第4回大検証!大井川は文化の境界線か!?(令和6年2月23日~令和6年8月19日まで実施したアンケート)
かつて、駿河国と遠江国の境界線であった大井川は、明治時代以降も郡の境界となっていました。「越すに越されぬ大井川」と言われ、東海道の難所のひとつであった大井川は、その東と西の言語・文化の違いについて古くから研究されてきました。
土器の出土、雑煮の煮方や方言等、大井川が境界線になるという研究がある一方、江戸時代から明治維新まで続いた川越制度や、渡船のため対岸同士の交流が盛んで境界になり得ないという指摘もあります。むしろ、東西の文化が混ざり合い、交差する場所であったと言います。
そもそも、日本の中央部に位置する静岡はいったい何地方なのか、ある時は東海、ある時は中部、関東。そんな静岡のほぼ中央部を流れ、島田市のど真ん中を流れている大井川。果たして、大井川は文化の境界線か、はたまた交差点か、島田市博物館で大検証しています。
今回は令和6年2月から約6か月実施した第4回大検証!の結果について発表します。
語尾に「だら」とつけますか?「だに」とつけますか?
・語尾に「だら」をつける人は静岡県、愛知県に圧倒的に多い。神奈川県などにも語尾に「だら」をつける人がいる。
・静岡県内では「だら」をつける人が多いが、大井川より東には、「だに」の青いシールが6枚、大井川より西には73枚貼られている。大井川より西に語尾に「だに」をつける人が確かに多い。大井川が境界となっていると言えるのではないか。
灯油ポリタンクは赤?青?
・糸魚川静岡構造線より東には青いポリタンクのシールが0枚、赤いポリタンクのシールが79枚、糸魚川静岡構造線より西には青いポリタンクのシールが53枚、赤いポリタンクのシールが42枚貼られている。青いポリタンクの境界線は糸魚川静岡構造線ではないか。
・静岡県内では赤いポリタンクを使っている人がほとんどである。大井川より東には11枚の青いシール、大井川より西には28枚の青いシールが貼られている。灯油ポリタンクの色の境界線は大井川ではない。
肉じゃがには豚肉?牛肉?
・おおよそ石川県、富山県、岐阜県、愛知県以東で肉じゃがには豚肉を入れる人が多いという結果となった。おおよそ石川県、富山県、岐阜県、愛知県より西では牛肉を入れる人が多い。なお、近畿、中国、九州地方にも数枚、豚肉の赤いシールが貼られている。
・静岡県内では肉じゃがに豚肉を入れる赤いシールが251枚、牛肉を入れる青いシールが56枚貼られており、静岡県内では肉じゃがに豚肉を入れる人が多いことがわかる。大井川の東と西で変化は見られない。
第4回大検証!大井川は東西文化の境界線か!?結果まとめ
静岡県内のアンケート結果からは、語尾に「だに」をつける人が大井川より西に多いのではないかという結果が出ました。そのほか今回行った2つの検証では大井川は東西文化の境界線にはなっていないようです。
これまで島田市博物館で行ってきた12個の大検証!のうち、大井川が境界線になっているのではないかと思われるのは第2回大検証!の時に実施した「あなたは行かないと言いますか?行かんと言いますか?」と、「舌ベロと言いますか?舌ベラと言いますか?」と、今回の「語尾にだらとつけますか?だにとつけますか?」の3つになります。ただし、第2回大検証の時は静岡県内のパネルを用意していなかったため、貼られたシールの数が多すぎて、肝心の大井川が見えなくなってしまったのでおおよその結果となっています。再検証!も視野に入れながら、大検証!は続きます。大井川のそばにある島田市博物館で、ぜひ大検証!にご参加ください。