安定ヨウ素剤について(平成30年5月31日更新)
安定ヨウ素剤とは、放射性でないヨウ素をヨウ化カリウムとして内服用に製剤化したものです。現在、国内で承認・市販されている安定ヨウ素剤には丸剤と粉末剤、ゼリー剤があります。丸剤は3歳以上の方が服用するものであり、一方、粉末剤やゼリー剤については、3歳未満の乳幼児や、その他丸剤の服用が困難なこどもや高齢者を対象にしています。粉末剤は液状の安定ヨウ素剤へと調製する必要がありますが、丸剤、ゼリー剤については、そのまま服用できます。
安定ヨウ素剤の服用についてQ&A(平成30年5月31日更新)
Q:なぜ安定ヨウ素剤を飲むのですか?
【甲状腺を守るためです。】
原子力発電所の事故では、いろいろな放射性物質が放出されます。放射性ヨウ素もその1つで、呼吸や飲食で体に入ると、のど仏の下にある「甲状腺」に集まります。これが後に甲状腺がんの原因になるおそれがあります。しかし、放射性ヨウ素が体に入る前に安定ヨウ素剤を飲んでおくと、放射性ヨウ素は甲状腺にとり込まれずに、尿や便から排出されて、発がんの危険を減らすことができます。
Q:いつ安定ヨウ素剤を飲みますか?
【飲むときには、市から指示があります。】
安定ヨウ素剤は、「治療」ではなく「予防」のために飲みます。放射性ヨウ素が体にとり込まれる前、または直後に飲むのが効果的です。事故の規模などから計算して、甲状腺の被ばくが50ミリシーベルトを超えると予測されたときに配られます。
Q:安定ヨウ素剤の副作用はありますか?
【非常にまれですが、副作用がでることがあります。】
安定ヨウ素剤の副作用は非常にまれです。国際原子力機関(IAEA)によると、市で配られる4倍から8倍の安定ヨウ素剤を飲んだ場合、100万人~1000万人に1人に甲状腺機能異常や皮膚のかゆみ、皮膚の紅斑(赤いまだら模様)が出ることがあり、死亡する確率は1億分の3と推定されています。
Q:安定ヨウ素剤はどこで配られますか?
【避難所です。】
島田市では、救護所で安定ヨウ素剤を備蓄します。配布は、地域の避難所で行う予定です。
Q:安定ヨウ素剤の効果はいつまで続きますか?
【1日です。】
安定ヨウ素剤服用の効果は1日続くとされています。服用後は避難が最優先となりますが、ただちの避難ができない場合等、やむを得ず2回目の服用が必要となった場合は、1回目から24時間あけて飲みます。
Q:安定ヨウ素剤で放射線は全て予防できますか?
【放射性ヨウ素だけを防げます。】
安定ヨウ素剤によって、体に取り込む放射線を少なくできるのは放射性ヨウ素だけです。他の放射性物質には全く効果がありません。
Q:飲まないほうがいい人はいますか?
【ヨウ素に過敏な人は飲みません。】
ヨウ素過敏症、低補体性血管炎、ジェーリング疱疹状皮膚炎の方は、副作用が強く出ることがあるので、避難を優先します。
Q:妊娠していたらどうしたらいい?
【出産時に主治医に安定ヨウ素剤を飲んだことを伝えてください】
妊婦さんが安定ヨウ素剤を飲むことで、お腹の中の赤ちゃんの甲状腺を守ることができます。妊娠後期に安定ヨウ素剤を飲むと、出産後赤ちゃんの甲状腺機能に異常が出ることがあるので、病院で甲状腺の機能を経過観察することが必要です。
Q:授乳中はどうしたらいい?
【出産時に主治医に安定ヨウ素剤を飲んだことを伝えてください】
赤ちゃんにも安定ヨウ素剤を飲ませるので、母乳からのヨウ素が加わると、全体のヨウ素の量が過剰になる可能性があるので、ミルクに変える必要があります。ミルクに変えることで、他の放射性物質が母乳から赤ちゃんに移行することを防ぐことができます。
Q:その他に注意することは?
安定ヨウ素剤を飲む必要がある状況では、他の放射性物質も大気中に含まれている可能性が高いため、なるべく屋内退避して、外気を室内に入れないよう換気を控えましょう。外出時は肌をださない長袖、長ズボンを着ます。マスクをして、マスクの中に固く絞ったガーゼなどをはさむのも有効です。室内に放射性物質を持ち込まないよう、玄関の外で靴底をふき、上着をぬいでから室内に入りましょう。また、放射性物質の影響の少ない地域への避難を考える必要があります。
安定ヨウ素剤の飲み方(平成30年5月31日更新)
年齢によって、飲む量が違います。
年齢等 | 服用量 | 服用方法 |
---|---|---|
生後1か月未満 | 内服液1mlまたはゼリー16.3mg | スポイト(ゼリーは1包そのまま) |
生後1か月以上3歳未満 | 内服液2mlまたはゼリー32.5mg | スポイト(ゼリーは1包そのまま) |
3歳以上13歳未満 | 丸薬1丸 | 普通の薬のように水で飲みます。 |
13歳以上 | 丸薬2丸 | 普通の薬のように水で飲みます。 |
もし服用量を間違えてしまったら
- 少なく飲んだ⇒不足の分を追加して飲みます。
- 多く飲んだ⇒甲状腺に取り込まれる量以外は、尿や便で排出されるため、吐かせるなどの処置は必要ありませんが、体調に注意してください。