」小中学校再編計画策定(2019年度9月号)(2019年11月7日掲載

近年、少子化の進展に伴う児童生徒数の減少が顕著になり、学校再編が全国各地で議論されています。当市においても、1990年度は小中学校合わせて1万2,576人いた児童生徒が、2020年度には7,547人となり、30年間で4割減少する状況にあります(合併前の金谷・川根町含む)。このため、現時点でもクラス替えができない「1学年1学級」や、2つの学年で1学級を編成する「複式学級」の学校が存在しています。
今後、さらに小規模化が進む中、変化の激しい社会を生き抜くため、子どもたちには集団の中で多様な考えに触れ、切せっさたくま磋琢磨することを通じて、一人一人の資質や個性を伸ばすことが求められます。そのため、小中学校では一定の集団規模が確保されることが望ましいと考えます。
こうした時代背景を考慮し、当市では平成27年度から「島田市立小学校及び中学校の在り方検討委員会」が開催され、平成29年度からは「島田市教育環境適正化検討委員会」が設置され、委員会における協議のほか、地域や保護者への説明会を実施。平成30年9月に、学校再編の提言書が提出されました。
島田市教育委員会では、この提言を尊重しながら「子どもを最優先にした学校づくり」をスローガンに掲げ、その実現に向けて、地域や保護者の意見を聞きながら、パブリックコメントなども実施し、この度「島田市立小中学校再編計画」を策定しましたのでご報告します。
具体的には、北中学校と島田第一中学校の統合と、湯日小学校と初倉小学校の統合を、令和3年4月に実施します。また、伊太・相賀・神座・伊久美の各小学校と島田第一小学校との統合は、第一小の校舎改築が完了する令和6年4月に実施します。初倉南小学校と初倉小学校の統合については、小学校と中学校の校舎を同一敷地内に設置することにも話題が広がったため、保護者や地域の意見も踏まえ、更なる調査・研究が必要であるとの認識に至りました。初倉南小と初倉小の再編については、今後も検討を継続し、令和3年3月を目途に結論を導き出せるよう努めます。
統合の対象となる児童生徒および保護者の皆さんにとっては、通学の安全性の確保や精神的・経済的負担など、不安や心配が尽きないことと思います。遠距離通学になる地域については、スクールバスの運行を柔軟に検討してまいります。中学校の自転車通学については、距離等の許可基準を新たに定めます。また、統合前から学校間交流を進め、一つ一つの不安を解消できるよう丁寧に準備を進めてまいります。統合時に中学校3年生になる生徒については、統合後に使用する学校の制服などを支給または貸与します。統合に至るまでの詳細については、今後も「カリキュラム検討委員会」で協議してまいります。さらに、学校の跡地利活用については、「学校施設跡地利活用検討委員会」を地域づくりの観点などを踏まえ発足させました。5年かけて検討してきた結果を、ご理解いただきたいと存じます。
詳しくは、教育委員会へお問い合わせください。

市長への手紙について(2019年度8月号)(2019年8月21日掲載)

市民の皆さんの中には「市長に手紙を出したって、どうせ本人のところまで届かないだろう」とお考えの方もおられるようです。実際は、さにあらず、市長宛の手紙には全て目を通し、差出人が明記されていれば原則10日以内に必ずお返事を差し上げています。内容によっては、担当部署から直接ご連絡しております。毎月の件数や意見の内容、市の対応などは、市ホームページで「市長への手紙」と検索すればご覧いただけます(個人情報に差し障るものは不掲載)。今月は、その中でも差出人の記載がなく、返信することができないお手紙について、取り上げさせていただきます。
率直な感想として、差出人のないお手紙にこそ、返信を差し上げたいものが多数あります。内容は「税金をもらって市民のために働いていることをもっと自覚しろ(原文ママ)」「電話口での対応が不愉快」「○○課の○○の対応が悪い」など、お叱りのご意見がほとんどです。同じお叱りのお手紙でも、氏名・連絡先明記であればすぐにお返事を差し上げることができ、それに対して「迅速な対応と真摯な受け止めで感心した。このような姿勢を市役所として続けてほしい」と改めて返信をいただいた事例もあります。内容は、苦情だけでなく、要望・提案・パワハラなどの訴え・質問・ご意見・お褒めの言葉などさまざまですが、私自身が一つ一つ丁寧に読んでいますので、ぜひ差出人の氏名と連絡先を明記してください。匿名だからといって対応しないことは決してありませんが、相手が見えることは、信頼の第一歩なのです。
さて、最近の差出人のないお手紙の中で特に返信を差し上げたいと思った"島田愛"にあふれる手紙がありました。A4版の紙にびっしり4枚。その主な内容は「市職員としての意識や態度がなっていない」「服装がだらしない」「職員は地域の活動やボランティアにもっと参加するべき」「災害時にいち早く対応すべき職員が市外から通勤しているのはおかしい」というものでした。
「価値観」や「物事の捉え方」「感じ方」などは人それぞれであり、一方だけの話を聞いて真偽を判断することは大変難しいと思いますが、今回のお手紙のような、市職員や行政に不信感を抱く市民がおられるという事実は、重く受け止めています。実際に不快な思いをされた人には、市政の経営者として深くお詫び申し上げます。これまでも職員に対しては、来庁者への挨拶や接遇の向上、守秘義務の徹底など、意識改革の観点から指導してきましたが、更なる徹底を図るため、庁内で議論し、具体的な方策を示してまいりたいと考えます。
一方で、職員をかばうわけではありませんが、大半の職員は市民の皆さんとの信頼関係の維持・構築のため、真摯に業務に励んでいます。さらに、職員自ら率先して公務以外の地域活動や祭りなどの行事にも参加しています。
なお、市職員の市内居住率は80. 4%(令和元年6月末時点)であり、近隣市をはるかに超えています。
ぜひ今後とも、市民の皆さんからの率直なご意見を聞かせていただければと存じます。改善した結果を皆さんに実感していただけるよう、継続して取り組んでまいります。

島田市役所新庁舎 現庁舎東側に機能集約し建設(2019年度7月号)(2019年7月26日掲載)

島田市役所本庁舎は、昭和37年に建設され、築57年が経過しています。耐震補強工事により一定の耐震性能は有しているものの、設備の老朽化や、大規模地震への対応などが課題となっていました。そこで、昨年10月の「市役所周辺整備基本構想」策定を受け、同月に「新庁舎整備基本計画検討委員会」および「新庁舎等整備基本計画審議会」を設置し、学識経験者や市民の皆さんのご意見をいただきました。また「未来も必要とされる市役所の姿を考えよう」をテーマに、多様な立場や幅広い年齢層の皆さんが参加するワークショップを3 回開催し、議論を重ねてきました。本年5月末には審議会の答申書が提出され、審議と並行して実施したパブリックコメントを経て、「新庁舎整備基本計画」がまとまりましたので、その概要について説明させていただきます。
まず、新庁舎整備の基本方針として3つのコンセプトを策定し、それらに沿った基本的な機能を具体的に定めてまいります。1.「市民の安全・安心を支える庁舎」:高い耐震性能を備えることにより、災害発生後も安定的に業務継続が図られること、また情報セキュリティ機能を十分備えることなどが求められます。2.「利用者にやさしい庁舎」:戸籍・税・福祉・子育て支援など、多くの市民が利用し関連が深い部署の窓口を低層階に集約することにより、"ワンストップなサービス"を図ることを検討します。また、分わかりやすい案内表示やプライバシーに配慮した設備を取り入れ、来庁者の安心感や快適性を高める設備整備を進めます。3.「経済的・効率的で環境に配慮した庁舎」:イニシャルコストを抑制し、極力コンパクトでシンプルな全体計画とし、また、ランニングコストを抑えるため、省エネルギーに寄与するシステムや建材、維持管理をしやすい構造や設備等を導入することなどが求められます。
審議会からは、「ファシリティマネジメントの観点から、ランニングコストを含め、ライフサイクルコストまでの可能な限りの削減を図ること」「木材をなるべく多く利用し、かつ地産材の活用を考慮すること」「中長期的に人口減少が見込まれる中で、他の用途に転用できるような設計を取り入れるべき」「今後の基本設計、実施設計の段階において、市民の理解と関心をさらに高め、多くの意見に耳を傾けながら丁寧に事業を進めていくこと」などの答申をいただいております。
市民の皆さんの中には「新庁舎建設はもっと後回しで良い」とのご意見があるかもしれません。しかし今後、現庁舎の老朽化などの限界が到来する時期に、市の単独財源で建設費用を賄うことは、大変厳しいと考えます。合併特例事業債(元利償還金の70%を国が交付税措置)など、資金調達の面で有利な財源が活用できる今のうちに、着実な新庁舎の整備を進める必要があることを、ぜひご理解ください。
新庁舎は、今年度に基本設計、来年度に実施設計、令和3~4年度に新築工事、令和5年春の完成を目指しております。新たな庁舎が「まちづくりの拠点」として、いつまでも市民に愛され続ける庁舎となるよう努めるとともに、その事業費が他の施策や財政計画全般に影響しないよう、これからも丁寧に説明責任を果たしてまいります。

市民病院の医師確保に向けた取り組みと新病院名称募集について(2019年度6月号)(2019年7月26日掲載)

新市民病院建設工事の着工から、早いもので1年が経ちました。浄化槽などの設置に始まり、病院棟の基礎躯体工事と、病院周辺にお住まいの皆さまをはじめ関係者の皆さまのご理解・ご協力のおかげで、作業は順調に進んでおります。先月は、私自身が現場に出向き、大地震の揺れを吸収する免震装置を視察しました。2021年春の開院に向け、引き続き無事故・無災害で工事が進捗(しんちょく)するよう努めてまいります。
ところで、市民の皆さまからは「新病院の建設も大事だが医師確保はもっと大切」「医師確保のためにどんな努力をしているのか」といったご質問をよく承ります。そこで今月は、医師確保に向けた取り組みについてお話ししたいと思います。
現在の常勤医師数は、昨年度より7人増えて89人(うち、京都大と浜松医大の医局出身者はほぼ同数、合わせて50人)。新病院開院3年後(2023 年度)には、100人の医師体制を目指しています。100人を目標とする根拠には、平成25年度地方公営企業年鑑から、療養病床や精神病床を持たない、病床数が400床以上500床未満の自治体病院のうち、実質収益対経常費用比率が90%以上ある病院の医師数を参考としました。この目標を達成するために、大学の医局から安定的な医師派遣が不可欠であることから、市長・病院事業管理者・院長などが京都大や浜松医大などに足繁く訪問し、学長・学部長・附属病院長・各教授と面談し、医師の派遣をお願いしています。
ところが、あらゆる努力をしていても医師確保が難しいのは、大都市圏への医師の一極集中の結果、地方では医師1人への負担が大きく、十分な休みも取れない可能性が高くなるなど、過重な勤務負担に対する懸念が大きいからといわれています。これらの課題については、あらゆる対策を通じ、「医師の勤務環境の改善に本気で取り組んでいる」という姿勢を示していくことが重要であり、手術支援ロボット「ダヴィンチXi」の導入など先進医療機器の拡充、初期臨床研修医の給与改善、医師住宅のリニューアルなどに取り組んできました。今後、新病院の完成により、医師・看護師の勤務環境はさらに向上します。
他にも、医師確保対策として「医学生修学資金貸与制度」があります。奨学金月額26万円を最長6年間(総額1,872万円)給付しています。国家試験に合格した後、島田市民病院に所定の年数を勤務すれば、奨学金の返済を免除する制度です。
ところで静岡県は、人口10万人あたりの医師数が207. 79人(全国38位)と少なく、志太榛原地区は、更に少ない172.78人であることをご存知でしょうか。これからの公立病院には、お互いの連携により、診療科目を補い合い、機能分化させていくことが求められています。ちなみに島田市民病院では、循環器内科や脳神経外科の医師数が充実しており、より専門性の高い診療を行っています。
この度、新病院への関心を高め、皆さまに愛着を持っていただくために、名称を広く募集することにしました(詳細は3ページ参照)。ぜひ、皆さまのアイデアをお寄せください。

ここまでやっています ニーズに寄り添う多彩な子育て支援(2019年度5月号)(2019年5月27日掲載)

当市は、子育て中の家庭に寄り添い、きめ細やかな支援策で子育てを支える自治体の、トップランナーであると自負しています。先日、育児サポーター派遣事業を利用したお母さんのアンケートを読む機会があり、がんばっているお母さんたちの姿に大いに感動すると同時に、子育て世代のニーズに寄り添う支援をさらに充実させていかねばと考え、今月号のテーマとしました。育児サポーター派遣事業とは、生後180日以内の赤ちゃんがいる家庭に1回2時間、計30時間まで(双子なら計60 時間まで)、無料でベテラン保育士を派遣する事業です。利用するには事前の登録が必要ですが、出産前に登録が済んでいれば、出産後は電話で予約できます。
アンケートの自由記入欄は、育児で忙しいお母さんがよくここまで書いてくださったと驚くほど、細かな文字でびっしりとつづられていました。「実家や義父母にほとんど頼れない中、サポーターさんに救われた」「予防接種にも一緒に来てくれて、不安が和らいだ」「産後で体がつらいとき、サポーターのおかげで通院したり休んだりできた」「初めての育児で全てが不安だった。生まれてすぐに来てくれて、凄すごく助かった」「どんなことも肯定的に聞いてくれ、励ましてもらった」「上の子(2歳)の遊び相手をしてもらい、家事をこなすことができた」など、母親のリアルな心情が吐露されていました。島田で子育てするお母さんを一人も孤立させない「寄り添う支援」の大切さを、改めて感じています。
当市には、特色ある子育て支援事業が他にも多数あります。30歳代後半~40歳代で出産・子育てをしているお母さんの交流の場「アラフォーマミーズの会」や転入者を対象とした「ウェルカム島田」、多胎児のお母さんを対象とした「ふたごちゃん、あつまれ~」なども開催しています。
また、「初めて0歳児の子をもつ親の講座(ベビープログラム)」「フレッシュパパ・ママ講座」「いきいき子育て勉強会」など"親力(おやりょく)を育てる"支援にも力を注いでいます。就労を望む母親には、市役所1 階に「ハローワーク島田 お仕事相談室(ママハロ)」を設置しています。子宝を望む夫婦には、不妊メンタルケアサポーターが精神的なサポートや情報提供を行っています。もちろん不妊治療のための助成事業(人工授精・体外受精・顕微授精・男性不妊治療費用の一部助成)も行っています。メンタル面までのサポートは、島田市のまさに「寄り添う支援」の特徴です。30歳代と10歳未満の人口が、この5年間ずっと転入超過となっているのは、このような取り組みの成果であると考えています。
さらに今年度からは「島田市版 ネウボラ」を始めました。すべての妊婦・母子・子育て家庭を対象とした切れ目のない支援により、虐待などのリスクの早期発見・早期支援で効果を上げている、フィンランドのネウボラを参考にしています。各家庭に担当保健師をつけ、より気軽に相談しやすい関係を築き、安心して出産・子育てができる支援体制を提供していきます。母子手帳交付の際、手帳に担当保健師の名前と連絡先を記入し、妊娠期から就学時まで、ずっと同じ保健師があらゆる悩みや不安に寄り添うことで、子どもの健やかな成長につなげていきたいと考えています。

コミュニティバス路線の現状と課題(2019年度4月号)(2019年5月27日掲載)

「家の近くにバス停があったら」「もっと便数多ければ使い勝手がいいのに」など、市民の皆さんからコミュニティバス(コミバス)についてさまざまなご要望が寄せられます。一方で「空気を運ぶようなバス」に危機感を募らせている人たちもおられます。今月は、どうすればコミバスを残せるのか、ご一緒に考えていただければと思います。
コミバスは「決まった時刻に」「決まった路線で」「多くの人数を移動させる」公共の交通手段として運行(現在、タクシー路線含め14路線)しています。年間の利用者数約24万人のうち、月に1回以上利用する人は約3,400人。そのほかは、年に数回のみ利用する乗客です。
市民の皆さんからは「市民病院に行く路線がほしい」という要望をよく伺います。現在、市民病院へのバスは1 日17便ありますが、聞き取り調査をした結果、1日937人の外来患者のうちバス利用者は26人(2.7%)しかいませんでした。
「あったら便利」と「利用する」の間には隔たりがあります。本当に必要な公共交通を住民と一緒に考え、的を絞らなければ、コミバスは維持できなくなっています。平成29年度の運賃収入は約4,000万円。一方で経費は約2 億3,000万円でした。加えて、所有しているコミバスの老朽化も課題です。市所有のコミバスは現在13台ありますが、1台の車両を20年間使用したとしても、今後7年間で更新費用に約1億円もかかります。また、車両をワゴン車などに小型化しても、コミバスの運行委託料の大半は人件費、次いで燃料費ですから、経費の節減効果は微少です。ちなみにコミバスの燃料費は年間2,000 万円(軽油1リットル/121円換算)で、乗客がなくても、毎年これだけの税金が使われることになります。
なぜコミバスの利用者が減少したのでしょうか。昔は、まちの中心に施設が集中し、1台のバスに乗り合わせて目的地へ向かうことができました。現在は、利用者の目的が多様化し目的地が分散した結果、移動ルートは個別化・複雑化し、1台のバスでは需要に応えられなくなりました。
では、どうすればコミバスを残せるのでしょうか。その答えは、「コンパクトプラスネットワーク」と「地域の力」だと考えています。市内それぞれの地域で都市機能を拠点に集約し、コミバスはそれぞれの拠点間を結ぶ最短ルートとして運行頻度を増やしていく。また、地域内の住民とコミバスをつなぐ移動手段は「デマンド型乗り合いタクシー」や「自主運行バス」などの方法により、自力(地域の力)で運行していただく。これらによって、持続可能なコミバスを存続させることができます。
地域内で自主運行バスを実現していただければ、市は、バス車両(ワゴン車)と燃料代および保険料などの経費を全額負担します。現在、鍋島と相賀では、地元の人たちが熱心に自主運行バスを検討しています。その中心メンバーに想いをお聴きすると、乗客のいないバスを見て「このままでは、コミバスはいずれ無くなる、と強い危機感を持った」とおっしゃっていました。今後もコミバスを維持継続していくために、地域で何ができるかを自分事として考えていただければ幸いです。

平成31年度当初予算の編成方針について(平成31年3月号)(2019年5月27日掲載)

