田代地区を環境教育の場とすることに向けた取組
常葉大学健康プロデュース学部こども健康学科:中村俊哉准教授
1.要約
島田市北部に位置する田代地区は、第二東名高速道路建設に伴う発生土の処理及びその後の土地利用を行っている。また、ワシタカ類が生息していることもわかり、生物多様性保持のために、努力や工夫、調査等がされている。そこで、田代地区を対象とした生物多様性や自然環境保全の取り組み教材としたプログラムを地域の小学生に行うことで、人と自然の関わりや生物多様性について考える機会を与えたい。まずは、9月までに、小学生を対象とした生物多様性や田代地区の取り組みについての調査を行った。この調査結果を基に9~12月にかけて、小学生を対象にした環境プログラム作成とリーフレット作成を行った。
12月9日、川根小学校で、作成したリーフレットを基に、環境プログラムを実施した。1月に作成したリーフレットを島田市内小学校6年生向けに配布した。
2.研究の目的
生物多様性を保つように努力している人や行政などと自然との関係を考えるために適している島田市田代地区を教材化した環境教育プログラムの開発・実践を通し、その効果を検証する。
3.研究の内容
作成したリーフレット(自然と人の共存を考えよう島田市田代の生き物と人々)を、図1~4までに示した。実際の田代の写真や生態系を利用して作成した。裏表紙には、授業後に児童が感想等を記入できるスペースを設けた。リーフレットは、9月までの調査を基に、9~12月にかけて作成した。
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図1.田代地区の概要 | 図2.田代地区の生態系 | 図3.田代地区の保全 | 図4.田代地区のこれから |
2022年12月9日に、川根小学校の5年生を対象とした授業を行った。総合的な学習の時間のまとめの位置づけとして行った。授業後、ワークシートの記述をみると、自然と人間の共存についての内容や自然を人が考えて守ったり、工夫したりしていることの内容が多かった。このことから、人と自然の共存についての理解が深まったと考える。
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写真1.紙コップに生き物の絵を貼る | 写真2.紙コップの生態系ピラミッド |
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写真3.生態系ピラミッドを崩した所 | 写真4.ワークシートに記入している所 | 写真5.島田市職員の方からの話 |
<1時間目> ※1時間目の授業は、岩谷美苗「『生態系紙コップピラミッド』崩し」を行った。 |
4.研究の成果
(1)当初の計画
生物多様性を保つように努力している人や行政などと自然との関係を考えるために適している島田市田代地区を教材とした環境教育プログラム開発と授業で行うリーフレットを作成し、実践を行う。
(2)実際の内容(Aは予定どおり、Bは一部修正、Cは中止など)とその理由
1.リーフレット作成・・・A
・計画していた写真や田代地区での生態系ピラミッド図が作成できた。内容も適切だったと考える。
2.授業実践・・・A
・島田市立川根小学校のみであったが、授業実践ができた。ワークシートの記述内容からも効果があったと考える。
・学級担任の先生との話し合いで授業内容が深まり、本来クラスが行っている方法も取り入れることができた。
(3)実績・成果と課題
島田市を担う子ども達に向け、地域の田代地区を教材として、「自然と人の共存を考えよう島田市田代の生き物と人々」というリーフレット作成と授業を行った。このリーフレットを基に他の小学校でも授業実践してもらえるようにしていくことが必要であろう。
(4)今後の改善点や対策
環境政策課と園・学校への繋がりがより深まっていくとよいと考える。授業実践は、学級担任と話し合うことが必要であったため、効果的な授業を行うためには時間確保が必要である。
5.地域への提言
島田市は自然豊かであり、その素晴らしい自然を残していくためにも様々な発達段階、多様な視点からの授業開発が必要と考える。
6.地域からの評価
授業については、今までの学習があったため、児童の理解が深まったようだとのお言葉をいただいた。