今月は、平成31年度当初予算の概要と、その中から市民生活に直結する新規事業の一部をご報告いたします。
一般会計予算額は、426億1,300万円と過去最大規模になりました。これは、今後の島田市の発展のために必要不可欠な未来への投資としてのプロジェクトに重点配分した「ネクストチャレンジ予算」となっているためです。私が市長に就任して以来、市債残高を減らし、基金を積み立て、健全な財政基盤を構築するため、10年先まで見通した財政計画を立ててまいりました。そして、第二次島田市総合計画を着実に推進するために準備をして編成した予算であります。具体的には、島田金谷インターチェンジ周辺開発事業(18億1, 734万円)、新病院建設事業(40億8,130万円)など、本市の未来を担うリーディングプロジェクトや、島田第四小学校改築事業(9億9,900万円)、市内普通教室へのエアコン設置といった教育環境の充実が大きな事業となっています。
新市民病院には、最新の設備や医療機器が整備されますので、医師や看護師の確保に好条件が整いますし、市民の皆さんにとっても今まで以上に信頼できる病院となります。また、第四小学校改築事業は、次世代を担う子どもたちに充実した環境で学んでもらうための投資になります。人口減少・超高齢化社会に対応し、活力あるまちを創る施策を着実に推進するために「未来への投資」として編成した予算であることをご理解いただきたいと思います。
市民生活に直結する新規事業では、国保特定健診と後期高齢者健診の基本・追加・詳細項目に掛かる自己負担を無償化し、「特定健診」の受診率を上げることで、生活習慣病の発症予防につなげていきます。また、認知症高齢者などの財産や権利を保護するため、「成年後見支援センター」を設置し、市民後見人の育成や活動支援に取り組みます。
子育て施策の更なる充実では、出産や子育てに始まり、家庭内の問題に至るまで対話を重ねながらあらゆる相談に寄り添うため、母子手帳に担当保健師名と連絡先のシールを貼り、妊娠から就学までずっと同じ保健師が担当する「島田版ネウボラ」を導入します。「ネウボラ」は、フィンランドで成果を上げている制度であり、これまで以上に気軽に相談しやすい関係を構築して、安心して出産・子育てできる支援体制を提供してまいります。また、小規模保育所2カ所(旧市内と初倉地区)を誘致いたします。
地域経済の分野では、中心市街地にある空き店舗等を活用して開業する人に改装費を助成する「遊休不動産リノベーション応援事業」を立ち上げ、まちのにぎわい創出・活性化を図ってまいります。また、2022年度の完成を目指す市役所新庁舎の基本設計にも着手します。
当初予算について、詳しくは、市ホームページや広報しまだ4月号でご確認ください。また、「移動市長室」でもお話しさせていただきます。5人以上集まればどこでも伺いますので、秘書課までお問い合わせください。

全国をリードする島田市の「フードバンク事業」(平成31年2号)(2019年5月27日掲載)

皆さんは、「フードバンク事業」という言葉を聞いたことがありますか。品質に問題はないものの、やむなく消費しきれなかった食料品を市民・企業・スーパーなどから無償で提供いただき、行政や社会福祉協議会、支援団体などを通じて食べる物に困っている人たちへお渡しする活動のことです。
市役所にフードバンク回収ボックスを置いたのは、島田市が全国初(平成27年8月)であり、現在は各支所・公民館にも設置しています。お米を何俵も届けてくださる人、お歳暮などの贈答品を箱ごと入れてくださる人など、日々、多くの市民の善意が寄せられています。
回収ボックスに寄贈された食料品は、認定NPO「フードバンクふじのくに」に県内各地から集まった各種食品と一緒に集められます。その後、必要としている人の状況に合わせた組み合わせにして、福祉課または市社会福祉協議会を通じて手渡しています。具体的には、米・乾麺・調味料・缶詰・レトルト食品などをセットにし、さらに子どものいる家庭には、お菓子を加えて配付しています。
平成29年度には、市内345件の依頼に対し、重量にして7,272kgの食料支援を行いました(「しまだ夏休み子ども食料支援事業」を含む)。子育て応援課での相談や、生活困窮相談の中で制度を紹介されて、支援を受け始めるケースが多いようです。さらに、食料支援のやり取りを通じて信頼関係が築かれ、生活上の困りごとなどまで話してもらえるようになり、結果として、生活困窮者自立支援相談や医療制度、生活費貸付制度の利用などにまでつなげられたこともあります。
私は、島田市のこうした取り組みを一人でも多くの市民に知ってもらいたいと思っています。市では平成28年度に、フードバンクをPR するラジオドラマを制作するなど、呼び掛けを行ってきました。皆さんもぜひ、身近に困っている人がいたら「フードバンク事業があるから相談してみて」と紹介してください。それが、「SOSの声」を上げるきっかけになります。
不安定な現代社会の中では、誰しも生活が一変してしまう可能性を秘めています。島田市で暮らす人たちが、食料に困らないようにするにはどうしたらよいか、私たちと一緒に考えてください。皆さんのご家庭に余剰食料品がある場合は、フードバンクにぜひご協力をお願いいたします。
フードバンク事業を利用した人がそれをきっかけに、他の制度も利用したり、周りからの支援も受けられるようになったりし、「結果的に生活全般が改善された」となるように、市としてもより一層、きめ細かな対応に努めてまいります。
今後も、フードバンク事業が末長く続き、地域に根ざしたものとなるよう、皆さんのご協力をお願いいたします。
※穀類、保存食品など常温で保存が効くもの、賞味期限が2カ月以上あるもの、未開封・破損していないものなどが該当。

「住んでごしまだ」移住定住施策成果が上がっています(平成31年1月号)(平成31年1月28日掲載)

今月は、県外から島田市への移住者数が伸びている実績と、移住定住施策の内容、そして今後の方針等についてご報告します。
平成30年度上半期に県外から島田市に移住した人数(県および市町の移住相談窓口を利用した数)は34人。これは、県内35自治体中4位でした。移住者数のトップは沼津市の47人で、2位が三島市の46人、3位が富士市の42人、4位が島田市で、5位が富士宮市の28人でした。上位5自治体のうち、4自治体が東京圏から近い東部地区に集中しています。その中にあって、島田市は東部地区以外で唯一5位以内に入りました。さらに、相談件数に対しての移住成立率(移住者数)を見ると、相談件数41件に対し移住者数が34人と、県内自治体でダントツ1位の実績となっています。
さて皆さんは、移住定住応援サイト「住んでごしまだ」を見たことがありますか。このサイトでは、当市の気候、立地、魅力(特性)などの概要を紹介し、「島田を知る」「島田に住む」「島田で働く」「島田暮らし」の4つのテーマで、さまざまなサポートや助成制度を説明しています。
このうち「島田に住む」では、移住者の住宅取得に関する支援制度「島田に住もう応援奨励金」や「島田市空き家改修等事業費補助金」、公営住宅の情報など、住居に関する情報を掲載しています。特に、市内全域の不動産情報を掲載した「住んでご不動産バンク」は、市が川根地区で実施している空き家バンクの登録物件のほか、市内の不動産業者が管理する建物と土地の情報を一覧することができ、市外からの移住者だけでなく、市内で転居を希望されている人にも便利なサイトとなっています。
「島田市に住もう応援奨励金」を利用して県外から当市に移住した件数と人数は、昨年末までで9件34人。このうち世帯代表者の年代をみると、20代が1件、30代が7件、40代が1件であり、子育て世代がこの制度を利用して島田市に移住してきたことが分かります。この結果からも、市が重要施策として展開しているさまざまな子育て支援策が、一定の成果を得ていると考えます。
また、どこから移住してきたかという調査では、9件中5件が愛知県からの移住でした。平成27年から現在までの結果も、1位が愛知県、2位が東京都、3位が神奈川県からですので、今後は東京圏だけでなく名古屋圏にも、情報提供のウエートを置く必要があると考えています。
ほかにも、移住に関心のある人を対象にした冊子として、島田市移住案内「はじめてみてご島田暮らし」や、島田に暮らす移住者の声を集めた「Greenci-teaLife(グリーンシティライフ)」などがあります。お知り合いに移住をお考えの人がいらっしゃれば、この冊子をお渡しいただき、是非、島田市の魅力をお伝えください。
今年も、市民の85.1%が「住みやすい」と感じるまち島田(平成30年度市民意識調査)を、もっともっと積極的に発信してまいります。

「ネクストステージ」の課題とそれに立ち向かう自治体の取り組み(平成30年12月号)(平成31年1月28日掲載)

日本の人口は2008年をピークに減少局面に入り、基礎自治体(市町村)でも超高齢・人口減少社会への対応が重要課題となっています。このようなかつて経験したことのない社会的局面、いわゆる「ネクストステージ」に向き合い、適切に対応するのは、直接住民に接している私たち基礎自治体の使命です。
超高齢・人口減少社会は、私たちの日々の生活に今すぐ大きな影響を及ぼす訳ではありません。しかし今後、長期にわたって経済や暮らし、地域生活など、さまざまな面で影響が出てくることが予想されます。
具体的な事例として4つを挙げますと、1.地域コミュニティの機能低下。高齢化により、自治会役員の担い手がいない。草刈りや川ざらいなどの地域の共同作業ができない。会員が減少して老人会や自主防災組織などの組織を継続できないなど、さまざまな課題が起こります。2.都市のスポンジ化。空き地や空き家などが「小さな穴が空くように」次第に増えていき、近くにスーパーが無くなるなど生活の利便性が低下。空き家の防犯対策なども課題になります。3.公共施設等の老朽化。合併を重ねて、現在、市が保有している公共施設は276施設663棟。橋りょうは1,155本、市道は1,137キロメートル管理しています。これらを維持するために、今後40年間でおよそ2,515億円掛かると試算され、市は2016年に「島田市公共施設等総合管理計画」を取りまとめました。2040年までに公共施設を21%削減する計画です。しかし、総論賛成・各論反対で、「なければ不便」という地域住民の理解を得るには、「痛みを分かち合う」という大きな意識改革が必要です。4.自然環境や国土の保全危機。中山間地にイノシシやシカやサルが出没し、農作物を荒らすだけでなく、夜道で自動車にぶつかるなどの事故が増えています。また、台風による倒木などで電線が切断され、停電が長期化する事態も発生。土砂災害が多発することも懸念されます。
これらの課題を解決する方策の一つが、国が示している将来のまちづくりの方向性「コンパクト・プラス・ネットワーク」(多極型ネットワーク都市構造)です。これまで人口増加に伴い拡大してきた居住地域を、これからはコンパクトに誘導しつつ、都市機能を維持(人口密度を維持)しようとする取り組みです。市でも、この方針に基づき、来年度から2カ年をかけて「立地適正化計画」を策定し、生活サービス機能などの計画的誘導、公共交通ネットワークの形成および人口密度の維持などを盛り込む予定です。
財政状況が年々厳しさを増す中「ネクストステージ」に立ち向かうためには、前例に捉われない柔軟な発想をもって行財政運営の改革を図るとともに、市民が真に求めるものを市民と共に創り上げ、市民満足度・幸福度を上げていく"量から質への転換"すなわち「縮充」に基づく行財政運営を推進していく必要があります。市民の皆さまにも何卒、ご理解とご協力をお願いいたします。

教育環境適正化と小中学校統廃合のゆくえ(平成30年11月号)(平成30年11月19日掲載)

島田市は、これまで「豊かな心の育成」や「一人一人に焦点を当てた教育」を重視し、子どもたちの可能性や夢を育て、地域の教育力を生かした「市民総がかり」の教育を推進してまいりました。また、いくつかの自治会では、放課後の学習支援を行う寺子屋事業が実施されるなど、地域で子どもを育てるという機運も高まってきています。

一方で、他市町と同様、全国的な課題である人口減少と少子化の傾向は避けて通れず、学校教育にも影響を及ぼしつつあります。例えば、平成29年度の各学年の児童総数は、800人台中盤から900人台前半となっていますが、昨年度の出生数は600人台となり、少子化の傾向は急激に進んでいます。中でも、北部4小学校区域内の総出生数は18人と、大変少なくなっています。

こうした状況から、平成28年度には「小学校及び中学校の在り方検討委員会」より提言をいただき、さらに平成29年度からは「教育環境適正化検討委員会」(以下、検討委員会)を設置して、有識者の皆さんに「子どもを最優先にした学校づくり」について議論を重ねていただきました。

現在、市内にある18の小学校と7つの市立中学校のうち、既に3つの小学校で複式学級(2学年で担任1人)による授業を行っています。小規模校ならではの良さもありますが、児童生徒が多様な価値観に触れたり、好きな部活動に打ち込み切磋琢磨する交友関係を築いたりするには、学校が一定の規模で確保されていることが望ましいと考えます。検討委員会からは、「学校環境の再編は、特定地域だけでなく、市全体の問題である」「再編対象の地域には、政策的優遇措置を講じ、教育の先進地域へと発展させる」など7つの基本的考え方、さらに、学校再編方針案として北部地区と初倉地区の具体的な再編案が示された提言をいただきました。

提言では、北部地域は「できるだけ早期に北中学校と第一中学校を統合し、その後、第一小学校の改修に合わせて北部4小学校を第一小学校に統合する」「第三小学校を学校改修時に中学校に転化した上で、第二小学校と第三小学校で一貫型の学区を形成する。なお、伊久美小学校は、特認校という特徴もあることから地域の声を考慮して判断する必要がある」との2つの案が示されました。

また、初倉地域は「湯日小学校を先行して初倉小学校に統合することが望ましいが、将来的には、初倉南小学校も初倉小学校と統合した上で、初倉中学校も含めた準一体型の小中一貫校とすることも検討すべき。なお、小学校3校を一つに再編する是非は、地域住民の意向を踏まえて慎重な議論を重ねていく必要がある」との案が示されました。

検討委員会からは、再編方針案をたたき台として、来年8月までに市の方針を出すよう求められています。しかし、市としては、既に2年半もの間、議論を重ねていますので、できれば来年8月を待たずに再編案をお示ししたいと考えております。今後も地元での説明会を開催してまいりますので、ぜひ多くの皆さんのご意見をお聞かせください。

リニア中央新幹線工事に伴う大井川流量減少の対策について(平成30年10月号)(平成30年10月22日掲載)

今月は、リニア中央新幹線工事に伴う大井川流量減少の対策をめぐる、直近の状況についてご報告します。
先月中旬、静岡市はJR東海に対し、リニア中央新幹線南アルプストンネルの準備工事に関する林道通行許可証を交付し、9月18日からその準備工事が始まりました。この件について、公表直後は、県も静岡市も「今回の工事は、作業員の宿舎建設等の準備工事であり、県や流域市町、利水団体などが懸念している『水問題』には直接影響のないものと認識している」とコメントしていました。しかし、その後静岡市は、「JR東海が本体工事着手を要望した場合、県と合意に達していなくても、市が林道の使用許可を出す方針」とさらに踏み込んだ見解を示しています。
振り返れば、JR東海は、大井川の流量減少対策を明記した下流利水者との基本協定が結ばれていない中で、昨年11月にはトンネル本線の工事契約を完了したばかりか、今回は、本体工事に向けた準備工事に着手したのです。これは、早期着工を目指すための見切り発車と言わざるを得ません。「本体工事に利水者の同意が必要というルールはない」として、地元合意なしでの本体工事着工に含みを持たせるJR東海の対応と今回の静岡市の方針に、私は強い危機感を抱いています。
これまで大井川の恵みで、農林業・工業・観光業をはじめ、多くの産業が発展してきた島田市にとって、この川は、まさに"命の川"です。しかし、残念ながらJR東海との直接交渉権は島田市にはありません(交渉権を持つのは、地先である静岡市と県だけです)。そのため、昨年3月に大井川流域の8市2町と利水団体は、それぞれJR 東海に要望書を提出し、「トンネル湧水を確実に、そして恒久的に大井川に戻してもらいたい」、「それを協定書に盛り込み、約束していただきたい」、さらに「流量確保と水質保全に万全の対策を講じてもらいたい」と伝えましたが、いまだ、基本協定締結には至っておりません。そうした中、本年6月に突然、静岡市とJR東海による「中央新幹線(南アルプストンネル静岡工区内)の建設と地域振興に関する基本合意書」の締結が発表され、先月の「リニア準備工事」の着手にまで至っております。
8月2日には、リニア工事に伴うトンネル湧水を"全量回復"させる確実な流量確保対策と万全な水質保全対策の徹底に向け、県の難波(なんば)副知事をトップに、関係8市2町の首長、11の利水団体代表者で構成する「大井川利水関係協議会」が組織されました。今後、この協議会に静岡市が加わり「真のオール静岡」態勢になることを期待しています。
リニア実験線がある山梨県内では、水枯れなどの「異変」が多数起きています。現在の私たちの選択が、大井川流域の未来に繋つながっていることを決して忘れず、責任を持って考えていかなければなりません。

来夏までに小中学校全ての普通教室にエアコンを設置します(平成30年9月号)(平成30年9月18日掲載)

今年の夏は、灼熱地獄のような暑さでしたね。
全国で35℃以上の猛暑日が続き、埼玉県熊谷市では国内観測史上最高となる41.1℃を観測し、気象庁は「命に危険を及ぼすレベルで、災害と認識している」とコメントし注意を促しました。
市内でも、夏休み前の期間に全小中学校で一日の最高気温を測定したところ、最も気温の高かった教室では38℃を観測。7月中に熱中症などの症状を訴え、保健室で処置を受けた児童・生徒数は842人、早退した児童・生徒数は292人に上ったと報告を受けています。
このような状況を踏まえ、児童・生徒が安全で健康的な学校生活を過ごすためには、その大部分を過ごす「普通教室」へのエアコン設置は、財政事情の厳しい状況下にあっても「待ったなし」の最優先課題であると判断しました。
この9月議会の補正予算には、来年の夏前までに全小中学校の普通教室(285室)に空調施設を整備するため、総額約9億円の債務負担行為を設定することとしました。
設置手法は、全額市の単独財源で賄う「リース方式」を予定しています。これにより、通常の整備手法に比べ、設置までの契約手続きや施工の期間などを極めて短期間で完了できるとともに、初期投資の抑制や全教室への一斉導入が可能となり、学校間の公平性の確保と維持管理を含めた効率的な運営によるコスト削減が図れることになります。
国もこの猛暑に対応するため、菅義偉(すがよしひで)官房長官が「クーラーが設置でき
ていないところは早急に(設置)しなければならない」と述べ、全国の小中学校へのエア
コン設置のために支援する考えを示しました。しかしながら、エアコン整備に係る国の財政措置は、平成30年度補正予算および平成31年度当初予算編成などにおいて、9月以降に議論が行われるとのこと。これでは、来夏までの小中学校へのエアコン整備は極めて難しいと判断し、市単独財源でのリース方式を選択しました。また、9月議会にエアコン導入のための事前調査費を計上する市町が多いようですが、当市はすでに、その調査は済んでいることも併せてご報告いたします。
残るエアコン未設置の特別教室などについては、国の補助(3分の1補助)を活用し、各教室などの使用状況等に応じて、2~3年程度の計画で整備していく予定でおります。
ここ数年続く猛暑は、もはや異常気象という言葉だけでは済まされません。児童・生徒の安全と健康を守るため、来年の夏には快適な環境で授業を受けられるように準備してまいります。

市役所新庁舎建設と市民会館機能の再生について(平成30年8月号)(平成30年8月23日掲載)

市民の皆様から高い関心が寄せられている市役所周辺整備について「基本構想(案)」を策定しましたので、今月はこの件についてご報告いたします。
建築から56年が経過して老朽化が進む「市役所本庁舎」(昭和37年建築)、総合文化施設「プラザおおるり」(昭和58年建築)、そして平成28年に取り壊した「市民会館」の再建の是非などについて、外部有識者等で構成する「市役所周辺整備基本構想検討委員会」の皆様に、計9回にわたり協議と現地視察を重ねていただきました。7月24日には、検討委員会の海道清信(かいどうきよのぶ)委員長(名城大学教授)から市へ意見書が提出され、市役所周辺整備は本庁舎の整備を先行して行うように示されました。一方で、文化施設については当面の間、プラザおおるりを活用しながら、文化芸術政策の方向性を定め、財政運営上の不安要素の解消と人材確保といった課題解決を図り、より深い検討を進めていくよう提言を受けました。さらに、市役所周辺整備事業が目指すまちづくりの理念を「人がつどい、文化がうまれ、まちがつながる、みんなの広場」と表現していただきました。
この意見書を受けて市が策定した「基本構想(案)」(市ホームページに掲載)の骨子は、次の通りです。
まず、施設の老朽化や設備の劣化により、災害対応などが課題となっている市役所本庁舎については、2022年度を目途に、現庁舎東側駐車場(旧市民会館が建っていた場所)に新庁舎を整備してまいります。これは、同時並行で進めている市民病院建設や新東名島田金谷インターチェンジ周辺整備事業といった大規模事業のスケジュールとの兼ね合いや、有利な財源となる合併特例事業債の活用期限を考慮して判断したものです。
次に、新たな文化施設の整備については、財政負担の平準化および文化振興施策の方向性を明確化する必要性などから、新庁舎と同時期の事業化は困難であり、当面の間、プラザおおるりに必要な改修を加えながら文化振興にかかる機能を維持していくこととしました。
プラザおおるりは、昭和58年の開館当初から使用している舞台音響装置や吊り物などの設備改修が喫緊の課題であり、ホールの安全対策、観客のアメニティ対策および館内トイレの改修なども課題となっています。そのため、新庁舎の建設と並行して早急に改修する部分と、新庁舎完成後に改修する部分との2段階に分けて改修を進めてまいります。また、新しい文化施設については、今後「島田市文化芸術推進計画」の策定を通じて文化振興施策における位置づけを明らかにした上で、プラザおおるりが築50年の耐用年数を迎える2033年頃を目途に事業化を検討することになります。
さて、現在、基本構想(案)はパブリックコメントを募集中です。秋には、次のステップである「新庁舎整備基本計画」策定作業に入ります。今後、島田市のレガシーとなる本庁舎がどのようなものになるのか、皆様も楽しみにしていてください。

大阪府北部地震を教訓に今一度、ブロック塀等の危険度チェックを!(平成30年7月号)(平成30年7月17日掲載)

守れるはずの命でした―。先月18日に発生した大阪府北部地震(マグニチュード6.1最大震度6弱)で、登校中の小学4年の女児が倒壊したブロック塀の下敷きになり死亡するという、痛ましい事故がありました。この事故を受け本市では、地震発生の翌日に、緊急で市内小中学校と公共施設にあるブロック塀の安全点検を実施しましたが、全てが建築基準法に適合していることを確認しています。
今月は、小中学校の特定建築物定期調査の内容、市内にある学校のブロック塀の現状についてご報告します。また民家などのブロック塀撤去や、生け垣の設置に対する補助金制度がありますので、併せてご紹介します。
最初に、特定建築物の定期調査についてご説明します。小中学校は、県が指定する特定建築物に該当し、隔年で定期調査と報告が義務付けられています。市内にある全25校についても、敷地および地盤、建築物の外部や内部などの調査を行い、損傷・腐食・その他の劣化状況などを調査しており、その調査項目にはブロック塀も含まれています。
次に、ブロック塀を有する学校の現状をご報告します。北中学校には、防音壁として昭和47年に設置したブロック塀が、県道64号線(島田川根線)沿いにあります。平成元年に補強工事を実施し、補強壁を約90カ所設置、同時に控え壁を設けたことで、建築基準法には適合しています。しかしながら、設置後46年が経過していることから、今後は騒音調査を行い、撤去も含めた対応を検討していきます。
また、金谷中学校には敷地東側道路との境界に8段積みのブロック塀がありますが、控え壁があり、高さも2.2m以下ですので、建築基準法には適合しています。その他、2~3段のブロック積みで、上部にフェンスを設置している学校が3校(島田二中、金谷小、五和小)ありますが、いずれも問題はありませんでした。
民家などにあるブロック塀についても、問い合わせが急増しています。危険なブロック塀があった場合には、撤去費用に対して、1敷地につき10万円を限度に「島田市ブロック塀等耐震改修促進事業費補助金」(建築住宅課)があります。また、生け垣を設置する場合にはその経費に対して「島田市生け垣づくり補助金」(建設課)が利用できます。市民の皆さんの地震災害などに対する防災意識の高まりに可能な限りお応えするため、補助金追加のための補正予算にも対応していきます。
今後、私たちが避けて通れない南海トラフ地震は、マグニチュード8~9クラスと想定されています。地震のエネルギーを表すマグニチュードは「1」増えると32倍、「2」増えると1,024倍になり、今回の大阪府北部地震との比較では、格段の違いとなります。今回のような事故を防ぐために、通学路を子どもと一緒に歩いて安全確認をすることも、一つの方法です。皆さんも大切な人を守るため、防災に対する正しい知識と正確な情報を基に、今、出来ることか北中のブロック塀を点検する職員ら取り組んでみませんか。

「口癖が人材を育てる」職員の人材育成について(平成30年6月号)(平成30年6月22日掲載)

私は度々、「市役所は究極のサービス業であり、市内最大の投資会社である」と表現し、「10年先の島田を常に考えること。そのために『今何を選択するか』が我々に課せられた責務である」とよく職員に話します。さらに、幹部職員には「市の経営者という立場を自覚すること」と繰り返し話し、「市役所は島田のエンジン」「現場は原点」「島田らしさを追求しよう」とも口癖のように言っています。オピニオンリーダーとして価値観や考え方を繰り返し伝えることで、私の行政経営理念が職員に浸透し、各々の仕事に向き合う向上心につながればと願っています。
さて、先日の新聞報道に「加速する人口減・自治体の『廃止』現実味」(2018年5月4日付読売新聞朝刊3面)とありました。2040年に消滅する可能性があるとされた896の自治体(日本創成会議・増田レポートより)のうち、約8割の自治体で想定以上に人口減が進んでいるという記事でした。県の将来推計では、今後30年間に65%以上も人口が減ると予測されるまちもあり、当市は23%減となっていました。では、こうした事態にどう立ち向かえばよいのでしょう。
自治体の垣根を越えて、近隣自治体で行政サービスを役割分担する「連携中枢都市圏」の形成をはじめ、ICTをうまく活用した広域連携などは、既に動き出しています。さらに大切なのは、次世代を担う人材の育成。限られた経営資源(いわゆるヒト・モノ・カネ・情報)をこれまで以上に有効活用し、「稼ぐ力」を生み出し、地域の活力を創造する人材を官民挙げて育てていくことが、当市の喫緊の課題であると私は考えています。
当市では、平成28年度から人事評価制度を本格導入し、職員の階層別の基本的な役割(業績)と、必要とされる主な能力を評価シートにおいて明確に示し、常にこれを意識させることで人材育成に努めています。また、研修体制も充実を図っており、ユニークな研修としては、定年退職を間近に控えた部長が講師となり、後輩たちに経験・スキル・時代の移り変わりなどを伝える「しまだトラッド継承講座」や、多分野の著名人を迎えて時代のトレンドを読み解く「トレンド・コンパス」などを実施しています。そのほか、内閣府、国土交通省、早稲田大学マニフェスト研究所、自治大学校、官民連携プロフェッショナルスクールなどにも職員を派遣し、国・県や他市との人事交流も実施しています。
これまで私たちが「市民本位」として取り組んできた、市民ニーズを聞いてそれを市政に反映していくだけの市政運営は、単なる御用聞きに留まっていたのではないでしょうか。本当の意味での「市民本位」の市政運営とは、市民に寄り添うのは当然のこと、「市民自身もまだ気が付いていない潜在的なニーズや課題を見極め、それらの解決策を模索しながら新しいサービスを創造していくこと」だと考えます。それを実践できる職員を育てることが、市長である私の使命であり、「信頼される市役所づくり」にもつながると考えています。

保育所待機児童ゼロ達成・次は放課後児童クラブの待機児童ゼロへ(平成30年5月号)(平成30年5月24日掲載)

これまでのさまざまな取り組みの結果、本年4月、当市はついに「保育所待機児童ゼロ」を達成しました。今月は、「子育てのまち島田」が継続的に取り組んできた待機児童対策について報告いたします。
まず、この5年間(平成26年度~30年度)の保育所数とその定員を比較しますと、保育所数は16園から22園(認定こども園含む)に増え、「地域型」といわれる小規模保育・家庭的保育・事業所内保育施設は、0から6カ所になりました。定員は、この5年間で322人増加し2,017人となっています。
特にこの1年間は、ゆりかご保育所の開設や、島田中央幼稚園・島田学園付属幼稚園など4カ所の認定こども園化を支援し、288人の定員増を果たしました。ここ数年の待機児童数は20人程度でしたから、これにより、潜在的待機児童も含めて、保育所を希望されるほとんどの児童が入園可能になると見込んでいます(本年度、民間保育所に係る予算額は31億499万円)。
ところで、「少子化で子どもが減っているのに、なぜこんなに保育所が足りないの?」と疑問に思う人もいらっしゃるかもしれません。確かに、当市の0~5歳児の数は、平成25年3月末5,068人でしたが、平成30年3月末には4,610人となり、5年間で458人減っています。それでも保育所の待機児童が顕在化する理由は、共働き世帯が増えたことにあります。日本ではバブル経済が崩壊した1990年代初めから共働き世帯が専業主婦世帯を上回るようになりました。リーマン・ショック後はさらに急増し、地方都市の島田市でも、育児休暇を終えてすぐに職場に復帰する親が増えて、0~2歳児の保育定員はいつも供給が需要に対して追いつかない状況が続いていたのです。
さて、保育所の待機児童ゼロを達成した後の次なる目標は、「放課後児童クラブの待機児童ゼロ」です。放課後児童クラブも、この5年間で5クラブ増やし20クラブとしました。定員も340人増やし、現在は980人です。それでもまだまだ足りません。施設を増設できる場所が限られている上、指導員の確保がままならないのが現状です。平成27年度からは対象児童を6年生まで拡大していますので、希望者はますます増えるでしょう。運営形態も見直しが必要です。
今後もこうした身近な課題を市民目線で一つ一つ解決し、市の将来像「笑顔あふれる安心のまち島田」を目指してまいります。

旧金谷中学校跡地へアウトレットモールと健康維持・増進施設(平成30年4月号)(平成30年4月18日掲載)

今回は、先日の報道で一躍注目を集めた旧金谷中学校跡地5.5ha(以下、金中跡地)の活用について、ご報告いたします。
旧金谷中学校が閉校になってから、はや40年が経ちます。昭和62年には空港建設予定地が「島田・榛原」に決定し、空港の開港を契機に、周辺地域全体の産業振興を図ろうとする機運が大いに盛り上がりました。平成20年9月からは、静岡県とともに金中跡地にメッセの整備を検討しましたが、社会情勢の変化などから進捗しないまま、平成25年12月に県がメッセの整備を断念。当市は、その直後から金中跡地への「民間活力導入による活用方策」について、県とともに検討を開始しました。
平成27年度にアイデアコンペを実施し、平成28年度には活用コンセプトや整備・運用の在り方を盛り込んだ「旧金谷中学校跡地活用に向けた基本計画」を策定しています。この計画のコンセプトは「食や茶やスポーツによる心身の健康などをテーマに、訪れる人に憩いや癒し、新しいライフスタイルなどを提供するオリジナリティある交流・賑にぎわいの拠点の整備」とし、民間事業者が施設整備から維持・管理、運営を行い、地域全体の活性化に資する持続性のある事業とすることを定めました。
平成29年度は、基本計画のもと「観光」と「健康」をテーマに事業提案を公募し、有識者などからなる選定委員会による審査の結果、(株)八ヶ岳モールマネジメントが優秀提案者に選ばれました。先月22日に基本協定を締結し、金中跡地などの貸し付けについて市議会の議決をいただいた後、定期借地権設定契約を結ぶ予定です。今後、平成33年3月までの開業を目指してまいります。
さて、皆さんが一番知りたいことは、ここにどんな施設ができるかということではないでしょうか。提案は、リゾート型アウトレットモールと健康維持・増進施設を軸とした開発でした。現在、山梨県北杜市内で営業している「八ヶ岳リゾートアウトレット」をイメージしていただくと分かりやすいかと思います。
アウトレットモールは、オープン当初は40~50店舗を見込み、その後の運営状況を見ながら増床を視野に入れていると聞いています。健康維持・増進施設については、予防医学・未病の観点から、ヨガやノルディックウオーキングなどの運動に加え、食事や睡眠といったライフスタイル全体を専門家のアドバイスを受けて見直すことができるプログラムを提供していくとのことです。市といたしましては、いずれの施設でも、地域住民の雇用促進を期
待しています。
周辺では、「ふじのくに茶の都ミュージアム」がオープンし、10月には富士山静岡空港のターミナル増築工事が完了するなど、今後ますます交流人口の拡大が期待されます。他にも、大井川鐵道や蓬.橋、諏訪原城跡、川根温泉や伊太和里の湯など、この地域には数多くの自然・歴史・文化資源があることから、これらをつなぎ合わせて当市の持つ「場の力」をさらに向上させ、市街地への経済波及効果も見込める魅力ある拠点となるよう、今後も本事業の展開を推進してまいります。

観光資源としての「かわ」の生かし方を考えるー大井川宝来地区かわまちづくりー(平成30年3月号)(平成30年3月16日掲載)

先月、国土交通省主催の「かわまちづくり全国会議」が開催され、先進的な「かわまちづくり」の事例として、当市の取り組み(「大井川宝来地区かわまちづくり」計画)を発表する機会を得ました。発表した計画は、蓬莱橋を中心に「観光」「賑わい」「憩い」の場を創出する水辺空間を整備し、島田市全体の活性化につなげることを目的としています。そこで今回は「今後、大井川を観光資源としてどう生かしていくか」という視点でお話させていただきます。
蓬莱橋は、年間15万人以上の観光客が訪れる当市を代表する観光名所ですが、その周辺は国管理の河川区域であることから、これまで施設の設置が難しい状況にありました。今回、国土交通省の「かわまちづくり支援制度」を活用することで、この区域内に許可を得ることができ、施設整備が可能となった次第です。
今月20日には、待望のお休み処兼物産販売所「蓬莱橋897.4(やくなし)茶屋」がオープンします。897.4とは、橋の長さ「897.4m」と「厄なし」を掛けた名称で、この計画策定に携わった「島田大井川ミズベリング協議会」(市民と民間業者で構成する協議会)の皆さんの提案によるものです。
「大井川宝来地区かわまちづくり」計画は、今年度から5カ年の計画です。来年度は、堤防法面に河川敷へ入る進入路を設け、スロープと階段を整備します。進入路の先(番小屋の場所より一段低い河川敷)には駐車場を整備し、その西側にはスペースを確保して、オープンカフェや軽トラ市など工夫を凝らしたイベントを開催できるよう計画しています。左岸側の整備完了後は右岸側の整備へと移り、その後左岸側のエリアを拡大し、島田市博物館前の河川敷へと整備箇所を拡げていく予定です。
大井川の水辺空間は、さまざまなスポーツを楽しむ場所として、また市民の憩いの場所としても昔から活用されていますが、使い方によりさらなる価値を生み出す可能性を秘めたエリアだと考えます。蓬.橋、川越遺跡、SL、ふじのくに茶の都ミュージアム、牧之原大茶園などの大井川流域の地域資源を有機的に結びつけることにより地域特性を生かし、かつ多様化する旅行者のニーズに即した観光を提供し、さらに市街地の商店街と緊密な連携を図ることで、地域経済の活性化に大きく貢献できるものと考えています。今回の取り組みがひとつの起爆剤となり、島田の新しいお土産が創り出されたり、自主的にその販売に関わる人たちが出てきたりといった自立的経営を誘導することにより、「観光で稼ぐ」というビジネス意識が地域に浸透していくことを期待しています。ぜひ、新しい蓬莱橋に足を運んでみてください。

平成30年からの展望「第2次島田市総合計画」(平成30年2月号)(平成30年2月23日掲載)

今月は、いきなり重たい話題から入ります。今の日本(島田市)の最大の課題が「人口減少」であることは、以前からお話しているとおりです。市民の皆さんからは「悲観的なことを言うな。人口減少に歯止めをかけないでどうする」といった叱咤激励が届きますが、目先の現実を見れば、2020年には日本女性の半数が50歳を超えます。未婚化・晩婚化が進む日本で子育て施策が行き届いたとしても、子どもを産み育てられる女性は、どれくらいいるでしょうか。たとえ一人の女性が一生の間に出産する子どもの数(合計特殊出生率)の推移値が多少改善したところで、「少子化」は止まりようがありません。2040年に人口が増加している都市は全国で2%しかないというデータもあり、近隣市町あるいは日本国内で人口の奪い合いをしている場合ではないのです。
問題は、少子化・高齢化の進行により、人口の絶対数が激減したり、高齢者が急増したりすることで生じるさまざまな弊害に、いかに長期的な展望を持って対応していくかということではないでしょうか。
このような日本(島田市)を取り巻く背景のなか、本年は、今後8年間のまちづくりの設計図となる「第2次島田市総合計画」が始動する年になります。私が基本構想から関わったこの計画では、これからの市政運営の方向性をはっきりと打ち出しました。
人口減少、それに起因する緩やかな下降線を予感させる社会経済情勢の中にあって、真に必要な施策・事業を選択し集中させ、市民の幸福度を上げていく、「量」から「質」への転換、すなわち「縮充」という考え方です。
限られた財源の中で、絶え間なく発生する諸課題に的確かつ効率的に対応するためにも、私たち自治体は、政策の質を重視する「縮充」の考え方に基づき、行政経営の視点による最適化を図り、芯の通った経営方針に裏打ちされた実行力を伴わなくてはなりません。
「第2次島田市総合計画前期基本計画」では、市民幸福度の向上を最上位とする全137指標の「めざそう値」を設定し、進捗状況を明確に見える化したほか、7つの政策分野に計46の重点取り組みを位置付けました。今後「島田市のあるべき将来の姿」に向かって、市民の皆さんと共に、計画の着実な推進に努めてまいります。なお、具体的な施策などについては、別の機会に説明いたします。
結びに、お知らせですが、3月17日に新病院建設工事施工者選定報告会を、会議棟大会議室で午前10時15分から開催します。施工者から新病院建設に係る提案内容などの発表と、選定委員から選定基準や決定に至った経緯などを報告いたします。どなたでも参加自由です。多くの皆さんのご来場を、お待ちしております。

市役所周辺整備事業「市役所本庁舎建設」について(平成30年1月号)(平成30年1月22日掲載)

新年おめでとうございます。本年も市政羅針盤のご愛読をよろしくお願い申し上げます。さて今月は、市民の皆さんから高い関心が寄せられている市役所周辺約34,000平方メートルの整備について、第一段階として、市役所本庁舎を建て替える判断をしましたのでご説明させていただきます。
現庁舎は昭和37(1962)年建築で、昨年で築55年を経過しています。コンクリート躯体の状態は、これまでの耐震改修により当面の間は正常に維持できるものの、外壁の劣化による雨漏りや水回りの配管の劣化、防火シャッターやエレベーターの老朽化などが著しく進んでいます。想定される震度6強の強い地震に見舞われたとき、災害対応の指揮系統が確保され、通常業務が維持継続できるだけの強度・設備要件を備えた市役所機能とは言い難い現状となっています。
たとえ大規模改修を行ったとしても、今後数十年の内には建て替えが必要となり、仮設庁舎の建設を含めて大規模改修にコストを掛けることは合理性に欠けると判断いたしました。
さらに、財源確保の観点からも、新島田市民病院建設事業に係る借り入れのピークと重ならないよう調整し、合併推進事業債(元利償還金に対する交付税措置を受けられる)が活用できる2023年度までが資金調達にも有利になることから、昨年11月市議会で本庁舎建設を表明いたしました。本年1月中には、外部有識者などによる検討委員会等を立ち上げ、さらなる検討を進めてまいります。
もう一つ、市民の皆さんが関心を寄せているのは市民会館の建設についてではないでしょうか。ただ今、行政負担の低減と公民連携によるまちづくりの可能性を探るための調査を実施しています。この調査の結果や、ワークショップでの市民の思い、そしてこれらを踏まえて検討委員会で協議した結果を基に、市民会館の建設について改めて判断したいと考えています。特に市民ワークショップでは、公共施設マネジメントの視点からの問題提起も行いながら、市民にとって真に必要な施設の在り方などについて、参加者の意見をお聞きしたいと考えています。
また、機能が類似するプラザおおるり、夢づくり会館、川根文化センターの3施設の将来についても併せて判断する必要があります。市役所周辺は、中心市街地活性化の拠点としても重要なエリアなので、早ければ今夏にも、市役所周辺整備事業全体の方向性をお示しできればと考えています。
平成30年度からは市役所内に「資産活用課(仮称)」を設け、市役所本庁舎の建て替えをはじめとした諸課題に、スピード感をもって取り組んでまいります。

「市長への手紙」「要望書」「市政への提言」の対応について(平成29年12月号)(平成29年12月19日掲載)

一年を締めくくる今月は、市民の皆さんから寄せられた「市長への手紙」や「要望書」、「市政への提言」について、どのように捉え、取り扱っているかを報告します。私は要望書や市長への手紙が増えるのは、市政の運営にとっていいことだと考えています。市民が行政に自由に意見を言えるまちは、市民参加がしやすいまちであり、風通しのいい市政運営は人づくりにつながると考えるからです。
本年4~10月の7カ月間に「市長への手紙」は238通届きました。全ての手紙を私自身が読み、返信を望む方には、時間が掛かってもお返事を差し上げています。内容は多岐にわたり、特に行政サービスへの提案や改善を求めるご意見が目立ちます。
例えば、島田市緑茶化計画の推進とお茶をPRするため、ごみ収集車を緑茶グリーンに塗装するご提案をいただきました。また、保育園の入園希望について「いつになったら受入通知が届くのか」というご質問には、申請や受入通知書発送時期が分かる年間スケジュール表を作成し、対象者に配布するよう改善しました。
このように建設的なご意見をいただく一方、行政に対する意見や職員の対応への苦情も寄せられます。毎月の件数や意見の内容、市の対応などは、インターネットで「島田市市長への手紙」と検索すればご覧いただけます。
商工会議所など各種団体から寄せられる要望書は、受領時と市からの回答時に、意見交換をさせていただいています。「市内中小企業に対する業務発注率の維持向上について」など政策的な要望が主です。
自治会からの要望は、平成28年度は692件あり、道路改良や水路改修、道路照明設置などの要望が主で、そのうち対応できたものは全体の82%です。こちらは関係各課がチームを組んで現場を確認し、担当課と関係機関が連携して処理に当たっています。
ほかにも、個人的に寄せられる「市政への提言」があります。その多くは民間企業との比較において、生産性の向上、コスト削減、職員削減、さらに一点突破のまちづくりなどについてのご提案です。「市民サービスにおける生産性の改善が必要」「不採算部門はアウトソーシングを考えるべき」など、厳しいお言葉をいただいています。私はそうした意見を寄せてくださる人たちに、現在の島田市の取り組みをもっと知っていただいた上で、改善のための意見を寄せてほしいと思います。地方創生の時代、行政も経営改善なくして明日はありません。ご提案の多くはすでに着手しています。また、たとえ不採算部門であっても、当市に住む全ての人々の安全安心な暮らしを守るために必要な事業があることを、ご理解いただきたいと思います。

「すぐやる課」の業務報告と市民の皆さまにお願いしたいこと(平成29年11月号)(平成29年12月11日掲載)

島田市役所には「すぐやる課」という全国でも数少ない部署があります。どんな仕事をしているかご存知ですか。今月は「住民の困り事、要望に対し、すぐできることはすぐにやる課」として市民に好評を得ている当課の業務内容と処理状況、課題などについてお話ししたいと思います。
「すぐやる課」の作業員は、増加・多様化する市民の声に素早く対応できるよう、2班9人体制で出動しています。現場ごとの仕事量に応じ臨機応変に対応しており、川根地区には、週1~2日、一斉に出動することで効率良く要望に応えています。
具体的な業務としては、道路の穴を埋めるなどの舗装修繕、ガードレール・側溝・カーブミラーなどの維持修繕、草刈り、水路の浚渫(しゅんせつ)・改修などを主な業務としています。しかし、近年は、「庭の草刈りをしてほしい」「水路にボールを落としたので拾ってほしい」「チャイルドシートの装着方法を教えて」「ご近所のピアノがうるさいから注意して」など、個人的な要望が増えています。「すぐやる課」は「何でもやる課」ではありません。「庭の草刈り」など私有地の維持管理や個人的な要望は、基本的にお断りをしています。舗装・側溝・水路などの簡易修繕、崩土処理、街路樹に関すること、水路のゴミ詰まりなど、公共的な要望に対応していますのでご理解いただきたいと存じます。
「すぐやる課」で市民の要望を受けて処理する件数は、年間約2,500件。要望数に対する処理率は95~99%で、大概の要望に応える結果となっています。近年、自然環境の変化により増加している害獣駆除や草刈りなど「すぐやる課」で処理できない事案については、市役所内の関係部署、県島田土木事務所、国土交通省などにつないでいます。要望の中身は少しずつ変化していますが「困っている市民を助ける」精神は不変です。
作業員からは「近所の人に見守られて作業をすることもたびたび。市民の期待と信頼を得ることができ、感激している」という声も聞かれます。彼らは今日も、道路の応急修理などに市内を駆け巡っています。
急激な人口減少・少子高齢化の影響で、働く世代が減っていく時代に突入し、行政もスリム化を余儀なくされています。「どの課もすぐやれば『すぐやる課』は必要ない」とのご意見をいただくこともありますが、こうした時代にあっても、迅速かつ丁寧に市民と向き合う「ワンストップサービス」の一環として、「すぐやる課」はこれからも維持してまいりますので、併せて「地域でできることは地域で」という市民参加型の「互助の精神」もお願いいたします。

「かわまちづくり」と蓬莱橋周辺整備(平成29年10月号)(平成29年10月16日掲載)

年間15万人の観光客が訪れ、「世界一長い木造歩道橋」としてギネス認定されている蓬莱橋に、来春3月、お休み処どころ兼物産販売所がオープンします。
全長897.4mにちなみ、「厄なしの橋」としても多くの観光客に愛されている蓬莱橋ですが、これまでは法律の制限もあり、休憩する場所も「島田の逸品」や特産のお茶をお買い上げいただく場所も設置できませんでした。多くの観光客が訪れる中で、楽しみながらお金を使っていただく仕組みをつくることが、これからの「観光で稼ぐ」という取り組みの中での大きな課題でした。
これらの課題を解決しようと、国土交通省静岡河川事務所の協力を得ながら、昨年5月に「島田市大井川ミズベリング協議会」を設立。蓬莱橋を中心とする大井川の魅力や価値を生かした「憩いの場」「にぎわいの場」の創出に向け、市民や民間事業者の皆さんと一緒になって検討を進めてきました。
今月は、島田市が目指す「かわまちづくり」とは何かをお話しすると共に、蓬莱橋周辺の将来像をお伝えしたいと思います。
「かわまちづくり」とは、地域の創意工夫により景観、歴史、文化および観光基盤などの「資源」を生かし、行政・民間事業者・地元住民・河川管理者が連携して、「河川空間」と「まち空間」が融合した良好な空間形成を目指す取り組みをいいます。平たくいえば、蓬莱橋を中心に、市の中心部に「観光・交流」「にぎわい」「憩い」の場を創出する水辺空間を整備し、地域の活性化につなげていこうという取り組みです。水辺は、その使い方によって、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。地域の資源をみんなで生かし、地域の「顔」そして「誇り」となる水辺空間の形成を目指し、国土交通省の支援を受けながら「かわまちづくり」を推進してまいります。
今年度は、お休み処兼物産販売所と番小屋の新設、観光トイレのリニューアルを実施し、ライトアップ設備も新たに設けます。さらに来年度以降には、蓬莱橋左岸の橋のたもと(高水敷:こうずいじき)に、駐車場やイベント広場などを整備する計画です。左岸側の整備完了後は右岸側の整備へと移り、その後、島田市博物館前の高水敷へと整備箇所を広げてまいります。
水辺空間整備後は、観光客はもちろんのこと、市民の皆さんにも大井川とその自然に触れ合える憩いの場やふれあいの場として活用していただければと考えております。また、オープンカフェや軽トラ市、工夫を凝らしたイベントの開催など、多くの皆さんに関わっていただける場所を目指してまいります。まずは、来春の観光シーズンをご期待ください。

財政破綻してから10年経った夕張市から学ぶこと(平成29年9月号)(平成29年9月19日掲載)

皆さんは「北海道夕張市」と聞いて何を連想するでしょうか。先月、夕張市を訪ねる機会があり、そこで出会った市民の皆さんから「財政破綻は、市民が目覚めるきっかけだった」「今じゃ、市民が市長(36歳)の親代わりみたいな気持ちで市政を応援してる」という話を次々聴いて、心を揺さぶられました。今月は、夕張市の現状を通して、人口減少、超高齢社会を迎える日本の将来、そして地方の課題を考えてみたいと思います。
かつて炭鉱の街として栄え、約12万人が暮らした北海道夕張市。11年前の2006年6月、税収8億円のまちが353億円もの赤字を抱えて前市長が財政破綻を表明。人口は現在8,538人(7月末)、高齢化率は道内最高の50.05%(5月末)。260人いた市職員は100人に減り、給与も4割カット。市長の月給は、7割カットの約26万円。破綻当時「支出は、命にかかわること以外は全部削る」というスタンスでしたから、住民税など市民負担を最高額に引き上げる一方、市の出先機関や図書館などの公共施設、観光施設を次々に閉鎖。
地域医療を担っていた市民病院は、規模を縮小して診療所になり、171床あった病床はわずか19床に。子育て支援や福祉サービス、各種補助金も相次いで打ち切りました。小学校は6校を1校に、中学校も3校を1校に統合。児童数は破綻前のほぼ半数に減り、スクールバスがないため、児童の6割が一般客と一緒の路線バスで通っています。島田市の2倍以上の面積に相当する763平方キロメートルの市域に、小中学校がわずか1校ずつです。
夕張市は破綻した当時、353億円の借金を18年間で返済する計画を立てました。訪問時、返済額は118億円、残り235億円だと伺いました。今年からは「財政の再建」だけではなく、地域の再生や人口の減少を食い止める施策をしっかり加速させ、これまでの再建計画を抜本的に見直し、新たな財政再生計画を策定したいと、鈴木直道(すずきなおみち)市長は力強く語っておられました。
緊縮財政一辺倒を見直して方向転換をしなければ、まちはますます疲弊してしまいます。121戸ある夕張メロン農家の売上高は、昨年度23億2,500万円。夕張応援のために大手企業も進出してきています。現在の夕張市民からは「市民負担を軽くしてほしい」「水道料金が高すぎるから安くしてほしい」という声は、全く出なかったといいます。次世代への投資を求める声ばかりだったことが印象的です。不思議なもので、大きな課題ばかりの現場には、自分の力が役立てられるのではないかと、寄り添う人たちが外から集まってきます。市民も、今まで当たり前にあった行政サービスが削られ、不自由な生活を強いられるうちに「自分たちで何とかしなければ」「一緒にやろう」という、まさに「協働のまちづくり」への思いが強くなっていったように感じました。身内のことを考えるように、わがまち島田を大切に思う市民を増やしていきたい。「市民力」が、島田市の未来を創ります。

新しい副市長2人を紹介します(平成29年8月号)(平成29年8月28日掲載)

島田市議会6月定例会にて、「副市長の2人体制化および副市長の選任」について市議会議員全員のご賛同を賜り、去る7月12日付けで萬屋正(まんやただし)と牛尾伸吾(うしおしんご)に辞令を交付しました。今月は、副市長を2人体制とした私の抱負と事務分担などについて、ご説明いたします。

市長一期目を「土台づくり」と表現するなら、二期目は具体的な成果を目に見える形でお示しする4年間になると考えています。当市は、新島田市民病院建設、賑(にぎ)わい交流拠点の整備、旧金谷中学校跡地の利活用、市役所周辺整備の検討など、予算も時間もかかる重要な事業をいくつも抱え、かつ人口減少・超高齢社会の到来という大きな行政課題に直面しています。その中で私が実感したことは、渉外にあたる推進力「地域づくり」と、行政内部をまとめる力「市役所づくり」の両方をパワーアップしなければ、市はポテンシャルを発揮できないということです。そのためには、優れた見識を持ち、市長の方針決定や政策判断を補佐する人材が必要です。

2人の副市長は、「地域づくり」と「市役所づくり」を分担し、戦略的な課題については連携して政策実現に取り組んでもらいます。そうすることで、政策的課題にスピード感をもって対応し、これまで以上にトップセールスにも力を入れられると考えています。

では、副市長の2人を紹介します。

主に「市役所づくり」を担う萬屋正は、財務省大臣官房で事務次官秘書、主計局で主計官補佐や主計事務管理室長などを歴任し、この6月までは内閣府政策統括官付参事官を務めていました。長い経験に裏打ちされた、財務・財政分野における萬屋の見識は、今後さらに厳しさを増すであろう当市の財政状況を踏まえた、効率的かつ重点的な行財政運営に大きく寄与するものと期待しています。

主に「地域づくり」を担う牛尾伸吾を紹介します。昭和53年に島田市職員として採用後、経済部や建設部へ配属。空港振興課長、都市計画課長、スポーツ・経済部長、市長戦略部長を歴任し、この6月まで島田市理事を務めていました。当市における豊富な行政経験をもち、とりわけ都市政策や経済政策の分野に明るい牛尾には、今後重要な局面を迎える「新東名島田金谷IC周辺の賑わい交流拠点整備」などの重点プロジェクトへの手腕を期待しています。

2人はともにユーモアがあり、気さくで温厚な人柄です。積極的に現場へ出向き、皆様との語らいを大切にしてまいりますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

子育て世代に選ばれるまち島田を目指して(平成29年7月号)(平成29年7月21日掲載)

~上の子が何歳でも保育料は2人目半額3人目以降無償化を実現~

去る5月29日より二期目の任期がスタートしました。引き続き、島田市のために尽力できることを大変誇りに思うと同時に、改めてその責任の重さを痛感し、市民の皆様からの期待と信頼に応えられるよう、全力を傾ける所存でございます。「市政羅針盤」も継続しますので、ご愛読のほどよろしくお願いいたします。

さて、いま我々が抱える最大の課題は「人口減少」です。長い歴史の中でも経験したことがないような急激な人口減少、少子・超高齢社会という大きな課題に直面し、これにどのように歯止めをかけ克服していくのか、地方創生の名の下で各自治体の力が試されています。

市でも、2060年に8万人の目標人口を掲げ「島田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、子ども・子育て施策や移住・定住、シティプロモーションなど、多層的で広範囲におよぶ魅力あふれる事業を展開してきました。

この成果が、昨年度の人口の社会動態(転入者数と転出者数の差)に結びつき、平成18年度以降転出超過だった数値が、11年ぶりに「プラス75人」に転じました。さらに、県内第2位の移住者数を数えたことは、当市の総合力が発揮された結果であると考えます。

しかし、これに満足して歩みを止めてしまうわけにはいきません。さらなる人口減少対策として、本年9月から、保育料の「2人目半額、3人目以降無償化」を実現いたします。上の子どもの年齢や世帯の所得による制限は、設けません。

子育て世代の負担軽減による合計特殊出生率の上昇や定住促進、さらには市外からの子育て世代の転入増加を図ることを目的とし、若い世代に配慮した優しい施策として、島田市が誇る既存の優れた子育て施策との相乗効果を高めていきたいと考えております。

なお、実施期間については、第二次島田市総合計画前期基本計画の期間に合わせることとし、終了年度の平成33年度までに、出生数やそれに対する第2子・第3子の割合、さらには子育て世代の転入・転出者数などの実績から効果を検証し、継続について判断する予定です。

保育園の待機児童対策については、本年10月に、0~2歳児定員60人(総定員72人)の「島田ゆりかご保育所」が向谷に開園を予定し、市内3幼稚園も来年4月の認定こども園化を目指して、施設整備を進めています。これらの整備により定員は現在より266人拡大され、来春には、待機児童問題は解消できると見込んでいます。

バス路線を考える!コミバスの「秘密」教えます(平成29年6月号)(平成29年7月3日掲載)

コミュニティバス(以下、コミバス)の利用について「便数を増やしてほしい」「路線を見直してほしい」「もっと使い勝手が良い運行時刻に変えてほしい」などの意見が寄せられる一方で、「廃止したほうが良い」という意見も寄せられます。そこで今月は、コミバス路線の現状と新たな移動手段の構築について、皆様に知っていただきたいと考えました。

平成15年の運行開始以来、平成27年までの12年間で約22億円以上の費用を費やしてきました。この間の利用者数累計は約451万人です。しかし、これを通勤や通学で毎日使う方のみだと仮定すると、767人しかいないことになります。月1回以上利用する方を推計すると、約3,400人という結果でした。コミバスに係る年間経費2.4億円をこの乗車数で割ると、一人当たりの運行経費は約7万600円となります。ゴミ処理に要する経費が市民一人当たり年間約1万4,300円ですので、バス運行には多額な経費が必要であることが分かります。また、バスを1往復増やすごとに年間で最大630万円の経費が増えることになります。バスを小型化すればよいという意見もありますが、主な経費は運転手の人件費ですので、必要経費はほとんど変わりません。

コミバスが朝夕の通勤・通学はもちろんのこと、高齢者や障害をお持ちの方にとっての通院や買い物などの移動手段として、大切な交通手段であることは確かです。しかし、多様化する市民ニーズや全ての利用者の事情を考慮して、バス路線を維持していくことには限界があることを、ご理解いただけるとありがたいです。コミバスの見直しは、公共交通として将来にわたり持続可能なバス路線の維持を目的に行いました。今年度も、市民の皆様にとって使いやすいバス路線となるよう、運行時間の改善などに努めております。バス路線の改善だけではなく、ワゴン車の貸出しやガソリン代・保険代などの必要経費を行政が負担する地元住民(NPO等)主体の自主運行バスやデマンド型乗合タクシーなども、新たな移動手段としての選択肢となります。これからも、地域交通のあり方を地域の皆様と一緒に考え取り組んでまいりますので、ご協力をお願いします。

また最近では、自動車運転免許証返納者へのタクシー券やコミバスの乗車券などの助成についても、皆様からご要望をいただいております。市としては、従来から免許を持たない方に対して不公平感が生じないよう配慮しなければならないことや、仮に75歳以上の方に月1回片道1,000円(往復2,000円)のタクシー券の助成をした場合には4億円以上の費用が必要になるなど、解決しなければならない課題があります。そうした課題を市民の皆様と一緒に解決するために、生活安心課では「コミバスの秘密教えます」の出前講座を実施しております。どこへでも馳せ参じますので、ご活用ください。

川根温泉メタンガス発電開始!新エネルギー先進都市へ成長(平成29年5月号)(平成29年5月15日掲載)

この4月から、川根温泉を舞台にメタンガス発電が始まりました。川根温泉ホテルに電力を供給し、回収した排熱は「川根温泉ふれあいの泉」の給湯設備に供給します。この発電で、川根温泉ホテル消費電力の約6割(1日平均1,800kwh)が賄えるようになりました。

川根温泉の源泉からは、メタンガス85%を占める天然ガスが毎時約30m3噴出しています。これまでは大気中に放散していたメタンガスを新エネルギーとして活用することで、川根温泉施設のランニングコストの低減だけでなく、地球温暖化防止や災害時の電力確保も図られます。軽減された光熱水費相当分は、指定管理者から市に納入していただき、発電設備の維持経費、次回機器更新費用に充当する予定です。

温泉付随ガスを利用した発電システムの導入事例は全国的にも少なく、改正鉱業法による特定区域制度において採掘権を取得した全国初の事例となるため、他市町村から視察が相次いでいます。今後は、環境教育の視察地としても誘客が期待できることでしょう。採掘権の取得までに3年を要したこの事業が、新たなエネルギーマネジメントの先駆者としての地位を確立し、今後は「環境」と「観光」の両面から川根地域が全国的に注目を集めることになります。

市内では、すでに伊太地区において、小水力やメガソーラー発電施設が設置されているほか、田代環境プラザで「ごみ焼却廃熱式発電」を実施するなど、エネルギー創出の多様化を図ってきました。さらに、今年2月には新東海製紙(株)が大規模な木質バイオマス発電施設を本格稼動し、これまで、県内トップクラスを歩んできた本市は、国内有数の新エネルギー・再生可能エネルギー推進都市へと成長します。島田市は、これらの取り組みを全国に向け広く発信していくと同時に、省エネルギーをはじめとする地球温暖化対策に積極的に取り組んでまいります。

このように「環境」を重点施策の一つに掲げる島田市は、温室効果ガスの排出量を削減し、低炭素型の製品やサービス、ライフスタイルを“賢く選択”していく、国が掲げた「COOLCHOICE(クールチョイス)」を宣言しました。このまちの賢い選択は、地球の未来をも変えることができると考えています。市のホームページでは、市ふるさと大使の別所哲也(べっしょてつや)さんにご協力いただいた「島田市COOLCHOICE宣言」をご覧いただけます。

島田市民病院平成32年度開院を目指して!基本設計完了(平成29年4月号)(平成29年4月17日掲載)

3月末、新病院の基本設計が完了しましたので、今回は、基本設計の概要と概算事業費について、ご説明いたします。

はじめに事業費ですが、医療機器などを含めた総額で241億円を見込んでいます。内訳としては、本体建設工事や外構工事・軟弱地盤対策などに約196億円、医療機器など施設整備費に37億円、設計・工事監理費等に4億円、水路の付け替えなどの土地関連費に約1億円、その他、移転費用などに約3億円、合計で241億円となります。基本計画時の247億円と比べ、総額では6億円の削減となっています。建設工事全体では13億円のコストダウン、医療機器も約4億円の見直しを行い、事業費の抑制に努めましたが、既存の救急センターの改修費や浄化槽などの外構工事が増額となりました。

新病院の建設計画は、7つの整備方針に基づいています。

  1. 救急医療に迅速に対応できる病院として、地上7階建ての屋上にヘリポートを設置し、救急専用大型エレベーターで救急、手術、重症室へ直結。救急医療の強化を実現します。
  2. 1・2階の外来・検査部門がひと目で見渡せる広い通路を確保し、患者さんに優しく、わかりやすい病院を実現します。
  3. 駐車スペースは、現在の913台から1,000台に拡張し、広いロータリーを整備します。庇を備えた「子育て支援駐車場」も設ける予定です。
  4. 南海トラフ地震等を想定し、災害拠点病院としての機能を強化します。
  5. 将来的にエレベーターの設置を可能とするフレキシブルシャフトを各病棟に配置し、医療需要の変化に対応できる建物とします。
  6. 省電力・長寿命の照明の採用、節水型衛生設備等、環境やライフサイクルコストに配慮します。
  7. スタッフ専用の通路や職員の交流・休憩スペースを整備するなど、職員にとっても働き甲斐のある病院を目指します。

設計に際しては、華美や過剰なものは排して、軟弱地盤対策や免震装置など、真に必要な整備などに特に配慮するとともに、病院職員の意見を反映し、患者さんにとっても医療者にとっても利用しやすく、使い勝手のよい病院となるよう工夫しました。

新年度は実施設計へと進み、29年度後半からは準備工事が始まります。重点プロジェクトがいよいよ具体的に動き出す段階になってまいりました。市民の皆さんのご期待に添えるよう、総力を挙げて、平成32年度開院を目指してまいります。市と病院のHPで新病院のイメージ動画を配信しています。ぜひ、ご覧ください。

東京2020五輪モンゴルボクシング選手団事前合宿決定!(平成29年3月号)(平成29年3月15日掲載)

モンゴル国ボクシング選手団の東京2020オリンピック事前合宿地に島田市が決まり、3月8日にモンゴル国と覚書を締結しました。同国は、昨夏のリオデジャネイロオリンピック・ボクシング競技でライト級の選手が銅メダルを獲得するなど、ボクシングの強豪国として知られています。今月はこれまでの経緯と、事前合宿誘致を地域活性化に生かすという視点でお話しします。

島田市は、平成23年からモンゴル国ウランバートル市ナラン外国語学校と市内の小中学校との交流を行っており、毎年10月から11月にかけて、同外国語学校の生徒と引率教師の皆さんを受け入れる交流を続けてきました。この交流を支えてくださっているのが「島田市国際交流協会モンゴル友好委員会」です。今回の合宿誘致についても、友好委員会の皆さんに大変ご尽力をいただきました。この場をお借りして、厚くお礼申し上げます。

こうした交流の素地があることと、静岡県とモンゴル国とが強い友好関係にあり、「モンゴルの事前合宿は静岡県内で引き受けたい」という知事の意向もあって、県の後押しをいただき、2月16日にモンゴルの教育・文化・科学・スポーツ大臣ら一行が、事前合宿の拠点となる市総合スポーツセンター「ローズアリーナ」を視察されました。視察後、市役所での会談において「ぜひ事前合宿地に島田市を選んでいただきたい」という私からの要請に、大臣は「すでに島田を選んだ。素晴らしい施設で今日にも覚書を締結できるほどだ」と即答いただき、今回の覚書調印につながった次第です。今後は、モンゴル国ボクシング選手団がオリンピックで輝かしい結果を残すことができるように、全力で支援してまいります。

今回の覚書の締結を受けて、国に「ホストタウン」の申請をします。ホストタウンに登録されることにより、施設改修、多言語化対応、ユニバーサルデザイン化、交流事業などに国から有利な財政措置を受けられるようになります。この財源を活用して、「ローズアリーナ」メインアリーナの空調設備を整備するとともに、ユニバーサルデザイン化や多言語化対応なども推進してまいります。また、合宿誘致を機に、外国語に親しむ市民が増え、交流することで共生を学び、国内外からの合宿のまちづくりにつなげていきたいと考えています。

結びになりましたが、市では、もう一つの合宿誘致、シンガポールの卓球選手団事前合宿誘致も、全力を挙げて取り組んでまいります。

「音にきこゆる刀剣のまち島田」で観光を盛り上げる(平成29年2月号)(平成29年2月15日掲載)

島田市は、室町時代から江戸時代に至る400年間、鍛冶集団が活躍する「刀剣のまち」であったことをご存知でしょうか。「嶋田の町、是れ又、音にきこゆる鍛冶の在る所…」と、16世紀の古文書にも記されており、往時の街道には、世に知られた刀鍛冶のカン、カン、カンという相槌の音が響いていたことでしょう。

そもそも、島田宿と金谷宿の周辺には、刀の精錬に最適な炭(相賀の赤松林)と良質な砂鉄(大井川)があり、金谷の「金」は砂鉄を意味するともいわれます。室町時代から安土桃山時代には、御手杵の槍を作った島田鍛冶の鍛冶頭「義助」、さまざまな作風を使いこなした「助宗」、今川義元の下で活躍した「元助」、豪壮な刀を得意とした「広助」など、代表的な刀鍛冶が生まれています。

戦国時代になると、京にまで島田鍛冶の名は轟き、北条・武田の両家からも作刀を依頼され、徳川家康の脇差にも島田鍛冶が選ばれました。江戸時代に入って平和が訪れると、戦で使う量産品の刀を多く作っていた島田鍛冶の経営は大きな打撃を受けましたが、戦国時代以来の由緒を守りつつ、島田の地で作刀を続けていました。しかし、その成り立ちには不明な点が多く、市では、わずかに残った史料を手がかりに島田鍛冶のルーツや実態に迫るべく調査を進めました。

現在、その成果を企画展「島田の刀鍛冶と天下三名槍」として、島田市博物館で紹介しています。今回は、代表的な刀工義助、助宗、広助たちの槍・刀・剣、そして秋葉山本宮秋葉神社に奉納された刀剣、また武田信玄が所持していたと伝えられる助宗作の「おそらく造り」の短刀など、島田鍛冶ゆかりの刀剣三十数点を展示しています。さらに、見逃せない展示として、天下三名槍といわれている「蜻蛉切」「日本号(写)」「御手杵(レプリカ)」の展示が2月25日(土)から3月5日(日)まで(27日(月)休館)、期間限定で実現します。三名槍が揃うのは、全国初の試みです。

刀剣ブームの昨今、この8日間に全国から約1万人の観光客が訪れると見込んでいます。単に博物館の企画展に留まらず、関係諸団体の皆さんと連携して、観光客がまちなかを散策する工夫を凝らし、「刀剣のまち島田」を売り込んでいきたいと考えています。今後は「刀鍛冶のまち島田」「刀剣のまち島田」のブランド化に力を入れて育てていきます。ぜひ、この機会に皆さんも博物館へ足を運んでいただき、刀工たちが歴史に残した鋼の輝きを通じて、島田の歴史と文化、その誇りを感じていただければ幸いです。

最終処分場の今後について(平成29年1月号)(平成29年1月13日掲載)

今月は、今年3月末日をもって処理灰の搬入を取りやめることになった最終処分場(初倉)について、これまでの経緯をご説明いたします。

島田市が静岡県知事の支援要請を受け、東日本大震災で生じた岩手県山田町の災害廃棄物(木材チップ)を率先して受け入れたのは平成24年2月15日でした。この件で、最終処分場の一部地権者から訴えられていた「土地明渡等請求事件」の判決が下りたのは平成27年7月31日です(判決は市側の敗訴)。市は円満解決のため控訴をしないこととし、原告地権者の皆さまと協議することにしました。

市といたしましては、市民生活を第一に考え、少しでも長く最終処分場を継続使用できるよう、判決後も、誠心誠意、地権者の要望を聞きながら交渉に当たってまいりました。具体的には、処分場を掘り起こして、放射線量を再度測定しましたが、その数値は島田市内から出る一般家庭ごみと同程度でありました。地権者の要望に応じて、同処理灰を埋めた場所を特殊なシート(ゼオライトシート)で覆うこともしました。そうした調査・説明・工事など、さまざまな対応をした結果、多くの地権者の同意を得られたものの、判決どおりに土地の返還を求める地権者もいらっしゃいました。地権者全員の承諾がなければ、平成29年3月31日で切れる静岡県の許認可の更新(継続申請)ができないことから、県へ届け出ている同処分場の廃棄物埋立終了期限である同日をもって、搬入を断念することとしました。

新しい最終処分場建設については、平成26年度から調査を開始しましたが、現在のところ適地は見当たらず、当面の間は、外部委託を行うのが妥当であるという結論に至りました。外部委託は、現状では、自前で最終処分場を建設する費用に比べ低コストです。周辺の藤枝・焼津・牧之原市、吉田町も外部委託を実施しています。長期的には、自前で持つ有用性もあることから、引き続き並行して新最終処分場の候補地について調査・研究してまいります。

結びに、昭和50年代からこの土地を使用させていただいた地権者の皆さま、そして、地元の皆さまに心より感謝申し上げ、報告とさせていただきます。

「おび通り」を都市公園に!賑わい創出の場をつくる(平成28年12月号)(平成28年12月15日掲載)

島田市の中心市街地は、区画整理により道路や公園などの基盤整備が進みましたが、「おび通り」ではイベント開催時以外の賑わい創出が課題でした。この大きな理由は、「おび通り」が市道認定された道路であり、フリーマーケットひとつ開催するにも、出店する皆さんが、それぞれ道路使用許可申請書を提出しなければならないという手間のかかる手続きがあったからです。

この「おび通り」に賑わいを創出するにはどうしたらよいかが、私の長い間の懸案事項でした。考えた末の結論は、用途指定を見直すこと。静岡市の「青葉イベント広場」のように利活用できれば、交流人口が増え市内外の皆さんに活発な活動をしていただける場所になるのではないかというアイデアが浮かびました。しかし、道路は繋がっていてこそ道路であり、一部分だけを市道認定から外すことは道路法上難しいのが実情でした。

その打開策が、市道認定はそのままにして新たに都市公園として二重指定し、道路と公園の両方の機能を有する場所にすることでした。すでに市民の皆さんの活動実績がある中、賑わいを創出できるポテンシャルが高い場所として警察のご理解をいただき、関係機関との協議を進め「おび通り」という公共空間を生かす環境が整いました。12月中には、区域内のさらなる安全確保のために、5カ所で車止め設置工事を行います。

今後は、公園を管理する市への簡単な申請だけでフリーマーケットや骨董市、マルシェやワークショップなどが開催できるようになります。現在、定期的に催しができるよう商工課の職員が中心となり、関係者の皆さんと調整をしています。毎週末、「おび通り」に行けば何か楽しいことをやっている…、そんなワクワクできる公共空間に育てていければと考えています。

市では、必要なハード整備と利活用に関する規制などのハードルを低くすることにより、利用する皆さんの活動が活発になるお手伝いをしていきます。これにより、まちなかに人通りを増やし、周辺の空き店舗の利活用などを促進し、おび通り周辺を軸とした新たな賑わい創出を図っていきます。

また、「おび通り」だけでなく、「駅前緑地」を中心として始まった市民活動「シマダ駅前サンカク公園プロジェクト」についても、積極的に支援していきたいと考えています。「おび通り」や「駅前緑地」をもっと楽しく、もっと身近な場所に、そして、駅から市街地への人の流れを創ることを目指してまいります。

ボランティアに支えられ目指せ日本一のマラソン大会!(平成28年11月号)(平成28年11月18日掲載)

1万人を超えるエントリーがあった「第8回しまだ大井川マラソンinリバティ」は、今年も数々の感動を残して、10月30日(日曜日)に無事終了しました。今月は、本大会の魅力と「市民マラソン日本一」を目指す、市の取り組みについてお伝えします。

本大会の最大の特徴は『制限時間7時間。途中関門なしで河川敷マラソン専用コースリバティ』を走ること。ベテランは記録を狙い、初心者は完走を目指す絶好のコースとして定評があります。
ほかにも、

  1. 出店約60ブースの『ふれあい交流イベント』&『ステージショー』
  2. 長時間走ったランナーの空腹を満たす『大エイドステーション』
  3. 市民との交流の場『しまだ乾杯タウン』
  4. 富士山静岡空港を利用したランナーに『往復1万円の航空運賃補助』
  5. フルマラソン完走サポート『しまだ大井川マラソン完走塾』
  6. 『島田駅前お土産市』

など、ランナーと市民の交流を通して島田を全国発信し、地域活性化につなげる取り組みを続けてきました。その結果、日本を代表する大会として「全国ランニング大会100撰」に7年連続で選ばれています。

こうした取り組みができるのは2,000人にも及ぶ市民や企業のボランティアが支えてくださるおかげであり、心から感謝申し上げます。例えば、7時間ぎりぎりで完走し足を引きずりながら着替えの荷物を受け取りに来るランナーに、遠くからゼッケン番号を確認しその人の荷物を持って走り寄る高校生ボランティアの姿。大エイドステーションでは一人ひとりにねぎらいの言葉を掛けながら温かい食べ物は温かく、冷たいものは冷たく提供する心遣い。ぬかるみの中、ひざまずいて靴についている計測チップを外す中学生の姿に心打たれたこともあります。こうした島田市民の「おもてなしの心とその文化」が全国各地から訪れるランナーに高く評価されているのです。

既に、「おもてなし」では日本一の大会と自負していますが、総合力で日本一になるには、シャトルバス・駐車場・トイレ等の更なる整備、完走後も島田市に滞在していただける創意工夫など、毎年、改善を重ねて進化していく姿を参加者に実感していただくことだと考えます。今年からは、ランナーに市内のお寺や公民館等へ民泊していただく取り組みも始めました。引き続き、地域の皆さんと一体となって、全国有数の市民マラソン大会に育ててまいります。

大地震!耐震性のない木造住宅が市内に7,000戸(平成28年10月号)(平成28年10月14日掲載)

市民の生命と安心安全な暮らしを守ることは、行政の第一の務めであります。これまでも、原子力災害広域避難計画を県内でいち早く策定し、広域消防を実現させ、防災ベッドや屋内耐震シェルターのほぼ全額補助を実施するなど、災害対応力アップを図ってきましたが、さらなる防災力向上には、市内全域で住宅の耐震化率を上げる取り組みが必要です。

南海トラフ地震の発生が懸念されている中、皆さんのご自宅や店舗、工場がある場所の予想震度をご存知ですか。県の第4次地震被害想定によると、市内全域の約1%が震度7、約75%が震度6強に見舞われるという予測が出ています。市のホームページなどで予想震度を公開していますので、一度、調べてみてください。

また、当市に津波の心配はありませんが、地震の揺れで倒壊する危険性が高い木造住宅が約7,000戸あることが課題です。木造住宅密集地では建物倒壊による火災発生が危惧され、避難時の道路をふさぐ、隣家に被害が及ぶなど、二次被害のリスクが高まります。

平成7年に発生した「阪神・淡路大震災」では、旧耐震基準(昭和56年5月以前)により建設された木造住宅に倒壊被害が集中していたことから、法律が改正され「震度6~7で倒壊しないこと」が現在の耐震基準になっています。平成28年3月末の当市の耐震化率は、目標値90%に対して79.2%。目標値に届かない理由として、年金生活者には耐震工事代金の負担が重くのしかかることが推察されます。

そこで、住まいの耐震補強補助金を一般世帯60万円、高齢者世帯80万円に増額しました。これは、県内トップクラスの高い補助率です。同時に、事業期間を平成32年度まで延ばして、住宅耐震化率の向上を目指します。

昨年度は、旧耐震基準で建築された住宅284戸に市職員が直接訪問し、耐震補強の必要性や補助制度を説明して回りました。また、これまでに約4,700戸の対象住宅に文書により案内をしています。今後も、戸別訪問を継続しますので、皆さんのお宅へ伺うことがあれば、ぜひ職員の説明を聞き、疑問や質問をぶつけてみてください。その際は、島田市職員であることの確認もお忘れなくお願いします。

他にも、ブロック塀の撤去や生け垣作り補助金などもありますのでご相談ください。地域総ぐるみで災害に強いまちを造るために、皆さんのご協力をお願いします。

これからの「公共施設のあり方」を考える(平成28年9月号)(平成28年9月16日掲載)

今月は、市民共有の財産である公共施設の将来について、皆さんとともに考えたいと思います。

学校や病院、道路や橋りょう、上下水道といった市民生活や社会経済活動を支えるさまざまな公共建築物やインフラは、高度成長期以降に全国的に集中して整備されました。島田市の場合は、昭和50年代に建築された施設が多く、特に昭和58年には、プラザおおるりのほか、小学校6校、中学校1校の校舎や屋内運動場など、多くの建物が一挙に整備されました。当然のことですが、一斉に整備された施設は一斉に更新時期を迎えます。

こうした中、今年3月には、公共施設に関する課題に対処するための基本方針「島田市公共施設等総合管理計画」を取りまとめ、将来の人口や財政の予測をもとに「将来どれだけ公共施設をもてるか」の目安などを示しました。平成27年3月末の時点で、島田市は276施設(663棟)の公共建築物や総延長1,137キロメートルの道路、1,155本の橋りょうなどを保有していて、これらを維持・修繕・更新するには、今後40年間でおよそ2,515億円の費用がかかると試算されています。年平均にすると63億円となり、現在の年間費用(36億円)と比べ1.75倍にもなる金額です。

次世代に過度な負担を強いることなく、ニーズに見合った行政サービスを将来にわたり安定的に供給し続けるために、今後は公共施設等の

  1. 品質の適正化
  2. 保有量の適正化
  3. 管理費の適正化

を推進していかなければなりません。

特に、公共施設は初期投資よりもその後の維持管理に多くの費用がかかるということに着目し、今あるものを今後どのように活用するのかを考えることが重要です。すなわち「新しく造ること」から「賢く使うこと」へのシフトです。

具体的には、適切な維持管理と修繕を重ねて公共施設を長持ち(長寿命化)させると同時に、例えば毎年約3?4億円かかっている光熱水費の見直しなど、日常的な維持管理費の削減に全庁一丸となって取り組みます。

市民の皆さんにも、これからのまちづくりに貢献する公共施設のあり方を、楽しく前向きに考えていただけるとうれしいです。

昨年11月に実施した市民アンケート調査では、「過去1年間に一度も使っていない」という回答が8割を超える施設が半数にのぼり、ユーザーがやや固定化されている傾向がうかがえました。多くの皆さんに、公共施設を活用いただくことを切に願っています。

街路樹の落ち葉は迷惑ですか?(平成28年8月号)(平成28年8月12日掲載)

立秋が過ぎてもまだまだ暑い毎日です。緑生い茂るこの季節に晩秋の話題で恐縮ですが、今月は、市内の街路樹の剪定と落ち葉の問題についてお話しします。

毎年、秋口になると、「街路樹の落ち葉が側溝や雨どいに詰まる前に、枝を落としてほしい」「落ち葉で滑って転んだらどうする」など、市民の皆さんから多くの苦情が寄せられます。一方、「枝を全て落として鉛筆のようになった街路樹を見るのは忍びない」「葉っぱ一枚残さず落としてしまうのが剪定なのか」などというご意見も、市長への手紙などで多く寄せられます。まちの「緑」は、市の文化力・市民力の表れと考える私は、毎年、皆さんの相反するご意見を複雑な気持ちで受け止めています。

例えば、当市の姉妹都市リッチモンド市がある米国カリフォルニア州は、降雨量が極端に少なく、人間が手を掛けなければ「緑」を維持できません。芝生も街路樹も、日々、住民が水やりをしています。ですから、街路樹の落ち葉に文句をいう市民はいないそうです。また、モンゴル国ナラン外国語学校から訪れた子どもたちは、島田の印象を聞かれ、「緑が多くて美しいまち」「こんなきれいなまちだと思わなかった」と表現しました。モンゴルは冬季の寒さが厳しく、やはり「緑」が少ないそうです。

街路樹を剪定する目的は、伸びた枝をただ切り落とすのではなく、樹木の健康を保ち都市の美観を守り育てるためです。「緑の景観のまちづくり」といってもよいでしょう。市は、樹木の寿命を延ばすために、5年に一度は強めの剪定(活性化)を実施しています。特に、プラタナスなどの根の張りが弱く強風で倒木しやすい街路樹は、強めの剪定を繰り返してきました。皆さんは、どのような印象を持たれますか。

市民の皆さんには多様な意見があり、全員一致の解決は難しいのが現実です。高齢化が進み、落ち葉清掃が地域住民の負担になっていることも分かります。だからこそ、議論を重ねる必要があると考えます。そうした中、市道横井御仮屋線の街路樹について、市と地域の皆さんで検討を始めました。今年度末には、その結論が出る予定です。

市民と行政が街路樹の必要性や維持・保全について考え、協議の結果、「街路樹はいらない」と地域の皆さんが判断されるなら、ツツジなどの低木に植え替えることも可能です。花壇にするという選択もあります。皆さんの地域のイメージや住み心地に関わる緑と街路樹の保全について、自治会などで話し合っていただけるとありがたいです。

中部電力(株)と浜岡原発をめぐる安全協定を締結しました(平成28年7月号)(平成28年7月15日掲載)

7月8日、中部電力浜岡原子力発電所(御前崎市)から半径31キロメートル圏内の緊急防護措置区域(UPZ)内にある5市2町と県は、中部電力(株)と安全協定を締結しました。今回は、協定締結までの経緯と浜岡原発をめぐる基本的な考え方を説明いたします。

UPZ安全協定締結をめぐる協議は、5市2町(島田・藤枝・焼津・袋井・磐田市と吉田・森町)の首長が中電との安全協定の必要性を話し合い、全会一致で協定締結の方針を決定した平成26年2月から始まりました。

当初、「1年以内に協定の締結はできる」と、ほとんどの首長が考えていたと思います。なお、安全協定に関わる5市2町の基本的な考え方は、次のとおりです。

  1. 県と御前崎・牧之原・掛川・菊川市(浜岡原発から10キロメートル圏内にある地元4市)が結ぶ協定および同解釈書の定めを尊重し、これを前提とする。
  2. UPZ安全協定は、県・地元4市の協定および同解釈書の定めに準じた内容とし、これを超えない。
  3. UPZ安全協定による体制は、県・地元4市の協定による体制に連動・連携する。

これを踏まえ5市2町では、県と地元4市が中電と結ぶ1の協定に準じ、「事前了解」の担保を中電側に求めて協議を続けてきました。「事前了解」とは、中電が原子炉施設の設置や変更などを行う際、事前に地元自治体に通報し協議することをいいます。県と地元4市が中電と結んでいる協定には、この規定がなく、付随の解釈書で実質的な事前了解を担保しています。つまり、昭和56年9月に締結されたこの協定を超えずに、5市2町が実質的な事前了解をどのように担保するかが議論の焦点でした。

島田市の場合、UPZ圏内に総人口の約9割が居住しています。特に初倉・金谷地区の一部は浜岡原発から20キロメートル圏内に位置しています。風向きによって被害想定が大きく変わるとはいえ、市民の安全・安心を確実なものとするために、実質的な事前了解を担保することは譲れない一線でした。

私は、議会などで「浜岡原発の再稼動は認めない」と発言しています。私たち周辺住民の安全が確保されない限り、今後も再稼動を認める考えはございません。浜岡原発に使用済み核燃料が保管され、処理方法の確立もされていない現状では、たとえ稼動していない状況であっても、安全協定の締結は必要なものと判断しました。

熊本地震の教訓と島田市の緊急対策事業(平成28年6月号)(平成28年6月15日掲載)

最大震度7を2度も記録した「熊本地震」では、「新耐震基準」に基づき建築された住宅でも1階部分が崩壊するなど、甚大な被害が発生しました。また、度重なる余震を恐れ、指定避難所以外で車中泊やテント暮らしを続けた人も多く、これまでにない大地震の経過をたどっています。犠牲となられた皆さまのご冥福をお祈りするとともに、被災地の一日も早い復旧を願ってやみません。

今回の地震では、耐震化の重要性があらためて浮き彫りになりました。平成25年住宅・土地統計調査によれば、島田市内の全家屋3万3,430棟のうち、耐震基準を満たしていない木造住宅は約7,000棟、住宅耐震化率は78.9%(県平均82.4%)となっています。

この現状と熊本地震を教訓として、地震発生時による住宅の倒壊から皆さんの命を守るべく、次の二つを市議会6月定例会に補正予算として提出しました。一つは緊急対策事業として、屋内耐震シェルター(限度額30万円)と防災ベッド・ベッドフレーム(限度額20万円)を設置するための補助金交付制度の新設です。この制度により、シェルターやベッドは、設置費用を含むほぼ全額を補助金で賄えるようになります。もう一つとして、住宅耐震補強工事に対する補助額を見直し、一般世帯の限度額は60万円、高齢者世帯などは80万円に増額いたします。これにより耐震補強工事に対する補助額は県内35市町の中でトップクラスの水準になります。

受け付けは6月議会での議決が前提となりますが、7月上旬から開始する予定です。なお、6月16日(木曜日)から屋内耐震シェルターと防災ベッドの現物をプラザおおるり西側通路に展示(1カ月程度)いたしますので、ぜひご覧ください。

いざというとき試されるのは、市民一人ひとりが自分の命を守るために全力を尽くす危機管理意識です。皆さんの中には「年金暮らしで、耐震補強工事なんてとてもできない。大地震が来たら、そのときはそのとき」と自嘲気味におっしゃる人もいますが、「助かる命は一人残らず助ける」という信念のもと、これからも島田市の防災・減災対策を推進してまいりますので、ご理解とご協力をお願いします。

※いずれの制度も、対象要件(昭和56年以前に建てられた耐震基準を満たしていない住宅など)がありますので、事前にご相談ください。(耐震シェルター・防災ベッド/危機管理課 電話番号 36-7143、耐震補強工事/建築住宅課 電話番号 36-7184)

市長就任3年を迎えて、公約の実施状況を公表します(平成28年5月号)(平成28年5月13日掲載)

早いもので市長就任から丸3年を迎えます。この間、常に10年先の島田を念頭に置いて時代の潮流を読み、「市民とともに創る開かれた市政」を目指して、その舵取りにまい進してきました。今月は、最近の所感と市長就任時に市民の皆さまとお約束した具体的な公約(マニフェスト)の取り組み状況についてお伝えします。

2年前、日本創成会議は、2010年からの30年間に20~39歳の女性人口が5割以上減少する可能性のある896自治体(全国の49.8%)を「消滅可能性都市」として発表しました。これをきっかけに、人口減少、東京一極集中、超高齢化社会などの問題がクローズアップされ、待ったなしの状況が明らかになる中、国の方針のもと「地方版総合戦略」の策定につながりました。急速な高齢化社会の到来は、社会保障費や医療費の急増に加えて、地域の活力を低下させ、コミュニティーの衰退による「自治会や町内会が維持できない」「役員になる人がいない」「組長の順番を回せない」などの課題を生じさせつつあります。

こうした状況を回避しマイナスをプラスに転じるには、これまで以上に地域(市民)と行政が協力して課題を解決し、誰もが健康で生き生きと暮らせる「健康長寿と協働のまちづくり」に力を注ぐ必要があります。それとともに、新たな雇用を生み出し、結婚・出産・子育てしやすい環境をつくり、若い世代の定住人口を増やしていかなければなりません。その具体策の例として、国道473号賑わい交流拠点・新東名島田金谷IC周辺・旧金谷中学校跡地などの整備事業の推進により、地域振興と交流人口の拡大に結びつけ、行政自身が「稼ぐ仕組み」を創ってまいります。

産業支援センターの設立も、その一環です。今後も柔軟な発想とスピード感をもって都市経営を担い、「行政は究極のサービス産業である」という自覚をもって諸課題の解決に全力を注いでまいりますので、ご理解・ご協力をお願いします。

結びに、市長就任時にお約束した30項目の公約について「市政への取組実施状況評価」を発表します。実施率93.3%、未着手のものはありません。項目ごとの達成率や取組内容、今年度の予算配分については、市ホームページまたは各支所・公民館などで閲覧ができますので、ぜひご覧ください。「公平・公正な市政の実現を目指す」「市政の透明性を確保する」といった観点からも、市民の皆さまにご報告申し上げます。

島田市産業支援センター「おびサポ」オープン!(平成28年4月号)(平成28年4月15日掲載)

今月12日、本通二丁目(島田信用金庫本店西向かい側)に、島田市産業支援センター「おびサポ」をオープンしました。このセンターは、産業の活性化を図ることを目的として市が設置し、島田商工会議所・島田市商工会・島田信用金庫などの関係団体とともに、オール島田で市内中小企業を支援するものです。私が就任時からずっと温めてきた構想であり、実現にあたり関係諸団体の皆さまのご協力に、心から感謝申し上げます。

有効求人倍率や設備投資などに景気回復の兆しが見えてきた今だからこそ、地場産業のてこ入れを図り、専門的なアドバイスや支援をワンストップで受けられる拠点を創ることに大きな意味があります。強い意気込みをもって頑張っている中小企業経営者や起業・創業希望者の皆さんのために、個別相談を柱としながら、定期的に各種セミナーや交流会などを開催し、自己啓発やスキルアップ、人と人、企業と企業の交流を推進してまいります。センターの役割は、具体的には次のとおりです。

  1. 地域産業支援機関との連携/商工会議所や商工会、県よろず支援拠点などと連携し、相談内容に応じた適切なアドバイスを実施します。相談内容によっては、さらに高度で専門的な支援が受けられるように専門家を紹介します。
  2. 経営相談/相談者の声に耳を傾け、思いをくみ取り、同じ目線での個別支援を重視します。販路開拓や新商品開発に対する国・県・市の補助金の紹介・斡あっせん旋と併せ、商工会議所や商工会の共済事業などの各種制度を活用した経営全般に関する相談・サポートを行います。
  3. 起業・創業支援/創業間もない人や起業を希望・予定している人の起業準備・設立・経営における課題解決を支援します。
  4. セミナー・交流会などの開催/さらなるスキルアップと新たな可能性を広げるための各種セミナーや地域産業の活性化を促進する講演会・交流会などを開催します。人と人、人と企業、企業と企業を結び付けるビジネスマッチングの場を提供します。
  5. 各種調査の実施・分析・提供/市内の景気状況や雇用・空き店舗などの情報の収集・調査を実施するとともに、ネットワークを生かした情報の分析・提供を行います。

相談は、月~土曜日の午前9時から午後4時まで。1件あたり1時間を目安とする事前予約制となっています。詳しくは、島田市産業支援センター(電話番号 54-5760)へ、お問い合わせください。

4月1日から静岡地域「消防救急広域化」がスタートします!(平成28年3月号)(平成28年4月14日掲載)

想定される南海トラフ巨大地震をはじめ、大規模・多様化する災害から住民一人ひとりの命と財産を守るためには、さらなる消防体制の強化・充実が必要であると考えてきました。

少子高齢化や人口減少、出動件数の増加、災害の大規模化、消防需要の複雑・多様化など、消防活動を取り巻く社会状況は、近年大きく変化してきています。また、現場では「救急・救助業務の高度化」や「初動体制の強化」のために現場要員の拡充が求められ、加えて大規模災害や特殊災害への対応に備えるなど、組織全体のレベルアップが求められるようになりました。こうした背景のなか、静岡地域(島田市・静岡市・牧之原市・吉田町・川根本町)は、さまざまな協議を重ねた結果、3市2町で新たな消防体制を整備することに合意しました。

広域化により、管轄人口約90万人、消防職員1,000人規模の消防本部が誕生します。多種多様化している災害への対応力がさらに強化され、より一層の住民サービス向上につながるものと期待しています。具体的な広域化の実施方法は、島田市・牧之原市・吉田町・川根本町が静岡市に消防事務を委託する方式となります。「委託したらすべてお任せなのか」と危惧されるかもしれませんが、市内に大規模災害が発生した場合は、島田市長が災害発生時初動から指揮命令を担い、静岡市消防局職員が市の災害対策本部員として従事することになりますのでご安心ください。

また、首長間のホットラインはもとより、年3回は各首長が集まり、現状と課題について協議を続けていくことになっています。市民の皆さんからは「119番通報を静岡市消防局で受信して島田の土地勘がわかるのか」というご心配もいただきますが、通報と同時に通報場所がモニターに映し出される上、島田市消防本部からもすでに6人の消防職員が指令センターで業務に就いていますのでご安心ください。

広域化後は、災害が発生した市町の消防署だけでなく、一元的な指揮の下で、3市2町の消防署からも必要な数の消防車両などが同時に出動することになり、早期に効果的な消防活動を展開できます。

また、消防ヘリコプターや特殊災害対応車両などを活用することで、林野火災、水難事故、大規模災害などにも幅広く対応できるようになりますので、ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。

公民館機能の強化・充実~公民館長に正規職員を配置~(平成28年2月号)(平成28年2月17日掲載)

早くも2月中旬となり、市民会館前の「帯桜」が咲きはじめました。全国にたった1本しかない早咲き希少品種の「帯桜」ですが、丹精込めた「接ぎ木」増殖によって、現在45本の苗木が育っています。このうちの10本を、新市誕生10周年記念事業の一環として、先月、中央公園の日本庭園と花見の丘に植樹しました。20年後には、春到来を帯桜の開花で感じていただけるよう、市内全域に植樹を広げてまいります。

さて、今月のテーマは「公民館機能の強化・充実」です。私は就任前から、公民館を「地域課題解決の拠点」「市民活動の拠点」「情報ネットワークの拠点」として、その機能を充実させたいと考えていました。この考えを3年目の春を迎えて実現できる運びとなりましたので、4月からの公民館運営の構想を報告させていただきます。

六合公民館と初倉公民館長には、係長級の正規職員を1人ずつ配置し、社会教育課・協働推進課・行政サービスセンター(市民課)3課の係長を兼務させ、公民館業務の一元化と機能強化を図ります。

これまでの公民館は、施設利用管理や社会教育講座をはじめ、図書の貸し出し、児童センター、放課後児童クラブ、包括支援センター、デーサービス、地域連携室など各担当課が業務を行う建物として運用してきました。しかし今後は、公民館長が施設管理者として、これらの業務を連携することで、より効果的に運用していきます。さらに地域のコンシェルジュ(案内役)として「地域との連絡調整」「地域課題の共有と解決に向けた取り組み」「協働事業の展開」など、行政と地域との橋渡しとなる「プラットフォーム」(交流拠点)の機能を担っていくことになります。

島田市は、刑法犯認知件数(4.8件/人口1,000人)や離婚率(1.3件/人口1,000人)が、県内23市で一番低く、安全安心で暮らしやすいまちです。しかし市内を見渡せば、わずかな年金を頼りに暮らしている高齢者が増え、世代を問わず一人世帯が増加し続けています。ぎりぎりの生活費で暮らす家庭があるのも現実です。

このような厳しい市民生活から目をそらさず、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるまちづくりを推進するためには、地域力の育成が欠かせません。公民館機能の強化・充実が地域力向上につながるように、行政も力を尽くしてまいります。

館長となる職員は、どっぷり地域に浸かって人とのつながりを強め、知識を吸収し、皆さんに育てていただくことになります。どうぞよろしくお願いいたします。

子どもの貧困を救うために、いま私たちにできること(平成28年1月号)(平成28年1月15日掲載)

「笑う門には福来る」と申しますが、本年も皆さんにとって幸多き一年であることを願いながら、心新たに市政羅針盤をお届けいたします。

近頃、「子どもの貧困率」という言葉をよく耳にするようになりました。今月は、島田市の状況と私たちにできることについて考えてみたいと思います。

厚生労働省の発表によれば、平成24年の「子どもの貧困率」(18歳未満)は16.3%であり、およそ6人に1人の子どもが貧困状態にあると判明しました。貧困率とは相対的な指標です。可処分所得(収入から税金などを除いた、手取り収入)の全体のちょうど真ん中の順位となる世帯の所得を中央値とし、中央値の半分に満たない所得の世帯員の割合を貧困率といいます。また、中央値の半分の額を貧困線といい、1997年の貧困線が149万円だったの対し、2012年には122万円と低下しました。両親がいる世帯でも貧困率が上昇していることを勘案すると、子どもの貧困率の上昇(2003年調査より2.6ポイント増)は、数字以上に深刻だといえます。

島田市の現状はどうでしょうか。貧困率そのものを調査したデータはありませんが、経済的な理由で児童・生徒を就学させることが困難な家庭と判断し、その教育費を市がサポート(就学援助)している児童・生徒数は、平成27年10月末現在で546人(援助率6.96%)。これに0歳~6歳(未就学児)と16歳~18歳未満で貧困状態にある子どもの数を足したものが島田市の子どもの貧困率に近い数値と想定され、おおよそ10%前後かと推定しています。

市では、学用品や学校給食、校外活動などの費用を援助する「就学援助費」の支給や、学習でつまずかぬよう、他市より充実した時間数で支援員を配置しています。また、多くの小中学校で長期休業中の学習支援(集中補習)などを行っています。そして、毎年市内中学3年生7人が、谷田川報徳社から高校進学のための奨学金(年額24万円×3年間・返済義務なし)を受けています。

国も「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(平成26年1月施行)に伴い、平成31年度までにスクールソーシャルワーカーを全ての中学校区に配置することを計画しています。

市民の皆さんにお願いしたいのが「フードドライブ」へのご理解とご協力です。フードドライブは、厳しい生活状況の中、職を失くしたなどの理由で急増する食に困る方かたたちに手を差し伸べるものです。今回は1月5日から1月29日(金曜日)まで実施していますので、お宅で不要となった食品(賞味期限などの条件あり)がありましたら、本庁舎総合案内へお持ちください。今後も、1か月単位で年4回程度実施していきますので、ご協力ください。

すべての自治会へ出向き「車座トーク」開催します!(平成27年12月号)(平成27年12月15日掲載)

市長就任以来「市長と語る会」と銘打って市民の皆さんと語り合う場の創出に努めてきました。こうした場は、最近の市の動きや私の考え方をご説明するとともに、地域の特色や市政に望むこと等を拝聴して、市政に活かすことを目的としています。

「現場は原点」という私の信念に基づく「語る会」の実施でありますが、お招きいただける地域が偏っていたり、全ての訪問要請にお応えできなかったりなどの課題がありました。そこで、今月から、全68自治会を68週間掛けてくまなく回る「車座トーク」を開催することにしました。各自治会の皆さんには、日程調整などでお世話になりますがよろしくお願いいたします。

開催の目的は、市民の皆さんに直接お会いし、多彩な地域資源を活かした魅力あるまちづくりと地域の課題解決について語り合い、市民と行政の協働による「新しい関係づくり」を推進することです。始めに私から30分ほど市政報告をさせていただき、その後、皆さんからのご意見・ご提案・ご質問を自由にお受けします。あらかじめテーマを設定することはしません。頂いた貴重なご意見などは、市の「施策の立案」や「業務の見直し」を図る際に参考とさせていただきます。また、開催場所や参加人数は自治会に委ねていますが、その地域にお住まいの人でしたら、どなたでも参加いただけます。

市は、10月末に「島田市まち・ひと・しごと創生総合戦略~未来創造~」を策定し、今後3年間に実施する主要事業の方針を示す実施計画書(平成28年度~30年度)のうち、80事業を総合戦略と位置付けました。これからの時代は、地方が自ら主体的に儲ける仕組みを創らなければ厳しい経営状況に追い込まれます。

持続性のある「稼げるまち島田」を創るため、新東名島田金谷インターチェンジ周辺の開発や空港周辺プロジェクトの推進はもとより、幹線道路の整備促進、観光資源の有効活用、子育て支援・教育環境の充実、情報発信力の強化などに力を入れてまいります。また来年度は、地域産業の育成と起業支援、地域産業の競争力を高めるために官民一体となった推進体制「(仮称)産業支援センター」の設置を目指します。

「膝を交えて共に語り合いたい」という願いを込めて、車座トークと命名いたしました。皆さんの元へ参上できる日を楽しみにしております。

いよいよ「マイナンバー制度」が始まります(平成27年11月号)(平成27年11月13日掲載)

皆さん、マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)が始まります。お手元に「通知カード」は届きましたか。通知カードは登録されている住民票の世帯ごと、11月末までにお手元に届くよう、簡易書留にて発送しています。

マイナンバーとは、全国民に通知される一人一人異なる12桁の「個人番号」のことです。個人が特定されないように、住所地や生年月日などと関係のない番号が割り当てられます。この番号は一生変更されず、生涯使うため、大切に保管しましょう。きちんとしまっても場所を忘れてしまうことがありますので、離れて暮らすご両親や祖父母にも気を掛けてあげてくださいね。

今後、

  1. 社会保障関係の手続き(雇用保険の資格取得や給付、医療保険給付、福祉分野の給付、生活保護など)
  2. 税務関係の手続き(平成28年分からの確定申告書、届出書など)
  3. 災害関係事務(防災・災害対策に関する事務、被災者生活再建支援金の給付など)

に、マイナンバーが必要となります。

もし12月になっても届かない場合(住民票の住所に住んでいない人や施設入所中の人など)は、市役所に返送されている場合がありますので、マイナンバー受付・相談窓口へお問い合わせください。この場合、受け取りに来ていただくか、再度住所地へ簡易書留を送付するかなどを決めていただきます。受け取りに来る際は、運転免許証など本人確認ができる書類をお忘れなく。

さて、通知カードが届いて申請手続きをしていただくと、平成28年1月以降に「個人番号カード」の交付を受けることができます。このカードには、氏名・住所・生年月日・性別・マイナンバーなどの記載のほか、本人写真も表示されますので、公的な身分証明書としても使っていただけます。市では、個人番号カードを使って、全国のどのコンビニエンスストアからでも住民票などの証明書交付が受けられるサービスを、平成28年度中に開始します。また将来的には、個人番号カード1枚でさまざまな公共サービスを利用できる「ワンカード化」も研究していきます。

平成29年1月に開設されるマイナポータル(インターネットサイト)では、あなたの個人情報を「いつ・誰が・なぜ提供したのか」を確認できるようになります。また、行政機関が持つ個人情報の内容を確認できるようにもなります。便利な反面、「個人番号カードで個人情報が分かってしまうのでは?」と心配になる人もいるかもしれません。ですが、カードに搭載されるICチップにはカードに書かれている情報と電子証明書のみが記録されます。所得や病気の情報などは記録されませんので、ご安心ください。

マイナンバーや個人番号カードに関する相談窓口を市役所1階に開設しましたので、ご不明な点はお問い合わせください(マイナンバー受付・相談窓口 電話番号 36-7194)。

新市民病院の療養病床と代替機能について(平成27年10月号)

今回は、「新病院の療養病床」と「代替機能」の考え方についてお話したいと思います。

今の病院は、昭和54年に現在地へ新築移転してから既に36年が経過し、耐震性が十分でない上に、施設の老朽化が進んでいます。加えて、待合室や相談室など患者さんのプライバシーに配慮した場所にゆとりがないこと、また経路や部門間の連絡など動線が複雑なこと、バリアフリー化が遅れていることなど、患者さんの利便性が悪くなっています。高度医療を担うにふさわしい環境とはいえない状況にあり、新病院の建設事業を早急に進める必要があるのです。

多くの方が市民病院に望むことは、不意の病気や怪我に対応できる救急医療であり、緊急手術や入院ができる体制ではないでしょうか。「急性期の診断・治療ができるスタッフと設備が整った病院が近くにある」という安心感を皆さんに提供できるよう平成32年度の新病院開設を目指して、基本計画を策定しています。

新病院の病床数は445床程度としました。内訳は、一般病床405床(45床×9病棟)、回復期リハビリテーション病床40床程度です。結核病床および感染病床は、一般病床の中で整備する方針とし、療養病床は廃止する決断をさせていただきました。

高齢者の増加に対応するため療養病床などの整備が必要なことは、私も十分承知しています。しかし県が策定を予定している地域医療構想の考えでは、これからは在宅を中心とした医療に変わっていくこと、そして、すでに志太榛原圏域内の療養病床は1,062床あると聞いております。また国も、今後「この病院は急性期病院」「ここは慢性期の病院」といったように病院機能を分担する政策を示しています。

市民病院としては、急性期と療養のケアミックス(混在病床)では運営が難しくなる上に、医師の確保もままならないため、「急性期医療を担っていく」という方針のもと、近隣病院との連携・協力を図っていきます。市としても、24時間訪問看護ステーションの整備(平成28年度予定)、地域包括ケアシステムの充実などを着実に実施していく考えです。

現在、市民病院の療養病床は、退院調整機能を兼ねた運営をしており、長期に入院する患者さんは少数です。将来、新しい市民病院に療養病床がなくなっても、退院調整は一般病床で行っていきます。

また、現在長期に入院しておられる方は、引き続き市民病院に入院していただくことも可能です。市としても、具体的な代替機能を模索し、整備するよう努めていきますので、ご理解の程、お願いいたします。

ご近所に「放置空き家」はありませんか?(平成27年9月号)

広報しまだ6月号で「空き家バンク」制度を紹介しました。「川根地区で売却や賃貸をしたい物件がある場合は、ぜひ空き家バンクへ登録を」という内容でしたが、「街中の空き家はもっと深刻だ」というご意見をいただきましたので、今回は市街の空き家対策をお話しします。

総務省の統計資料によれば、平成25年度の市内の建物は約3万8,000棟で、うち空き家は4,470棟。さらに放置空き家は1,940棟で、建物全体に占める割合は5.1%となり(全国平均5.3%)、その数は年々増加傾向にあります。こうした現状を捉え、本年5月、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を全面施行し、行政による空き家対策が本格的にスタートしました。

特別措置法では、次のような状態にある空き家を「特定空家」と定義して、措置の対象としています。

特定空家の定義

  1. 放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態
  2. 放置すれば著しく衛生上有害となる恐れのある状態
  3. 適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

措置のポイント

  1. 市による立入調査が可能となる。調査を拒んだ所有者には、20万円以下の過料が科せられる
  2. 市長は、特定空家の所有者に対し、除去・修繕・立木竹の伐採等をするよう指導・勧告・命令ができる
  3. 勧告を受けると、住宅用地に対する固定資産税の特例(更地の6分の1)がなくなる
  4. 命令に従わなければ、50万円以下の過料が科せられる。また、市による行政代執行も可能となる(費用は所有者が負担)

つまり、所有者が空き家の適切な管理を怠り放置していると、税制上の優遇措置が受けられなかったり、過料などの行政処分を科せられる場合があります。

市では、来年度から市内の空き家を特定するためのデータベースの作成に着手し、建築士などの専門家による現地調査を行い、特定空家の認定を始めます。「空き家にネコが住みついている」「防犯の面で不安」など、空き家に関する相談は、地域づくり課で随時受け付けていますので、ぜひ、ご相談ください(地域づくり課 電話番号 36-7197)。現地の状況などを確認した後、所有者に空き家と敷地の適正管理をお願いしていきます。同時に、まちづくりの一環として、所有者・不動産業者・自治会などと連携し、空き家の有効活用を推進していきます。

地籍調査の重要性と事業推進へのお願い(平成27年8月号)

地籍調査とは、一筆(土地登記簿の一区画)ごとの土地の所有者・地番・地目・境界を確認して、面積を測量し、正確な地籍図・地籍簿を作る調査のことです。

この調査は、各市町村が事業主体となって進めていますが、全国の進捗率51%に対し、静岡県の平均は24%という低い状況になっています。ちなみに、島田市の進捗率は40%で、県平均よりは調査が進んでいると言えますが、現在の事業費ベースで試算すると、事業完成までにあと170年もかかる計算になります。

近年は、事業の長期化とともに高齢化が進み、境界確認の立会いがますます困難となり、更さらなる事業の遅れが懸念される深刻な状況にあることをご理解いただきたく、今月のテーマとしました。

私がなぜ、地籍調査を重要視しているかといえば、平成23年3月に発生した東日本大震災において、迅速な復旧・復興に着手できた市町は、すでに地籍調査が完了していた地域であり、調査が遅れていた市町では隣家との境界を定める作業に何年もかかり、大幅に復興が遅れた実態があったからです。

これらのことを踏まえ、南海トラフ巨大地震の被害が想定される県内において、地籍調査事業の推進の重要性を再認識するよう、私は、前回の県市長会で訴えました。厳しい財政状況のなか、事業費や職員の確保など難しい課題を抱えている市町の現状を知ってもらい、大規模地震など災害への備えとして、地籍整備の緊急性の高い地域への補助の見直し、事業費の優先確保など地籍調査に要する予算の拡充方針を示していない国や県に強く要望したかったからです。

島田市では、現在、川根町の家山地区周辺の山林と六合地区を継続して調査を行っています。毎年、調査地域の拡充推進を図っていますが、なかなかスムーズに進まないのが現状です。この調査に時間がかかる要因の一つは、隣地との境界線でご納得いただけないケースが間々あることです。登記簿の記載より数センチ土地が狭くなってしまう場合も多々あり、不服申し立てをする方もいらっしゃるのが実状です。

地籍調査が行われた地域では、境界や面積など、土地の表示に関する登記の情報が正確なものに改められます。またその情報を基に、GPSを使って土地の境界を現地に復元することが可能となります。

この結果、土地境界をめぐる紛争を未然に防止できるばかりではなく、これに伴って土地取引の円滑化や土地資産の保全を図ることができますので、調査へのご理解とご協力をお願いいたします。

全国に先駆け「新総合事業」を始めました(平成27年7月号)

今月は、地域包括ケアシステムと「新総合事業」についてお話します。

まずは、平均寿命・高齢化率の話題から。戦後まもなくの昭和22年、日本人の平均寿命は52歳でしたが、平成25年には男性80.21歳、女性86.61歳まで延びました。高齢化率も25.1%(現在、当市の高齢化率28.7%)に上昇し、日本は、平均寿命・高齢者数・高齢化するスピードのいずれにおいても、世界一の高齢化社会になりました。

このように高齢化が進む中、市民が行政に何を求めているのかをアンケート調査したところ、1位は医療の充実、2位は高齢者の医療・介護・福祉の充実という結果となりました。また、「介護が必要になったとき、希望する介護は?」の問いには、「自宅での介護」58.4%、「施設での介護」18.8%となり、多くの市民が住み慣れた地域(自宅)で生活することを望んでいることがわかりました。

そこで市では、介護が必要になった高齢者も住み慣れた地域で安心して暮らせるよう「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」のサービスを一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を決め、この4月から、全国に先駆けて「新総合事業」を開始しました。「はい・いいえ」で答える基本チェックリストで、利用可能な生活支援や介護予防支援を即日決定し提供しています。

それでは、現在実施している事業をいくつかご紹介しましょう。

まずは、自分たちで過ごしやすい場所をつくる「居場所づくり」。一人暮らしや閉じこもりがちな人が地域の仲間と楽しく過ごすための事業で、年度内に20カ所の設置(現在14カ所)を目指しています。次に「げんき教室」。一緒に体操や脳トレをしたり、歯科衛生士や管理栄養士の話を聞いたりします。4カ月間で8割の方に握力や片足立ちなどで改善が見られたそうです。3つ目は「げんきアップシニアサポーター養成講座」。おおるり1階の専用室で楽しく体力アップを図っています。この講座は、修了生がサポーターとなり、新たな利用者を支える互助の仕組みができています。4つ目は「地域ふれあい事業」。公会堂など市内46カ所で、地域ボランティアが中心となり、レクリエーションや会食等で交流を深めています。昨年は延べ1万7,372人の参加者を、延べ7,354人のスタッフが支えました。

そのほか、毎週一人ひとりに電話をかけ、普段と変わった事はないかを確認し、緊急時には30分以内に駆け付ける「ひとり暮らし高齢者等緊急通報システム」(現在473人登録)や、お弁当を届けながら安否確認をする「高齢者等配食サービス」なども実施しています。

島田市は、これからも健康長寿・介護予防日本一を目指して、高齢者の安全・安心を支えていきます。

市長就任から2年の報告(平成27年6月号)

この5月で市長就任から早や2年、任期4年の中間点を迎えました。

この間、時代の潮流を先読み、「市民の暮らしを一つひとつ良くしていくことが政治の原点」と考え、市役所改革・人材育成・財政の健全化・広域行政の推進など、市政の舵取りに邁進してまいりました。

市役所改革では、担当制を導入して責任を明確化し、市民の皆さまの要望にスピード感をもって対応できるようにしました。特に、次代を担う子どもに関する所管を一元化し、子育てコンシェルジュを置いた「こども未来部」や、陸上自衛隊から危機管理監を招聘し、防災力の強化を図った「危機管理部」の創設など、市民ニーズと現場主義に徹した改革を進めてきました。

また、創造性豊かで柔軟な発想と行動ができる職員を育てるため、人材育成にも力を入れています。

財政の健全化に向けた取り組みでは、この2年間で基金残高(貯金)を15億円余増やし、起債残高(借金)を5億円余減らしました。これは、本当に必要な事業へ計画的に予算を投入する財政運営に転換した成果です。

今後は、新島田市民病院の建設や老朽化が進む小中学校の建て替え、さらには、島田金谷IC周辺の土地利用や金谷中学校跡地の開発など、市の発展のために積極投資するプロジェクトの実現に向け、中長期的な視点で持続可能な都市経営を目指していきます。

一方、少子高齢化に伴う人口減少がもたらす影響で、地域社会の状況は大きく変容しようとしています。「国立社会保障・人口問題研究所」がまとめた島田市の人口推計では、2040年には現在の10万人から7万8,000人にまで減少するとされています。

さらに深刻なことは、65歳以上の高齢者が増え、下支えする生産年齢人口(15歳から64歳まで)が減少すること。近い将来、医療・介護・福祉などの社会保障費の増大と同時に、税収が減少する中で高度成長期に集中的に建設した公共施設や道路などの長寿命化対策が必要とされてきます。

今すぐ出生率が上がっても、あと30年は人口減少に歯止めが掛からないといわれる日本で、島田市が将来も豊かで住みよいまちであり続けるには、就労の場の確保、安心して子どもを産み育てられる環境づくりなど、今後5年間の取り組みが大変重要になります。そのため、先月「島田市まち・ひと・しごと創生市民会議」を立ち上げ、より具体的な「島田市地方創生総合戦略」策定に向けた第一歩を踏み出しました。

当市の経営資源を活かし、人を育て、官民の連携を図りながら、魅力あるまちの創造(活性化)に全力で取り組んでまいりますので、ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

「もしものとき」あなたは、どんな選択を望みますか?(平成27年5月号)

まずは、嬉しいご報告から。このたび、日本経済新聞社産業地域研究所が全国の790市と東京23区の813市区を対象に実施した「第2回介護・高齢化対応度調査」において、島田市が総合評価で第19位となりました。調査は「医療・介護」「生活支援・予防」「社会参加」など38項目を対象に、高齢化対策に関する自治体の総合力を検証したもので、前回(650位)からの伸び率が日本一となりました。

この実績からもわかるように、当市は、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる施策の推進に力を入れています。また5月10日からは、市民の皆さんが「わたし」らしく生ききることを目標に、県内初となる「リビング・ウイル島田版」を、関係機関の協力を得てスタートさせました。

リビング・ウイルとは「もしものとき」の医療について、あなたの意思を表明しておくことです。「もしものとき」とは、人工呼吸器なしで呼吸ができなくなったり、飲んだり食べたりできなくなって、できる限りの治療をしても、回復する見込みがなくなったときのことをいいます。リビング・ウイル島田版は、もしものときに「どんな医療を受けたいのか」あるいは「受けたくないのか」、あなた自身の希望を書き込むことができる冊子です。

縁起でもないと叱られそうですが、自分がどんな「最期」を望むかについて「生前の意思表明」として書き残しておくことは、あなたに代わって最期を決断しなければならない家族を救うことにもなります。

私たちは誰でも健康な生活を送り、死ぬときは自然な大往生を遂げたいと願っていますが、理想通りに「ピンピンコロリ」とならないときもあります。しかし、リビング・ウイルを利用してどんな最期を迎えたいか意思表明しておけば、自分らしく生を全うしたいという希望が叶うのです。そのためにも、あなたが元気で健康な今、自分自身の最期について考えてみてください。去る2月には、がんで亡くなる父親の姿を追ったドキュメンタリー映画「エンディング・ノート」を上映し、大きな反響をいただきました。再上映の要望も数多くいただいていますので、今後の上映会についても検討していきます。

同時に「島田市医療マップ」を2,500冊作成しました。お住まいの地域の医療機関や薬局などを知っていただくよう、中学校区単位で医療機関などの所在地・電話番号・診療日・診療時間などの基本的な情報が掲載されています。ぜひ、ご活用ください。

地方創生総合戦略って何なの(平成27年度4月号)

「地方創生総合戦略って結局は何なの?」と尋ねられることがあります。端的に言えば、地方に仕事を創り、東京に集まりすぎた人口を地方に戻し、子どもを増やして、地方に元気を取り戻すための政策です。

島田市と同じく、今、地方では少子化と人口流出が続いています。全国から若者が集まっていく東京圏、特に東京都の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数)は1.13人(平成25)と極めて低く、地方は疲弊し、このまま人口減少が進めば日本という国が立ちゆかなくなる、というデータをもとにこの地方創生の議論はスタートしています。

政府は、2060年に日本の人口を1億人程度に維持する目標を立て

  1. 地方に仕事をつくり安心して働けるようにする
  2. 地方への新しい人の流れをつくる
  3. 若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶える
  4. 時代にあった地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに地域と地域とが連携する政策を進める

ことに決めました。全国各地で、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立して、「まち」に活力を取り戻す戦略を実行する、これが「地方創生」です。

大赤字が続いている国の財政状況を考えると、今後の地方への財政支援は全国一律に面倒を見る時代から「頑張る自治体とそうでない自治体は区別しますよ」という地域間競争の時代へと移っていきます。

島田市においても、平成27年度に総合戦略を策定し「地域に根づいた産業の育成、雇用創出、人口減少の歯止め」のプランを作成します。先行型として本年度は移住・定住相談会や結婚支援事業、子育て応援ポータルサイト立上げ、企業内子育て環境アップ交付金、市内業者の販路開拓支援、外国人観光客向け情報発信ネットワーク化(Wi-Fi)、観光特産品開発支援などを実施してまいります。

また、地域消費喚起・生活支援として6月を目途に、1万円で1万2,000円分のお買い物ができる「プレミアム金券」を約4万7,000冊販売する予定です。

これまでに継承されてきた産業・文化がしっかりと次世代につながり、故郷を守り、市民がいきいきと住み続けられる島田を創らねばなりません。この重責を感じながら平成27年度も責務を果たせるように頑張ってまいります。

市役所本庁舎建て替えについての判断(平成26年度3月号)

昨年の11月議会で、「市役所本庁舎の建て替えは、本年度末までに判断したい」と答弁しましたので、その検討結果を市民の皆様にお知らせします。
結論を先に申し上げると、「本庁舎は、当面の間、使い続ける」という決断をしました。以下、結論に至るまでの経過を説明させていただきます。
本庁舎(築52年)は、平成13・14年度に4億8,000万円をかけて耐震補強工事を実施し、建物の躯体は耐震性能が良い建物(耐震性能1b)にランクされています。しかし、天井や空調設備、雨どいなどは老朽化や経年劣化が進んでおり、これまでも大規模修繕を繰り返してきました。ここ数年は、年平均1,100万円ほどの修繕費がかかっています。

また、旧金谷町や旧川根町との合併に伴い、270人の職員が増加したため、本庁舎に職員を配置しきれず、プラザおおるりや保健福祉センター、金谷庁舎などへの分散を余儀なくされています。会議や打ち合わせのため、各部署と本庁舎の間を行き来する職員の移動時間も、職務遂行上の大きなロスと認識しています。

さらに、合併時に策定した「新市建設計画」を延長した結果、有利な起債である合併特例債を平成32年まで活用できるようになったことから、これを財源として建て直せば、国から交付税措置を受けられるという財政的メリットも考えました。

しかしながら、このスケジュールでは建設費250億円を見込む「新島田市民病院」の建設時期と重なってしまい、市の財政を圧迫しかねません。今後10年間には、次々と耐用年数を迎える小・中学校の建て替えも控えています。

このような状況下で、耐震性を有する本庁舎を平成32年までに建て替えることは得策ではないと判断しました。むしろ、今後の島田市の発展を見据えて、島田金谷IC周辺の土地利用をはじめ、金谷中学校跡地の利活用、公共施設の再配置、道路、橋梁などのインフラ整備などに対して、余裕をもった財政運営をしていくことが賢い選択であると考えます。

市民の幸福な生活と市の発展を思っての判断ですので、皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

消防団の活躍に感謝!(平成26年度2月号)

昨年大晦日の早朝に発生して6日間燃え続けた特種東海製紙の火災では、大量の煙と臭いが風に乗って流れ、新年早々、市民生活に多大なご迷惑をおかけしました。

出火元のチップサイロは密閉式の構造であったため、重機で建屋に穴を開け、屋内の木材チップを掻き出しながら建物の内と外から放水を続けるという困難な消火活動になりました(広報しまだ1月号13ページ参照)。

市は出火当日、現地に消防指揮本部を設け、元日からはプラザおおるり内の危機管理部に火災対応連絡室を設けて対応にあたりました。そこでは、同報無線・広報車・ホームページ・自治会への電話連絡などによる住民広報に努めるとともに、プラザおおるり内に一時避難所を開設して自主避難できる体制を整えました。

なお、鎮火までの間、市民の皆様から寄せられた苦情・問い合わせは約100件でした。鎮火後の消防・警察による実況見分を受け、1月27日には、市として消防法に基づく緊急査察を実施し、特種東海製紙に対して火災の再発防止と、さらなる防火体制の強化を指導しています。

今回の火災で出動した消防本部、消防団、特種東海製紙特設消防団の延べ人数は2,936人、車両は延べ316台。まさに彼らの使命感と団結力が、島田のまちを守ってくれました。

特に、6日間も昼夜を分かたず、交代で消火活動にあたってくれた消防団員の功績は多大なものがあります。団員は、昨年10月の台風18号・19号の接近時にも危険を顧みず、徹夜で水防活動に尽力してくれました。

いざというときに地域住民の「安心・安全」を守り、奉仕の精神をもって日夜献身的な活動をされている消防団(団員889人)の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

また、団員が心置きなく消防団活動に参加できるのは、ご家族の支えと理解があればこそであり、ご家族の皆様にも心より感謝申し上げます。

昨年は、全国の各地で土砂災害など大規模な自然災害が発生しました。島田市においても災害はいつ起こるか分かりません。常に市民の「安心・安全」を守るべく、島田市の防災対策、危機管理体制をさらに充実強化する1年にしてまいります。

協働のまちづくりと自治基本条例について(平成26年度1月号)

皆さんの地域では、地域の清掃や子育て支援、小学生の登下校時の見守り活動などをしていますね。防災訓練や公会堂を使った高齢者支援なども多くの地域で行われています。地域のために自分たちでできることを考え、公共的な役割を担っています。こうした「新しい公共観」に立って、市民と行政が連携し、共に対等な立場で参画することを「協働」といいます。自ら行動し、互いに認め合い、役立ち合うことです。これらがうまくかみ合い機能してはじめて、市民主体による「協働のまちづくり」が前進すると考えています。

そのためには、市民と行政が交流し、意見を交わし合い、まちづくりや計画づくりに、共に参画する機会や場が必要です。また、これらの機会や場を設けるためには、何らかの仕組みやルールが必要になります。そこで、現在検討しているのが「島田市自治基本条例」の制定です。

去る12月13日、15人の市民委員で組織する「自治基本条例を考える市民会議」がスタートしました。自治基本条例は、さまざまな地域課題への対応やまちづくりを進めるに当たり、誰がどんな役割を担い、どのような方法で決めていくのかを明文化したもので、まちづくりの仕組みや基本ルールを定めた条例です。多くの自治体では、情報の共有や市民参加・協働などの自治の基本原則、自治を担う市民・議会・行政のそれぞれの役割と責務、情報公開・審議会などへの市民参加や住民投票など、自治を推進する制度について定めています。県内でも、静岡市をはじめとする5市町が既に、自治基本条例を設けています。

市民会議は今後、計20回の開催を予定しており、年度内の市民会議では委員の皆さんに市民の視点から、島田市のまちづくりのあり方などについて活発に意見交換していただくとともに、他市の事例なども学び、条例制定の必要性を確認していくことになります。

来年度からは、市民会議委員の皆さんと市役所内に設置する組織が一緒になって、条例の制定作業を進めていき、平成29年4月1日の施行を目指していきます。

自治基本条例を考える市民会議での話し合いの経過や内容については、今後、広報紙や市ホームページなどでお知らせしていきます。

牛尾山開削工事と牛尾実験所遺跡について(平成26年度12月号)

11月19日、市民有志でつくる牛尾実験所跡遺跡を守る会から、「第二海軍技術廠しょう牛尾実験所」の遺跡保存を求める3,163人分の署名をいただきました。

牛尾実験所は、旧海軍が米軍機B29などを墜落させる強力電磁波兵器を極秘研究していた島田実験所の疎開先として建設中だった太平洋戦争末期の遺跡です。

この遺跡は、大井川を改修する牛尾山狭窄部開削工事の過程で存在が明らかになり、県教育委員会とも協議して発掘調査を進めてきました。これまで市民を対象とした現地説明会を4回、専門家によるシンポジウムなども2回開催しています。

他方、この牛尾山地先は川幅が約300m(すぐ上流部の川幅は約600m)と急に狭くなっているため、大雨による出水時には上流側で水位が上昇し甚大な被害が出ることも予想され、地域住民は常に不安を抱えてきました。昭和29年に要望活動を開始し、実に60年の歳月をかけて、平成24年度から牛尾山狭窄部の開削工事が開始されました。川幅を約450mに広げ、洪水時の河川水位を約1.4m下げる計画で、地元住民からは「これで地域の安心・安全が図れる」と期待の声が寄せられています。

また、守る会からは、「治水の重要性は十分承知しているが、遺跡が残るよう牛尾山の開削を予定より小規模にし、その分河床を掘って流量を確保できないか」と具体的提案をいただきました。この提案について、11月26日、国土交通省静岡河川事務所と協議の場をもちましたが、提案の内容では、目標とする流量を安全に流下させることができないことや、水衝部(水流があたる場所)の変化により堤防の決壊の危険性が増大するおそれがあるなどのデータが示され、遺跡を残すことは難しいという結論に至りました。

地球温暖化などによって時間雨量100ミリを超えるゲリラ豪雨も珍しくない昨今です。市民の生命財産を守ることが市長の最大の責務と考え、牛尾山開削工事を当初の計画通り進めることを、何卒、御理解ください。

なお、牛尾実験所跡遺跡については、測量図・写真・専門家の調査結果等資料を整え、しっかり記録保存いたします。

リニア中央新幹線工事と大井川について(平成26年度11月号)

去る10月17日、太田国土交通相はJR東海が2027年の開業を目指す「リニア中央新幹線」(東京~名古屋)の工事実施計画を認可しました。翌週には柘植(つげ)JR東海社長が、認可を報告するために川勝知事を訪ね「工事の安全、環境保全、地域との連携の3点を丁寧にやる姿勢を伝えた」と報道されています。

今後JR東海は、地元関係者を対象とした説明会を開催するなど、建設工事の手続きに着手することになります。

しかし、この工事は水資源をはじめ、環境に与える影響の大きさが指摘されており、今般の認可は、地域住民に対して納得のいく説明がないままの「見切り発車」と言わざるを得ません。

とりわけ、南アルプスに源を発する大井川の流量減少は、流域住民の生活に直結する重大な問題です。これまでも、大規模なトンネル工事によって周辺の井戸が枯れ、滝が枯渇した事例がいくつも報告されています。リニアの山梨実験線でも、トンネルの掘削に伴い多数の水枯れが発生しました。

こうした実例があるにもかかわらず、南アルプスの地下1,000mの掘削工事において「環境保全」は可能なのでしょうか。

大井川の水は命の源です。リニアが走っていない現在でも、大井川の渇水期には飲料水・農業用水・工業用水の取水制限が行われています。だからこそ私は「大井川の水は大井川へ戻す」ことを最優先に訴えてきました。

しかし現時点でもJR東海は、大井川へ戻すための工法や流量減少が発生した際の対応について、具体策を提示していません。具体策提示に関する覚書の締結をJR東海に申し入れましたが、色よい返事は得られませんでした。

今後も私は、大井川流域の9市2町と連携し、JR東海に対し大井川の水の具体的な保全対策を着工前に提示することを粘り強く求めていきます。

工事が進捗してから後悔しても、自然環境も水も取り戻すことはできません。子どもたちの世代に豊かな大井川の恵みを残すには、地域住民が声を上げることが必要です。

市民会館について(平成26年度10月号)

約1,500人の収容人数を誇る「島田市民会館」は、音楽や演劇の観賞会、学校の発表会や各種大会など、文化活動の拠点として大勢の方々に利用され、幾多の歴史を残してきました。

しかし昨年の耐震診断で、大規模地震の際に倒壊・崩壊が想定されるという結果となったことから、市民の命を最優先に考え、現在は使用を中止しています。

その後の調査で、壁を厚くし柱を増やす「耐震補強」に20億円、現在の使い勝手を温存する「免震構造」ならば45億円の費用がかかることが分かりました。

さらに、築50年近い建物のため、座席等設備機器の更新や建物自体の大規模修繕・改修にも多額の経費が見込まれます。

つまり、リニューアルには新築と大差ない金額がかることになり、断念せざるを得ないという結論に至りました。

また、現施設の解体には1億5,000万円以上の経費が見込まれ、解体時には周辺住民の皆様のご理解も得なければなりません。国等の助成制度を視野に入れ費用の捻出を考えていきます。

一方、5月には1万7,675人もの皆さんから再建への署名をいただき、多くの市民の声として重く受け止めさせていただきました。中でも、島商吹奏楽部の皆さん一人ひとりからのメッセージには、とても感銘を受けました。次の10年を見据えると、病院・学校・市役所など、いくつもの施設整備が必要です。しかし、少子高齢化・人口減少の時代に突入し、医療・介護・福祉の経費が増えていく時代、公共施設のあり方も見直していかなければなりません。

市民会館の今後については、今年度末までに「公共施設マネジメント」を策定し、来年度の公共施設再配置計画の中で検討していきます。

9月議会では、他のホールと市民会館との利用料の差額を補てんする措置について、議決をいただきました。50万円を限度に、今年4月までさかのぼり助成しますので、詳しくは文化課(電話番号 46-2344)にご連絡ください。

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